美しい山々や川、北には海と多くの自然資源に恵まれた都市、京都。自然と歴史・文化が融合し、長きにわたって日本の中心地として栄えてきました。
連載『きょうとの自然とくらす』では、自然と調和し日々を歩む京都、京都の自然と共に生きていく知恵や工夫について発信していきます。
癒やしや喜びを与えてくれる自然は、時として被害を与える要因となることも。第1回『きょうとの自然とくらす』では、『水害』についてご紹介します。
予測できる災害、水害
近年、記録的な降雨が記録され、大きな被害を生み出しています。台風だけではなく、線状降水帯の発生による豪雨やゲリラ豪雨などにより、河川の氾濫や浸水被害、土砂崩れなどが起こっています。
京都市は、山々に囲まれた地形であることから、地下水や伏流水などが豊富です。かつて鴨川は「暴れ川」と呼ばれるほど、何度も氾濫を繰り返して大きな被害をもたらしました。
気象予報や洪水予測の精度が高くなった現在、水害は“ある程度予測可能な災害”と言われているのだそう。
水害は、京都府では桂川や宇治川のような大きな川が氾濫する場合と、支流が氾濫する場合の2つが想定されます。
大きな川が氾濫する規模の降雨は事前に把握でき、避難準備を行えます。しかし、中規模・小規模の河川が溢れる場合は、突然の豪雨によることも多く避難準備が難しいことが特徴の一つと言えるのだそう。
2023年6月の大雨でも話題となった線状降水帯
次々と積乱雲が発達し線状に列をなし、同じ場所を通過または停滞することで、一部の地域に突然大雨を降り続ける、線状降水帯。
気象庁は2023年5月25日(木)から、線状降水帯による大雨の予測情報を伝える運用基準を変更しました。
従来は、線状降水帯が実際に発生してから伝えられていた情報が、線状降水帯の発生が確認される前の“予測の時点”で発表することになりました。
避難情報にどう対応すればよいのか
ここで、避難情報について改めてどう対応するのか、内閣府(防災担当)・消防庁の発表しているガイドラインを、警戒レベルごとに確認しておきましょう。
警戒レベル1:早期注意情報(気象庁)
気象状況が今後悪化することを念頭に入れ、気象情報を細かく確認していきましょう。
警戒レベル2:大雨・洪水・高潮注意報(気象庁)
慌てず、避難の準備を始めましょう。避難先の確認を行いましょう。
警戒レベル3:高齢者等避難
災害のおそれがある場合に発令されます。避難に時間のかかる高齢者や障害のある方は、危険な場所から避難しましょう。
警戒レベル4:避難指示
災害のおそれが高い際に発令されます。必ず安全を確保できるところへ、全員が避難しましょう。
※「避難勧告」は令和3年に廃止されました。警戒レベル4までに必ず避難です!
警戒レベル5:緊急安全確保
災害発生時、または切迫時に発令されます。すでに安全な非難が難しく、命が危険な状態です。直ちに安全を確保しましょう。
気象災害への京都の取り組み
京都府には気象災害に対して情報を集めるツールがたくさんあります。事前に確認しておくことで、いざという時の初動が変わってくるので、改めて見ていきましょう。
京都府マルチハザード情報システム
住所を入力すれば、その場所の洪水時の想定浸水深や土砂災害警戒区域などをピンポイントかつ複合的に知ることができます。家から避難所までの道順を事前に確認しておけば、災害時の迅速な行動にもつながります。
外国人のための防災ガイドブック
英語など9言語および、“やさしい日本語”で解説した防災ガイドブック。(公財)京都府国際センターが作成しています。
市町村ごとのハザードマップ
災害危険箇所や避難所の場所など、地域の実情に即した防災情報を集約しています。各市町村ごとに作成・配布されています。
キキクル(危険度分布)(気象庁)
河川ごとに予測される浸水害発生危険度を5段階に色分けして表示。
避難すべきかどうかの判断材料として活用できます。
避難施設カルテ
府内市町村の避難所に指定されている施設などについて、設備や対象となる災害などを示しています。ペット同伴できるか、多機能トイレやWi-fi環境があるかなど詳細を確認できます。
京都府河川防災情報
観測地点ごとの雨量や河川水位などの情報をリアルタイムで提供されています。
きょうと危機管理WEB
気象や河川、土砂災害警戒情報、避難情報、交通・ライフライン情報など、府の危機管理に関する情報をひとまとめにしています。
SNSやメールなども
最新の防災情報を入手するのに便利なSNSやメールなどのツールもあります。
・受信したい情報をカスタマイズできる『京都府LINE公式アカウント』
・防災の豆知識や災害発生前の注意喚起などを発信している『京都府防災Twitter』
・登録した地域の情報がリアルタイムに発信される『京都府防災・防犯情報メール』
線状降水帯はどの地域にも発生し、大雨を降らし大災害をもたらす可能性があります。日頃から、防災グッズを常備し、避難場所や経路を確認、家のまわりの点検整備など心がけましょう。
文/きょうとくらす編集部
【画像・参考】 京都府「きょうと府民だより2023年6月号」
PIXTA(ピクスタ):KyoLens/adigosts/阿部モノ/ケイーゴ・K/MARUNOUCHI/みしまゆかり
※写真はイメージです。
※この記事は2023年6月に制作しています。最新の情報は各自治体HPなどもあわせてご確認ください。