KBS京都で放送中の『谷口流々』。
谷口キヨコが、京都を中心に活躍する人々の仕事現場に足を運び、十人十色の人生哲学を紐解いていきます。
2023年9月9日(土)の放送では、老舗漬物店の4代目・川勝隆義さんに話を伺いました。
Profile:老舗漬物店の4代目・川勝隆義さん
川勝隆義さんは100年以上の歴史を持つ老舗漬物店『川勝總本家』の4代目。
人生すべてを漬物づくりのために生きてきた“ミスター京漬物”です。
京都の老舗漬物店「川勝總本家」
『川勝總本家』は大正6年(1917年)創業の老舗漬物店。
川勝さんが特にオススメする商品がこちらの『祇園漬』。同店の初代が考案し、創業当初から販売している1番人気の漬物です。
奈良漬をしょうゆとみそでもう1度漬け直して熟成させたもので、奈良漬にしょうゆとみその香ばしさをプラスした漬物なのだそう。ごはんとの相性抜群のお味です♡
そのほか、とってもジューシーな茄子の漬物など、魅力的な漬物が揃っています。
『川勝總本家』の理念は“愛と汗”。愛は“人づくり”、汗は“ものづくり”という初代の言葉です。
「一生懸命ものをつくるという想いを持って人を育てていくということなんですけど、そのものに対して、自然のものをいかに美味しくいただいてもらえるよう作っていくかというのが我々の理念です。」と、川勝さんは語ります。
生まれ持った環境
漬物店に生まれた川勝さんですが、子どもの頃は家業を継ぐ気持ちは無かったそうです。しかし、自分が長男であることから自然と店を継ぐ気持ちが固まっていったのだそう。
家と会社が一緒で、職人さんや従業員の方がたくさんいる中で育った川勝さん。中学・高校生時代はほとんど親と口をきかなったほどの反抗期だったといいます。
若い自分だからこそ「こうやったらよいのでは」と思うことも増え、少しずつ経営者としての視点を持つようになっていったそうです。
すべて漬物づくりのために
家業を継ぐため川勝さんは大学で経営学を学び、卒業後はお金の勉強のためにまずは銀行に就職しました。
銀行で3年間勤めた後は、販売のノウハウを学ぶために百貨店へ転職。2年間勤め、経験者の方に色々教えてもらううちに、どうすればお客さんが喜ぶかを知ることができたといいます。
その後は1年間農家に住み込みで働きながら農業を学び、野菜を作るところから勉強しました。
これらの6年間の修行後、満を持して家業に入ったそうです。最初は自分に反対してくる人もいましたが、努力をしていった結果少しずつ社員や取引先の方に認めてもらえるようになってきたといいます。
4代目が行った大きな変革
かつては百貨店に入っているテナントでの営業が主流だった『川勝總本家』。川勝さんは観光地でお店を出すことを決意します。
2016年、嵐山に初めて直営の路面店をオープン。これをきっかけに『川勝總本家』を知らなかった若い人や海外の人など、新たな客層を獲得することに成功しました。
「従業員さんのことを全員家族だと思っています。だからストレートに言いたいことを伝えることができる。それがよい組織になっていっているのでは」と話す川勝さん。
創業から100年を迎えた同店が次の100年を目指すため、当たり前のことを当たり前のようにコツコツ積み重ねていきたいと考えています。
川勝さんを表すことば
今回の“川勝さんを表すことば”は、『川勝ファミリービジネス』です。
従業員や取引先の方、そして購入者である私たちを含めて川勝さんファミリーの一員だという意味が込められています。血縁関係者だけでビジネスを行うのではなく、多くの人たちと信頼関係を築いてここまで歩んできた川勝さんを表している言葉です。
川勝さんの行った変革でより多くの人に知られることになった『川勝總本家』。その漬物の美味しさをぜひ味わってみてくださいね。
文/中村ゆか
【画像・参考】谷口流々(毎週土曜日9:30~10:00) – KBS京都
※この記事は、2023年9月9日(土)放送時点の情報です。最新の情報は各店舗・施設にお問い合わせください