KBS京都で放送中の『谷口流々』。
谷口キヨコが、京都を中心に活躍する人々の仕事現場に足を運び、十人十色の人生哲学を紐解いていきます。
2023年6月3日(土)の放送では、警察犬訓練所所長・黒田明さんに話を伺いました。
Profile:警察犬訓練所所長・黒田明さん
警察犬訓練所所長・黒田明さんは、警察犬の訓練や家庭犬のしつけを行う『京洛警察犬訓練所』の2代目。『京洛警察犬訓練所』には、ペットホテルやドッグランも併設しています。
警察犬を育てる
『京洛警察犬訓練所』は、家庭犬の簡単なしつけから警察犬の訓練まで実施している施設です。
2023年4月には、京都府警察嘱託警察犬に9頭が登録されました。
ジャーマンシェパードのリキちゃんは警察犬を目指して訓練中です。
『臭気選別訓練』という犯人のものと思われる遺留品を想定し、犬に選別させる訓練の様子を見せてもらいました。
遺留品を想定した臭いをリキちゃんにしっかり嗅いで覚えてもらい、リキちゃんを離すと……、
すべての布の臭いを嗅いだ後、先ほど覚えた臭いと同じ臭いをつけた布を咥えて帰ってきました!
ボウリングから警察犬の競技会へ
黒田さんのお父さんは、『京洛警察犬訓練所』の初代所長でした。子どもの頃、お父さんの仕事に憧れたそうです。
中学生になってからはボウリングが好きで、高校の頃には競技ボウラーとして活躍もしていました。将来プロボウラーを目指して活動していましたが、22歳で家業に入ることにしました。
働きだしてみると朝も早く休みも少なく、見習いの頃はよく犬にも吠えられたそうです。新入りだった黒田さんは犬からみてもわかっていたようです。
家庭で飼われている犬を担当し、一生懸命訓練を行い、23歳の時には警察犬の競技会に初めて参加しました。
初めての競技会では、想像していた結果が出ず、審査員の点数は厳しいものでした。しかし、ボウリングで培われた競技魂に火がつき、「次こそは審査員が減点したくてもできないようにしてやる」と、完璧主義で負けず嫌いの黒田さんは決意しました。
犬との関係作りが一番難しいところだと黒田さんは話してくれました。
厳しくすると当然言うことは聞いてくれるのですが、犬は怒られるのが嫌で仕方なく動くようになり、スピードが遅かったり、楽しそうでなかったり、美しくないのだそうです。
犬も楽しく喜んで動き、しかし、遊んでいるだけではないというバランスが非常に難しいのだそうです。
その後、4回目の出場で全国1位に輝きました。訓練所には数々のチャンピオン犬の写真がたくさん飾られています。「勝因は犬が頑張ってくれたから。もうそれが全てです。」と優しく微笑みながら黒田さんは話します。
犬の幸せを願って
競技会で賞を取り、順調のように思えましたが、十数年前に『京洛警察犬訓練所』が火災に見舞われました。
職員も犬もみんな無事に避難してくれましたが、建物が全焼し、2階の寮に住んでいた黒田さんは服をはじめ全てが燃えてなくなってしましました。
黒田さんのお父さんはその頃70歳を超えており、それをきっかけに引退を決意。黒田さんが継ぐのであれば、綺麗に建て直してやらざる負えなくなりました。
見積もりを出すと何千万円という金額になり、もしうまくいかなければ借金だけが残るため、他の仕事をお父さんからは勧められたそうです。
ただ、犬無しでは生きていけないという思いがあり、奮起し立て直しに向けて動き出しました。
それまでは少し敷居が高い“警察犬訓練場”という門構えでしたが、ドッグランを入口に作り、なるべく気楽に遊びに来てもらえるようにしました。
その甲斐あって、お客さんも増え、今日までやってこれたそうです。
黒田さんを表すことば
「警察犬として社会貢献することに加え、自分自身は日本一もとったので、今度は働いてるスタッフを後継者として育てたい。そして、犬と飼い主さんがお互いに幸せな社会づくりを手助けできればなと思っています」と黒田さんは話してくれました。
今回の“黒田さんを表すことば”は 『犬と喜びあう』。訓練も家庭生活も楽しむということがキーワードで、その先には人間と犬が一緒に喜びあうということがあるんですね。
一緒に喜びが増えていくというのはとっても素敵なことですね。負けず嫌いで日本一にまで輝いた黒田さん。『京洛警察犬訓練所』の今後に注目です!
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文/きょうとくらす編集部
【画像・参考】谷口流々(毎週土曜日9:30~10:00) – KBS京都
※この記事は、2023年6月3日(土)放送時点の情報です。最新の情報は各店舗・施設にお問い合わせください。