KBS京都で放送中の『谷口流々』。
谷口キヨコが、京都を中心に活躍する人々の仕事現場に足を運び、十人十色の人生哲学を紐解いていきます。
2023年7月29日(土)の放送では、助産師・宮川友美さんに話を伺いました。
これまでの谷口流々はこちら!
Profile:助産師・宮川友美さん
宮川友美さんは、『出張さんばステーション聖護院 海(まある)助産所』の代表。これまでに約4,000人の出産に立ち合い、約900人の赤ちゃんを取り上げてきた助産師です。
まるでお家のような助産所
『出張さんばステーション聖護院 海(まある)助産所』は、まるでお家のような空間の助産所。
部屋に置かれたこちらは、赤ちゃんの心臓の音と子宮の張りをモニターし、赤ちゃんが元気かどうかを確かめるための機械。他にも専門的な器具がいくつか置かれていますが、それ以外は普通の空間に見えます。
この布団の上でお母さんは横になるなど好きなスタイルでお産に臨むのだそう。ストレッチボールに身体を預け、四つん這いになりながら産むお母さんもいるのだとか!
お産や妊娠、女性の身体のことにちょっと詳しい友達やおばちゃんのような感じで接してもらえればと考える宮川さん。「したいお産をしよう、その答えを一緒に見つけよう」という気持ちで、日々お母さんに向き合っています。
助産師を志したきっかけ〜助産所を開業するまで
高校卒業前に進路を決める頃、宮川さんは人と関わる仕事がしたいと考えていました。
ある日、部屋の整理をしているときに、赤ちゃんを抱っこする看護師の格好をした自分を描いた絵を見つけます。絵を見たことで小学生時代に思い描いていた自分の姿を思い出し、それを1つのきっかけに看護学校への入学を決めました。
看護学校で、赤ちゃんの取り上げを実習として経験した宮川さん。助産師になるためには、10人の出産に立ち会って取り上げることが必要だったそうです。ドキドキしすぎて何をしていたか覚えていないほど、立ち会いの現場は緊張したと宮川さんは話します。
資格に合格し晴れて助産師となった宮川さんは、卒業後総合病院の産婦人科に所属。勤務表に沿って働く総合病院では、初めて顔を合わすお母さんの出産に立ち会ったり、あと1時間で生まれる状況で別の助産師に交代したりすることがあり、モヤモヤした気持ちを抱えます。
「産婆さんがしていたことをやりたい」という思いが芽生えた宮川さんは、継続ケアをするため自身で助産所を開業しようと考えます。
出産を経験し助産師の大切さを再確認
39歳で息子の妊娠・出産を経験した宮川さん。
妊娠期間中は開業助産師さんに妊婦検診をしてもらい、アドバイスを受ける時間がとても楽しかったそうです。
時間をかけて自分の身体を隅から隅まで触り、自分が感じていることを言葉にしてくれた開業助産師さんに対し、宮川さんは「お母さんとして安心して子どもを育てていけるシャワーを注いでもらった」と話します。
不安や喜びが常に混在する妊娠期に、ぶれる不安な気持ちを「大丈夫」と落ち着かせてくれたのは開業助産師さんだったそうです。
母親になった後は、助産師ということでママ友たちから色々な質問を受けたという宮川さん。地域で子育てをしていく上で、ちょっとしたことを聞きたいのに聞けない状況があることも知りました。
これらの経験から、宮川さんは改めて助産師という存在の大切さを感じたそうです。
助産師としてのやりがい
赤ちゃんを産んだお母さんの表情を見たときに、助産師としての大きなやりがいを感じるという宮川さん。
また、子育てに困り宮川さんを頼っていたお母さんが、良い意味で音信不通になっていき、お父さん・お母さんになっていく様子を近くで見られるのも、この仕事の喜びの一つだそうです。
宮川さんを表すことば
助産師という仕事について活き活きと語る宮川さん。
今回の“宮川さんを表すことば”は『出産ドリーム』です。
人が産まれるというのは、夢が叶うこと。赤ちゃんに出会うという素晴らしい一瞬、夢の叶う瞬間が、この助産所にはあるのでしょうね。
文/中村ゆか
【画像・参考】谷口流々(毎週土曜日9:30~10:00) – KBS京都
※この記事は、2023年7月29日(土)放送時点の情報です。最新の情報は各店舗・施設にお問い合わせください。