医療費控除イメージ
暮らす

去年の医療費を取り戻せるかも…! FPが教える「医療費控除」

新しい年を迎え、さまざまな出費がかさむお正月。今年一年のやりくりを考えるのと同時に、昨年の支出で取り戻せるお金もチェックしたいですね。

「去年はよく病院にかかった」「家族が病気で入院した」といった人は、確定申告で『医療費控除』が受けられるかもしれません。

そもそも「医療費控除」とは?

医療費控除イメージ
画像:Yotsuba/PIXTA(ピクスタ)

よく耳にする『医療費控除』とは、どういったものなのでしょうか。『医療費控除』とは1月1日から12月31日の一年間に、10万円を超える医療費を支払った場合に受けられる控除のこと。

税金を納める本人だけではなく、生計を一にする配偶者や扶養家族の医療費も含めることができます。

確定申告イメージ
画像:artswai/PIXTA(ピクスタ)

通常は会社員の場合、年末調整で納税が完了するので確定申告は不要。しかし、『医療費控除』は年末調整で控除が受けられないので、適用を受けたい場合には、翌年の2月16日から3月15日までの間に確定申告を行います。

源泉徴収票や医療費の領収書や通知書、マイナンバーなどを用意して、国税局のホームページから入手できる『確定申告書』を作成し提出します。『e-Tax』を利用すれば、オンラインで手続きができて、税務署に出向く必要がなく便利ですよ。

どんなものが対象になる?

車いすを押す女性
画像:Luce/PIXTA(ピクスタ)

対象となる医療費にはどんなものがあるのでしょうか。

病院での診療、治療費だけではなく、医薬品、妊娠してから受けた定期健診や検査費用、通院にかかる電車代、バス代などの交通費も含めることができます。また、介護保険の対象となる介護費用なども対象です。「親を扶養していて介護費用の負担が大きい」といった人にも、心強い制度ですね。

計算する女性
画像:hirost/PIXTA(ピクスタ)

その一方で、人間ドッグや健康診断、予防接種の費用や、眼鏡、コンタクトレンズの購入費用などは対象外。また、入院にかかる費用の中でも、差額ベッド代などは対象になりません。通院の交通費であっても自家用車のガソリン代や駐車料金は、医療費に含めることができないので注意が必要です。

対象になるものとならないものは、国税庁のホームページ(No.1122 医療費控除の対象となる医療費)からも確認できます。

控除額の計算は?

妊婦が電卓で計算する様子
画像:hirost/PIXTA(ピクスタ)

『医療費控除』の控除額は、1年間に支払った医療費の合計額から、高額療養費や出産育児一時金、生命保険会社から受け取った保険金などを差し引き、そこから10万円を引いて計算します。

例えば支払った医療費の総額が50万円、高額療養費の払い戻しと加入している医療保険から合わせて20万円を受け取った場合、20万円(50万円-20万円-10万円)が控除額となります。

<計算式>
医療費控除額=(実際に支払った医療費の合計額-保険金等で補填される金額)-10万円※
※その年の総所得金額等が200万円未満の人は総所得金額等×5%

しかし、これはあくまでも控除額なので実際に還付される金額とは異なります。例えば、所得税の税率が5%の人ならば1万円(20万円×5%)、10%の人ならば2万円(20万円×10%)が戻る計算に。

住民税イメージ
画像:CORA/PIXTA(ピクスタ)

また『医療費控除』は、所得税だけではなく住民税にも適用されます。住民税の税率は一律10%なので、支払う住民税が2万円減るイメージです。

いかがでしたか? 「思ったよりも金額が小さいな……」と感じた人もいるかもしれません。しかし、物価上昇で家計が厳しくなる中、取り戻せるお金はしっかりと戻したいもの。控除の対象となるようなら、面倒がらずに確定申告にぜひトライしてみましょう!

関連記事:これまでのお金に関わる記事はこちら

文/八束和音(CFP認定者)

【画像・参考】PIXTA(ピクスタ):CORA/Yotsuba/artswai/Luce/hirost
No.1122 医療費控除の対象となる医療費 – 国税庁
※この記事は2024年1月に制作しています。最新の情報はウェブサイトとあわせてご確認ください。