KBS京都で放送中の『谷口流々』。
谷口キヨコが、京都を中心に活躍する人々の仕事現場に足を運び、十人十色の人生哲学を紐解いていきます。
2023年7月1日(土)の放送では、バー オーナー・織田浩彰さんに話を伺いました。
Profile:バー オーナー・織田浩彰さん
![ハーブリキュールバー オーナー・織田浩彰さんと、バーの店内](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/07/KK_230716-1_02-650x364.jpg)
織田浩彰さんは、祇園にあるハーブリキュールバー『喫酒 幾星』のオーナーです。2022年にノンアルコールスピリッツ専門の『幾星 京都蒸留室』を立ち上げました。
ノンアルコールスピリッツ専門蒸留所
![バーカウンターと織田さん](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/07/KK_230716-1_03-650x367.jpg)
店内は、サロンと呼ばれるバーブースと、蒸留室に分かれています。“作っている場所でそのまま飲む”というのがお店の一つのコンセプトで、蒸留室でノンアルコールスピリッツを蒸留し、それをバーブースで提供しています。
![ボトルなどが並ぶ蒸留室](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/07/KK_230716-1_04-650x364.jpg)
ノンアルコールスピリッツのベースは水なので、味というよりは、濃縮した香りを楽しむものなのだそうです。
![神代杉のカクテル『然仙』](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/07/KK_230716-1_05-650x365.jpg)
例えばこちらのカクテル『然仙』は、水中に埋もれたまま長い年月が経過した杉である神代杉のフレーバーのスピリッツを使っています。口の中で杉の香りがふわっと開くような風味が楽しめます。
ハーブリキュールバー『喫酒 幾星』をオープン
![谷口キヨコさんと織田浩彰さん](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/07/KK_230716-1_06-650x364.jpg)
東京出身の織田さんが京都に来たきっかけは、大学進学でした。大学時代は文学部に所属していましたが文学の勉強に飽きてしまい、法律関係の仕事がしたいと思うようになります。
勉強を始め、法律関係の試験を受けるなど努力を続けましたが、28歳の時に法律家への道を断念し、アルバイトをしていた飲食業界へと進みます。
![ハーブリキュールが入ったボトルとグラス](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/07/KK_230716-1_07-650x366.jpg)
もともとお酒が好きだったという織田さん。これまで法律の勉強に注いでいた労力と時間を、今度はお酒の勉強に注ぐようになりました。
やがて、薬草を使ったハーブリキュールがメインのお店をしたいと思うようになります。
![バーカウンターに立つ織田さん](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/07/KK_230716-1_08-650x363.jpg)
織田さんは以前からハーブリキュールが好きでしたが、日本ではまだ飲める種類が少ないと感じていました。そこで、「ハーブリキュールが好きな人たちに、選択肢を与えられるようなお店ができたらな」と考えました。
そうして30歳の時に、祇園にハーブリキュールバー『喫酒 幾星』を立ち上げました。
ハーブリキュール作りを探求
![ヨーロッパ留学中の織田さん](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/07/KK_230716-1_09-650x366.jpg)
織田さんは本場・ヨーロッパに渡り、ハーブリキュール作りを学びました。「本場のリキュールに衝撃を受け、それからしばらくは自分でリキュールを作るのが怖くなった程でした」と話します。
![](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/07/KK_230716-1_10-650x365.jpg)
さらに織田さんは、山歩きも始めました。山に囲まれた京都の街でお店をするなら、近隣の山で摘んだ草でリキュールを作って出したいと考え、自ら山に向かったのです。
![山中の織田さん](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/07/KK_230716-1_11-650x361.jpg)
そこで、とあるお寺の住職との出会いがありました。お寺の敷地に薬草園があることを知り、織田さんはそこでの薬草栽培にも関わるようになります。
頭だけではなく身体も動かして、理想のお店を少しずつ形にしていきました。
![ハーブリキュールカクテル『レグジスタンス』](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/07/fb4679c38410c0aa3827de9e98e4d08c.jpg)
ハーブリキュールカクテル『レグジスタンス』を作っていただきました。ヨモギの風味がアクセントとなって最後にやってきます。織田さんの薬草栽培の話を聞くと、また一段と味わい深いものになります。
ノンアルコールバーの可能性
![蒸留機](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/07/KK_230716-1_12-1-650x364.jpg)
ある時、織田さんは小さな蒸留機を購入しました。「バーテンダーなので本当はお酒の蒸留をやってみたかったのですが、それには免許が必要。なので、試しに水で蒸留してみようと思い立ちました」と織田さんは話します。
すると、思いのほか薬草の香りがしっかりと出たことに驚き、それからは色々な植物を取り寄せては蒸留してみるという作業をひたすら繰り返しました。
![谷口キヨコさんと織田浩彰さん](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/07/KK_230716-1_13-650x366.jpg)
その後、コロナ禍に入りアルコールの提供ができなくなったことをきっかけに、織田さんは「ここにある材料を生かして、ノンアルコールのドリンクを提供したらいいんじゃないか」と考えます。
実際にノンアルコールリキュールを提供してみると、「お酒は飲めないけど、バーには行ってみたい」と思っていた人たちから反響がありました。
そんなお客さんの反応を受け、飲み物を楽しむ際の選択肢を広げられるならと、これまで培ったノウハウを生かしてノンアルコールバーが誕生したのです。
織田さんを表すことば
![手書きされた“織田さんを表すことば”](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/07/KK_230716-1_14-650x367.jpg)
今回の“織田さんを表すことば”は、『文系かと思いきや理系 そして…』。お店へのこだわりやオープンまでのストーリーを語ってくれた様子はまさに文系、そしてハーブリキュールの蒸留を探求する姿は理系。そしてそんな織田さんが提供するハーブリキュールを実際に味わって、世界を広げてみてほしいとの意味が込められています。
みなさんもぜひ『喫酒 幾星』を訪れて、ノンアルコールハーブリキュールの奥深い世界を楽しんでみてくださいね。
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文/ななえ
【画像・参考】谷口流々(毎週土曜日9:30~10:00) – KBS京都
※この記事は、2023年7月1日(土)放送時点の情報です。最新の情報は各店舗・施設にお問い合わせください。