KBS京都で放送中の『谷口流々』。
谷口キヨコが、京都を中心に活躍する人々の仕事現場に足を運び、十人十色の人生哲学を紐解いていきます。
2023年10月14日(土)の放送では、絵本カフェ店長・洞本昌哉さんに話を伺いました。
Profile:絵本カフェ店長・洞本昌哉さん
絵本カフェ『Mébaé(めばえ)』の店長で、絵本専門士の資格を持つ洞本さん。京都を中心に展開している書店『ふたば書房』の3代目でもあります。
『Mébaé(めばえ)』の店内には600種類以上の絵本が並んでおり、全て店内で読めるほか、購入することもできます。
「何度も読んで楽しめるのが絵本の良さ。文字では語り尽くせないものを絵で表現している絵本は、子どもの心を豊かにしてくれる」と洞本さんは話します。
「ふたば書房」の3代目
洞本さんが『Mébaé』をオープンしたのは生まれ育った地元。
本屋の子どもとして生まれ、幼いころから本は“触ってはいけない商品”と思っていたのだそう。珍しい名字も相まって、周囲からは常に“本屋の3代目”といわれてきました。子どものころはそのような環境に居心地の悪さを感じていたといいます。
そこで高校卒業後は、京都市と同じくらいの人口の都市で、かつ大好きなアウトドアを楽しめる自然もあるという理由から、札幌市の大学へと進学しました。
嫌いなはずだった本への興味
地元を離れた大学時代は「めちゃめちゃ楽しかったです」と茶目っ気たっぷりな洞本さん。大学で落語研究会に入ると、とにかく話術を鍛えることを求められました。
このとき手にした落語の入門書によって、初めて本に興味を持つようになったのだそう。北海道から京都までの長距離フェリーの中では本に夢中になっていたといいます。
進学で地元を離れた洞本さんでしたが、いずれは家業を継ぐことを考えていました。本屋の商売は何よりも仕入れのためのお金が必要。そのため、まずは資産運用の勉強をしようと大学卒業後は銀行へ就職。
家業を継ぐ契機となったのは阪神淡路大震災でした。
当時の神戸支店が全壊し、洞本さんの実家が被災した従業員家族の緊急避難先となりました。そんな中、父親から帰ってくるよういわれたといいます。
絵本のプロ
やがてプライベートでは子どもが誕生。子どもに絵本の読み聞かせをしながら、児童書の魅力に気がついたのだそう。
そこで、店舗を出していた百貨店で読み聞かせをしようとしましたが、そのためには『JPIC読書アドバイザー』であることが必要でした。
『JPIC読書アドバイザー』は本の内容を熟知し、その子どもに合ったお話をしてあげることのできるスキルを持っていることの証なのだそう。
「本の中身を知ってこそ“本のプロ”」と力を込めて語る洞本さん。
また、大人の鑑賞にも耐えうるクオリティの高い絵本を広めるための『絵本専門士』という資格もあります。
洞田さんは、2016年5月に京都市内では初めてこの『絵本専門士』の資格を取得。同年9月には絵本カフェ『Mébaé』をオープンしました。
店名には「絵本を大人が読むことで、何か新しい次のステップが芽生えるのでは」という思いが込められています。
「絵本をはじめとする他の情報や事象に触れることで、新しい発見をしたり気持ちの逃げ場ができたりする。もっと気楽になれる空間や情報の提供を我々ができれば。特に本屋はもっと余裕を持ってお客さんと接する方がいい。本は余裕を与えてくれるものだと思う」と洞本さんは話します。
洞本さんを表すことば
“洞本さんを表すことば”は、『余白大事』です。
大人になり余白の大切さを感じると同時に、余白を楽しめるようになったという人も多いのではないでしょうか。
ぜひ絵本カフェ『Mébaé』で、お茶をいただきながら絵本を読むという“余白時間”を味わってみてください。
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文/さとみ縁
【画像・参考】谷口流々(毎週土曜日9:30~10:00) – KBS京都
※この記事は、2023年10月14日(土)放送時点の情報です。最新の情報は各店舗・施設にお問い合わせください。