加速する円安や物価上昇……とても頭が痛いですよね。「スーパーに行く度にため息が出る」という人も多いのでは。
年度の節目となる4月には様々なものが値上がりし、制度の見直しも行われました。私たちの生活に影響がある変化について、FPである筆者が紹介します。
まだまだ続く、身近な料金の値上げ
(1)食品の値上げ
生活に身近な“食品”ですが、帝国データバンクの調査によると主要食品メーカーの4月に値上げをした品目は、なんと2,800以上!
中でもハム、ソーセージ、冷凍食品といった加工食品や、世界的な猛暑によるトマトの不作の影響でケチャップなどの調味料が値上がりしているのが目を引きます。例えば、大手食品メーカーのハムを例に取ると、最大で20%以上値上がりしているものも。
(2)宅配料金や電気料金の値上げ
また、2024年問題で動向が注目される“宅配料金”にも値上げの動きが。大手の宅配便業者のクール便などが4月から料金が引き上げられています。
生活に不可欠な“電気料金”も大手電力10社で見直され、一般家庭の電気代で4月分から500円前後の値上げとなる見込みです。どれも私たちの生活に身近なものばかりなので、今後の家計にとってその影響は小さくありません。
社会保険はどう変わったか
(1)公的年金の支給額
物価の上昇に伴い“公的年金”の支給額も引き上げられました。『老齢基礎年金(満額)』の月額は令和5年度の66,250円から令和6年度は68,000円に、夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金月額は令和5年度の224,482円から6,001円増え、令和6年度は230,483円に。
しかし、一見すると年金額は増えているのですが、『マクロ経済スライド』というしくみによって、物価上昇よりも年金額の上昇率は抑えられていることには注意が必要です。
(2)国民年金保険料の支払額
支給額が増える一方で、支払う『国民年金保険料』もアップしています。令和5年度の保険料の月額16,520円から令和6年度は16,980円となり、自営業などの第一号被保険者の支払う保険料は、年間で5,520円も増えています。
これ以外にも、75歳以上の後期高齢者の医療保険料や、40歳以上が支払う介護保険料が多くの人で引き上げられるなど、社会保険料の負担増が続いています。
その他の見直し
さまざまなものの値上がりの一方で、給与の引き上げを行う会社も着実に増えています。2024年の賃上げ率は、大企業で5.3%、中小企業でも4.42%という高水準なものになりました。
このような状況を受け、日本銀行が長く続いてきた『マイナス金利』の解除に踏み切りました。その結果、多くの金融機関で普通預金や定期預金の金利が上昇しています。メガバンクを例に取ると、普通預金金利が0.001%から0.02%に。低金利であることに変わりありませんが、大きな変化といえるでしょう。
さらに、給付型奨学金の世帯年収の上限が、これまでの380万円から600万円に引き上げられました。これは子育て世帯にとって嬉しい制度改正。また、私立高校の授業料の無償化をスタートさせた都道府県などもあり、子育の教育に対するバックアップは手厚くなる傾向にあります。
入学や進学などさまざまな節目となる4月。私たちのお金にまつわる変化をしっかりと把握して、家計運営に役立てていきたいですね。
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文/八束和音(CFP認定者)
【画像・参考】
「食品主要195社」価格改定動向調査 ― 2024年4月| 株式会社 帝国データバンク[TDB]
国民年金保険料|日本年金機構 (nenkin.go.jp)
令和6年4月分からの年金額等について|日本年金機構 (nenkin.go.jp)
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※この記事は2024年5月に制作しています。最新の情報はウェブサイトとあわせてご確認ください。