KBS京都で放送中の『谷口流々』。
谷口キヨコが、京都を中心に活躍する人々の仕事現場に足を運び、十人十色の人生哲学を紐解いていきます。
2023年6月10日(土)の放送では、古本・雑貨・立ち飲み店店主・清野郁美さんに話を伺いました。
Profile:古本・雑貨・立ち飲み店 店主・清野郁美さん
清野郁美さんは、修学院の一角に佇む、古本・雑貨・立ち飲み店『ba hutte.』の店主。街に開かれた細長い小屋は、地域のコミュニティスポットになっています。
三刀流のお店
古本を始め、雑貨などたくさんのものがぎゅっと置かれた店内。古本は、清野さんとご主人がセレクトしていて買ってきた本を販売しています。清野さんのご主人は新刊の本屋さんで長く働いているそうで、清野さん自身も過去に本屋の仕事をしていたそうです。
「私たちが好きなものを買ってきて、私たちの部屋の本棚を見てもらってる感じです。」と清野さんは話します。
雑貨や洋服は新品を扱っていて、季節ごとに服やバック、フェアとして器などを置いています。
さらにカウンターでは、立ち飲みをすることができます。
何屋さんかと聞かれることもあるそうですが、「思ってもらった印象がそのお店です」と清野さんは話します。
様々な業界を経て独立
大学では建築の勉強をしていた清野さん。卒業後は大学で教えてくれていた先生の設計事務所で働きました。
寺院との仕事が多い設計事務所で、清野さんがやりたいと思っていた住宅などの建築と違ったこともあって、設計事務所は退職。
次は本屋さんへ。雑誌や料理本など担当すると発注、仕入れ、売上管理と“商いの一つの流れ”を任せてもらえ、やりがいを感じ社員として働きました。
勤めていた本屋さんには書籍部門の他に雑貨部門があり、本屋と雑貨屋の複合施設を作る話が出ていました。その複合施設の立ち上げ時の店長となり3年間店長を経験しました。
順調に思えましたが、29歳の時に電車で帰宅中に突然具合が悪くなった清野さん。病院で検査した結果、転機となるような大きな病気を見つかりました。休暇を突然取ることになり、その時にこのまま接客業で異動などもある中で、体力的にも続けていけるのかと考えました。
そして、これまで全くやってないことをしたいと、清野さんがお酒好きだというのもありワイン販売店へ就職しました。
ワインセラーでの仕事は寒く、病気との相性が良くなかったようで、身体の負担を感じながら働いていました。
その頃に、以前働いていた複合施設に卸していたメーカーさんから声をかけてもらい、新しいハンカチ専門店の店長になり、4年ほど勤めました。
居心地の良い場所
そして、ついにこのお店に行きつきます。これまで経験した仕事が全て今に繋がり、活かされて、清野さんは今とても自然に居心地良くお店を運営しているそうです。
この楽しく自然に取り組む中でお客さんに来てもらい、こういった働き方もあるのだと知り、少し価値観が変わったと清野さんは話します。
清野さんはこのお店でコロナ禍を経験しました。コロナ禍では何が起こるかわからないからこそ、その時に楽しいこと面白いこと喜んでもらえることを全力でしようと自然に考え、そのタイミングでお店の北側に飲食スペースを増設しました。
すると、『ba hutte.』では食べ物を出していませんが、料理店をやってる人たちがイベント的に出張で料理を出してくれるようになりました。
ただ「楽しいこと、喜ばれることをしよう」と清野さんが考えたことが、ブラッシュアップする結果となり、売り上げ目的だけで運営するのではなく、あくまでお客さんに楽しんでもらって、自分も楽しむということの大切さを学んだようです。
『ba hutte.』は、人と会って、美味しいものを食べ、ほっこりと楽しむという場所になっています。
清野さんを表すことば
今回の“清野さんを表すことば”は、『ストレスって何やったっけ…っていう場』。清野さん自身もお客さんも、結果的に「ストレスって何やったっけ…」となれる場所が『ba hutte.』なのでしょうね。
自然体で好きなものに囲まれて働く清野さん。そのワークスタイルだからこそ生まれる穏やかな笑顔が素敵な女性でした! ぜひ皆さんも一度『ba hutte.』を訪れてみてください。
京都で輝く人たちは他にも!(関連記事)
文/きょうとくらす編集部
【画像・参考】谷口流々(毎週土曜日9:30~10:00) – KBS京都
※この記事は、2023年6月10日(土)放送時点の情報です。最新の情報は各店舗・施設にお問い合わせください。