まとまった金額が必要になる子どもの進学費用。必要になる時期が決まっているので計画が立てやすい一方で、「お金が貯まっていないから支出を後回しにしよう」という選択ができません。
そこで今回は、子育て世代にとって気になる“教育資金の貯め方”についてFP(ファイナンシャルプランナー)である筆者が紹介します。
どんな貯め方があるの?
(1)保険商品を活用する
『学資保険(がくしほけん)』は、毎月固定の保険料を支払うことで、子どもの進学の節目や満期時に、お祝い金や満期保険金を受け取れるもので、ずばり“教育費の準備”を目的とした保険です。契約者に万が一のことがあった時には以降の保険料は免除されますが、お祝い金や満期保険金は受け取ることができます。
また、低解約返戻金型の『終身保険』を活用する方法も。この保険は、途中解約の場合の解約返戻金額が低い代わりに、払込期間が終わると支払った保険料を上回る解約返戻金を受け取れる場合が多いです。子どもの進学時期を見据えた期間をあらかじめ設定し、進学時に払込期間の満了を迎えることで、返戻金を学費に利用することもできます。
保険商品のメリットは、貯蓄と保障を兼ね備えたところ。契約者である親に万が一のことがあっても教育資金を準備することができます。しかし、その一方で、低金利時に加入すると低い予定利率で固定され、途中解約すると払い込んだ保険料を下回るというリスクもあります。
加入の際は、金利率の確認や加入のタイミングなどをしっかり見極めることが重要です。
(2)預金等で積み立てる
銀行の定期預金など、身近な金融機関の商品を活用して積み立てる方法もひとつです。『積立定期預金』は、毎月決まった金額を、自動的に積み立てていくことができるので便利です。また、勤務先に『財形貯蓄』の制度があれば、給与から天引きで確実に貯めることが可能です。
これらを活用するメリットは、元本割れがなく解約がしやすい点。もちろん、教育資金以外の資金として使うこともできます。その反面、「途中で取り崩してあまり貯まらなかった……」ということが起こる可能性も。いつまで続けるのか、どのタイミングで解約するのかの見極めが大切です。
また、『積立定期預金』や『財形貯蓄』のほかにも、金利上昇を見据えるなら『個人向け国債(変動10年)』も選択肢になるかもしれません。半年ごとに金利が見直されるので、将来の金利アップも期待できます。銀行、郵便局、証券会社などで1万円から1万円単位で購入ができ、1年経過すれば途中解約もできます。こちらも国が破綻しない限り元本割れのリスクがなく、解約がしやすい点がメリットです。
(3)投資信託で運用する
「インフレが気になる」「積極的に運用したい」という人なら、『投資信託』を活用して積み立てていくのも一手です。NISA口座のつみたて投資枠を活用すれば、年間120万円まで運用益が非課税になります。投資対象は“長期・積立・分散投資”に適した投資信託です。子どもの進学まで時間がある人なら、検討してみてもよいでしょう。
投資信託を活用して運用するメリットは大きく増やせるチャンスがあり、インフレにも対応ができる点。ただし、元本確保ではないので、値下がりの可能性があることには留意しましょう。
どの方法を選ぶ?
教育資金の貯め方の代表的な方法を3つお伝えしましたが、それぞれにメリット・デメリットがあります。どれか一つに絞るのではなく、いくつかの方法を組み合わせることも考えてみましょう。
また、子どもの年齢によっては『学資保険』に加入できなかったり、長期運用を前提とした『投資信託』での運用は適さないといったことも。さらに、判断に迷う人は“いつでも解約できることを重視して様子を見てみる”といった考え方もできます。
それぞれの特徴をしっかりと理解した上で、自分たちに合う方法を選んでくださいね。
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文/八束和音(CFP認定者)
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※この記事は2024年7月に制作しています。最新の情報はウェブサイトとあわせてご確認ください。
※この記事は2024年7月28日(日)に再配信しています。