暮らす

海、川遊びを全力で楽しむために!知っておきたい「水辺での注意点」

美しい山々や川、北には海と多くの自然資源に恵まれた都市、京都。自然と歴史・文化が融合し、長きにわたって日本の中心地として栄えてきました。

連載『きょうとの自然とくらす』では、自然と調和し日々を歩む京都、京都の自然と共に生きていく知恵や工夫について発信していきます。

癒やしや喜びを与えてくれる自然は、時として被害を与える要因となることも。第2回『きょうとの自然とくらす』では、事前に知っておきたい『水辺での注意点』についてご紹介します。

【関連記事】近年増加する大雨…改めて考えたい「水害への備え」とは

京都での水難事故

天橋立 天橋立海水浴場
画像:papa88/PIXTA(ピクスタ)

夏が近づいてくると、海や川で遊ぶ機会が増えますよね。とっても楽しいマリンスポーツや川遊びでは、自然と触れ合いたくさんのことを学べます。

しかし、水辺には危険がいっぱい。毎年発生する水難事故は、京都も例外ではありません。京都府警察の発表によると、令和4年には14名が水難事故に遭い、うち6名の方が亡くなっています。

過去5年を振り返ると、55名が水難事故に遭遇。7~8月の発生が約6割をしめます。そして、水難者の約3割が未成年者。子どもだから特別多いということではなく、成人だから事故を起こしていないということでもないようです。

それでは、海に行く場合と川に行く場合に分けて、注意すべきポイントをチェックしていきましょう。

海で注意すべきポイント

(1)河口付近

河口付近
画像:hiro/PIXTA(ピクスタ)

河川と海の流れが入り混じり、非常に複雑な流れとなる河口付近には近づかないようにしましょう。

(2)岩場・磯遊び

岩場
画像:farmer/PIXTA(ピクスタ)

岩場は生物観察が楽しめますが、遊泳区域の外であることが多いです。足場が不安定なことに加え、潮の流れが複雑になりやすいので、足のケガを防ぐためにサンダルやアクアシューズを履き、ライフジャケットを着用するようにしましょう。

(3)沖合い

沖合いで泳ぐ人たち
画像:kailua_otoko/PIXTA(ピクスタ)

たとえ遊泳区間であっても、沖合いでうき具を付けずに泳ぐことは危険です。浮き輪やライフジャケットの着用を検討しましょう!

(4)離岸流

離岸流
画像:公益財団法人 日本ライフセービング協会 e-Lifesaving

離岸流とは沖に向かう流れのことで、海水浴場における溺水事故の約半数が離岸流によるものです。河口付近、堤防沿い、岩場などの離岸流の発生しやすい箇所には近寄らないようにしましょう。

また、万が一離岸流に流された場合は、岸に向かって泳ぐのではなく、落ち着いて流れに対して垂直(写真の矢印の方向)に移動して離岸流から抜け出すのがよいとされています。

川で注意すべきポイント

川は上流での降雨やダムの放水などにより、予想できないぐらいに一気に水かさが増す危険性があります。増水時に中州で取り残されてしまう事故も度々発生しています。

(1)流れの早い場所

ライフジャケットを着て遊ぶ子供たち
画像:マハロ/PIXTA(ピクスタ)

まず、何より流れの緩やかな場所で遊ぶよう心がけましょう! 流れの早い場所で立とうとすると、岩の隙間に足を挟まれたりして水没してしまう危険もあります。

また、一見穏やかに見える川でも、地形によって流れや水深が一定でないこともあり、川での事故の多くは穏やかな流れで発生しているそうです。必ずライフジャケットを着用して遊ぶようにしましょう。

(2)草むら

川の草むら
画像:滝之入 滄/PIXTA(ピクスタ)

草むらでは、足を滑らせて川に落ちる危険があるため近づかないようにしましょう。

(3)大きな岩やコンクリートブロック、崖の水があたるところ

川にある大きな岩
画像:KEY-BO/PIXTA(ピクスタ)

大きな物体の付近は流れが変わり、下に引き込む流れが発生することも。渦が出来て、足を取られやすくなるので近づかないようにしましょう。岩の上流側は特に危険です。

(4)石の多い場所

コケや藻のついた滑りやすい石
画像:kii/PIXTA(ピクスタ)

コケや藻のついた石や浮き石など、川は足場が不安定で転倒やケガもしやすい場所です。足場を確かめつつ進むようにし、またアクアシューズやサンダルを着用するようにしましょう!

