京都にはたくさんの神社仏閣がありますが、長年、子どものいる家庭が訪れご利益を授かってきたスポットもいくつかあります。
我が子の健やかな成長は親にとって何ものにも代えがたいもの。『きょうとくらす』では、子どもや家族を守ってくれる存在として、京都で長い間親しまれている神社仏閣をご紹介します!
今回は、子どもを守る神様として信仰されている『三宅八幡宮』(京都市左京区)をご紹介します。
三宅八幡宮とは
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『三宅八幡宮』があるのは、洛北と呼ばれるエリア。
最寄りは叡山電鉄・八幡前駅、もしくは京都バス・八幡前で下車して徒歩約2分ほど。道中の歩道は狭いので、小さな子ども連れの場合は車で行き、境内の南側にある有料駐車場を利用するのがおすすめです。参拝者は無料で利用できますよ。
御祭神は、“八幡さん”で知られる『応神(おうじん)天皇』。“八幡さん”は武運や厄除け、安産の神様として日本各地で広く信仰されており、京都では『石清水八幡宮』も有名です。
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“八幡さん”の使いは鳩。『三宅八幡宮』の鳥居の両脇には狛犬ならぬ“狛鳩”が鎮座しており、境内には鳩の群れもいました。

また、手水舎の柱や灯籠、屋根瓦の上など、いたるところに鳩のモチーフもありましたよ。
“虫除け”が転じて子ども守護の神様に

かつて『三宅八幡宮』は、田んぼの害虫を除ける神様として知られていました。そこから転じて、子どもの疳(かん)の虫を治める神様として信仰されるようになったのだそう。
昔、子どもが夜泣きをしたり癇癪を起こしたりするのは、体の中にいる虫が悪さをしているからと考えられていたそう。同社はその虫を治めてくれるご利益があるとして、特に幕末から明治末期にかけて信仰が深まったといわれています。

また、『三宅八幡宮』は、明治天皇が幼い時に病気になった際、平癒の祈祷を命じられた数少ない神社のひとつでもあります。明治天皇が無事に回復したことから、大阪や滋賀など近畿一円からも参拝者が訪れるようになったのだそう。
今でも、本殿には子どもの名前や生年月日を書いたよだれかけが奉納されており、子どもを守ってくれる神様としてあつい信仰が寄せられていることが伺えました。
貴重な大絵馬を展示した資料館も
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お参りの際にぜひ訪れてほしいのが、2008年5月に開設された『絵馬展示資料館』。神社に奉納された貴重な大絵馬を見学することができます。
参拝者によって奉納された大絵馬は、古くは江戸時代のものから明治時代のものまであります。中でも、幕末〜明治に納められた絵馬である124点の『三宅八幡神社奉納子育て祈願絵馬』は、当時の人々の様子を知ることができる貴重な資料として、国の重要有形民俗文化財に指定されています。
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資料館では奉納された大絵馬のうち一部が展示されています。。通常写真撮影はできませんが、今回は特別に館内の様子を一部撮影させていただきました。
絵馬に描かれているのは、参拝行列や鳩、馬などの動物や、当時の境内の様子などさまざまです。大勢の人が描き分けられている参拝行列の大絵馬の中には、描かれた人物の名前が記された付箋が付いているものも。
見学者の中には、自身の先祖を見つけたという人もいるのだそう! 資料館を見学する際には、自分のご先祖様を探してみるのもおもしろそうですね。
鳩モチーフの絵馬やお守りに願いを込めて
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現在の『三宅八幡宮』では、鮮やかな青い鳩が描かれた絵馬を授与しています。本殿のそばには絵馬を奉納するスペースがあり、子どもの健やかな成長を祈って書かれたものが連なっていました。
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また、絵馬以外にも、鳩のモチーフがあしらわれたお守りやおみくじもありますよ。一際目をひく青色の鳩のつがいの人形は、子どもが無事に成長したら、感謝の気持ちとともに人形を神社に返すのが習わしです。
「子どもの健やかな成長を願う気持ちはいつの時代も変わらない」と、しみじみ感じさせてくれる『三宅八幡宮』。ぜひ、家族で訪れてみてくださいね。
【詳細情報】
三宅八幡宮
住所:京都府京都市左京区上高野三宅町22
電話番号:075-781-5003
参拝・受付時間:【祈祷】10:00~15:00【社務所・御朱印】10:00~16:00
駐車場:あり(参拝者無料・大型不可)
拝観料:無料
※『絵馬展示資料館』は別途入館料(300円)が必要。
文/さとみ縁
【画像】さとみ縁
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