数珠回しの様子
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地域コミュニティの活性化も担う伝統行事「京都の地蔵盆」

古都として知られ、長い歴史と文化的な重要性を持つ、京都。長きにわたって日本の文化の中心地として栄えた京都にはたくさんの風物詩があります。

京都の風物詩をご紹介する連載『きょうとの風物詩とくらす』。今回は、京都の地蔵盆をご紹介します。

京都の地蔵盆

数珠回しの様子
撮影:神谷潔/提供:京都市文化市民局文化芸術都市推進室文化財保護課

地蔵盆は地蔵菩薩の縁日(8月24日)を中心に、関西地方などで行われている行事です。子どもを守ってくれるお地蔵さんを供養するのが目的で、多くは町内会や子ども会が主体となって町のお地蔵さんの前で行われます。

町内によっては、天道大日如来を祀っていて大日如来の縁日(8月28日)頃に“大日盆”を行うところもあり、こちらも地蔵盆と呼ばれることが多いです。

“京の地蔵盆”は地蔵信仰に影響を受けた地域の民俗行事であり、世代を超えた町の交流の活性化に重要な役割を果たしてきました。このため京都市によって、“京都をつなぐ無形文化遺産”にも選定されています。

京都の地蔵盆の準備

地域によって様々ですが京都の地蔵盆では具体的に何をするのか見ていきましょう!

お地蔵さんをきれいに

綺麗に手入れされた地蔵菩薩
画像:なみこし/PIXTA(ピクスタ)

地蔵盆の前にはお地蔵さんを掃除したりして清めます。祠から出して水洗いをしたり、お顔に彩色するお化粧を行ったり、前掛けを新調したりします。

お地蔵さん周りの飾り付け

お干菓子
画像:pearlinheart/PIXTA(ピクスタ)

お地蔵さんに、果物、落雁のような伝統的な和菓子や、そのほか地域によって決まったお供え物をします。お供えしたものは地蔵盆が終わるとおさがりとしていただくこともあります。

ホオズキの飾り
画像:kanako/PIXTA(ピクスタ)

そして、花や五色の地蔵幡などを飾ります。提灯に似ていることからホオズキが飾られることも多いようです。

地蔵盆に飾られた提灯
画像:しまじろう/PIXTA(ピクスタ)

会場周りには灯篭や行燈、提灯が飾られます。子どもの健やかな成長を願って、子どもの名前を書いた提灯が作られ,連なって飾られます。夜になると灯される数々の提灯は幻想的で情緒に溢れ圧巻です。

京都の地蔵盆でのお楽しみ

伝統行事「数珠まわし」

数珠回しの様子
撮影:神谷潔/提供:京都市文化市民局文化芸術都市推進室文化財保護課

“数珠まわし”では、直径2~3mもの大きな数珠を囲んで座り、その数珠を子どもも大人も輪になって、お念仏や僧侶の読経にあわせて回します。

お菓子のプレゼント

地蔵盆で配られるお菓子の詰め合わせのイメージ
画像:Naoaki/PIXTA(ピクスタ)

多くの地蔵盆で行われているのが、子どもたちへのお菓子の配布。地蔵盆に行ってお参りするとお菓子や手料理が振舞われたりします。

スイカ割りをする少年
画像:イチゴミナト/PIXTA(ピクスタ)

さらに、スイカ割り、ゲーム大会、盆踊り、福引きをするところもあるそうです!

地蔵盆は、少子化や運営する大人の都合により、従来通りの開催が難しい地域も多いそうです。地域住民が顔を合わせ、子どもを見守りながら交流を図る機会となる地蔵盆。その素晴らしさを改めて学び、これからも引き継がれていってほしいですね。

文/きょうとくらす編集部

【画像・参考】 京都市文化市民局文化財保護課
PIXTA(ピクスタ):なみこし/pearlinheart/kanako/しまじろう/Naoaki/イチゴミナト
※写真はイメージです。