「頑張りすぎないマネープランで夢の実現を!」がモットーのCFP(R)認定者(ファイナンシャル・プランナー)・八束和音です。

連載『FP八束の「お金とくらす」』では、子育て世帯が知っておきたい“お金にまつわる知識や情報”をご紹介します。
大学進学にともなって、子どもが地方から首都圏などに出て一人暮らしを始めるケースも。その場合には、学費だけではなく生活費も必要となるため、“仕送り”の計画もしっかり立てておく必要があります。
そこで今回は、子どもが実家を離れて暮らす場合の仕送りの金額や、援助のポイントについて紹介します。
仕送りの平均額ってどれくらい?
実際に下宿などをして親元を離れている子どもに、いくらぐらい仕送りをしているのかをみてみましょう。全国大学生活協同組合連合会の『第60回学生生活実態調査』によると、下宿生の1カ月あたりの仕送りの平均額は、72,350円。「生活費を稼ぐためにバイトばかりして勉強がおろそかになる」といったことを避けるためにも、ある程度の親のサポートは不可欠です。

一人暮らしの費用の中でも、大きなウェイトを占めるのが、家賃。同じく全国大学生協連の『保護者に聞く新入生調査(2024年)』によると東京・埼玉・千葉・神奈川(首都圏)に進学した場合の月額家賃は、68,300円となっています。東北は48,900円、東海は50,300円、京都・滋賀・奈良は57,900円、大阪・兵庫・和歌山は56,200円、中国・四国は44,100円、九州・沖縄は46,500円となっています。地域ごとに格差があり、都市部ほど家賃負担が大きいことがわかります。
大学生のリアルな生活費内訳は?
次に、学生の生活費の内訳をみてみましょう。下記の表は「一人暮らしの大学生の支出」です。家賃に次いで負担が大きいのが“食費”ですが、外食中心の生活なのか自炊しているのかでも変わってきます。賄いがついた飲食のアルバイトなどをしていれば、食費は意外に安く抑えられることも。我が子がどんな生活を送っているかを把握することで、適正な仕送り額を設定しやすくなります。

さらに、交際費などの“雑費”や、“衣服・美容費”などにも、ある程度のお金がかかることも理解しておきましょう。交友関係を広げて学生生活を楽しむことは、とても貴重な経験です。「自分が学生だったら……」という想像力を働かせ、過不足のない収入もイメージしておきたいですね。
仕送りだけでは足りない? 収支のバランスを考えよう

データからもわかるように、仕送りだけで全てを賄っている学生はあまり多くなく、アルバイトや奨学金を組み合わせているケースがほとんど。学業の忙しさは学部によっても異なるため、どれぐらいアルバイトが可能な状況なのかも確認しておきましょう。留年すると貸与型の奨学金が受けられなくなる可能性もあり、その後の学費の計画にも大きく影響を及ぼします。親子でしっかり話し合い、ベストな収入のバランスを探ってみてください。
また、長期休暇など赤字になりやすい時期も押さえておきたいもの。長期休暇はアルバイトがいつもより多くできるタイミングではありますが、帰省や旅行など支出も膨らみやすい傾向に。そのようなタイミングは少し多めに仕送りする……といったことも必要かも。
FP八束のひとこと
一人暮らしを始めて大人になったようにみえても、お金の面では親の援助に頼らざるをえないのが“大学生”です。社会人とは違うことを理解して、適切なサポートを心がけてくださいね。
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