川には釣り針や釣り糸が落ちている可能性もあるので、必ずシューズは着用したいですね。

大人が注意しておくポイント

子連れの場合、保護者は水辺にいる子どもから目を離さないことが一番重要です。

海辺でお酒を飲む人々
画像:Fast&Slow/PIXTA(ピクスタ)

そして大人の方が注意したいことが“飲んだら泳がない”ということ! 溺れて心肺停止になった人のうち3割程度が飲酒をしていたことが明らかになっているそうです。脱水症状や判断力の低下を招く原因となるため、飲んだら泳がないようにしましょう。

もしもの時の対応

万が一、水難事故が発生してしまったら……。どう対応すべきかすぐに言えますか? 改めて、“自分がおぼれた場合”と“人がおぼれた場合”に分けて、確認していきましょう。

自分がおぼれた場合

浮くための基本姿勢
画像:公益財団法人 日本ライフセービング協会 e-Lifesaving

まず、全身の力を抜いて、腕や足を広げ、浮く姿勢をとります。顎を引き上げ、静かに呼吸しましょう。

服を着ている場合の長く浮くための方法
画像:公益財団法人 日本ライフセービング協会 e-Lifesaving

服を着ている場合は、長く浮くために服の中に空気を入れ浮き具の代わりにする方法もあります。上着の裾を持ち上げ水面を打ち叩くことで、上着の中に空気を入れられます。

溺れてしまった場合のヘルプシグナル
画像:公益財団法人 日本ライフセービング協会 e-Lifesaving

浮く物などを持っている場合は、周囲の人やライフセーバー・監視員などに『ヘルプシグナル』を送ります。『ヘルプシグナル』は片手を左右に大きく振る動作です。ライフジャケットを着用している場合、付属の笛を吹くことも『ヘルプシグナル』になります。

人がおぼれた場合

物を差し出して救助する方法
画像:公益財団法人 日本ライフセービング協会 e-Lifesaving

まず、周囲の人や消防(119番)に助けを求めましょう! すぐに助けに飛び込むのは二次被害を生み出す要因となるのでやめましょう。 状況を良く見て浮くものが近くにある場合は、落ち着いておぼれている人に伝えましょう。

そして、掴まれるものを差し出すようにしましょう。その際、腹ばいなどの安定した姿勢をとり救助する側の安全を確保することも重要です。ロープなどを投げる場合はたばねてから投げると投げやすいです。

物を投げ入れて浮力を確保し救助する方法
画像:公益財団法人 日本ライフセービング協会 e-Lifesaving

距離が遠い場合は、ペットボトルやクーラーボックス、発泡スチロールなどの浮くものをおぼれている人の手の届く範囲に投げましょう。ペットボトルは少し中身を残した方が投げやすくなります。

受け取ることができたら、胸の前で抱えるように両手でしっかりつかまるよう指示しましょう。

これから海や川にお出かけする方は、是非この情報を一緒に行く方とシェアしてくださいね! そして、安全に遊びを満喫し、夏の楽しい思い出を作ってくださいね。

文/きょうとくらす編集部

【画像・参考】 公益財団法人 日本ライフセービング協会 e-Lifesaving京都府県警ホームページ
PIXTA(ピクスタ):Lyo/papa88/hiro/farmer/kailua_otoko/マハロ/滝之入 滄/KEY-BO/kii/Fast&Slow
※画像はイメージです。
※この記事は2023年7月に制作しています。