皆さん、2025年4月から育児休業給付のルールが変わることをご存知でしょうか? 実は、育児休業給付(育休手当)の給付率が引き上げられるんです! 要件を満たせば、その期間は手取りで10割!なんてことも。
今回は、京都で現役助産師として分娩介助をしている筆者が、どのような要件があるのか、そして、夫婦で過ごす育休のメリットを助産師目線でお伝えします。
育児休業制度はどう変わる?
今までの制度はどうだった?

現在の育児休業給付は、産後休業(出産後8週間)終了後の育児休業開始から6か月までは賃金の67%が支給されます。そして、6か月以降は賃金の50%が支給されます。
1か月を超える期間の育児休業給付中は税金や社会保険料がかからないため、産休までの手取りと比べると6か月までは実質約8割が給付されるということになります。
※育児休業給付金の支給額には上限が設けられています。また、会社から賃金が支払われる場合は、支給額が異なる場合があります。
新制度の「出生後休業支援給付金」とは

2025年4月1日からは、『出生後休業支援給付金』という新しい制度が始まります。両親がともに14日間以上の育児休業を取得することが条件で、現在の育児休業給付に加えて、賃金の13%が上乗せされ、67%に13%が加わり、合計80%になります。これは、産休までの手取りからすると約10割に当たります。
『出生後休業支援給付金』の対象になるのは、最大で28日間です。対象となる期間は、パパの場合は産後パパ育休の期間(出産後8週間)、ママの場合は産後休業の後、8週間以内(育休開始後8週間以内)です。この間に夫婦で14日以上の育児休業(父親の場合は産後パパ育休)を取得すると、取得した期間(最大で28日間)の給付率が80%に上がります。ただし、配偶者が専業主婦(夫)の場合や、ひとり親の場合は、配偶者の育児休業取得がなくても給付率は引き上げられます。
注意したいのは支給額には上限が設けられていること。また、会社から賃金が支払われる場合は、支給額が異なる場合があります。“手取りの10割”といっても、実際には10割にはならない人もいるので注意してくださいね。
パパが育休を取るメリット
(1)「出生後休業支援給付金」の対象になる

先ほど説明した『出生後休業支援給付金』の制度がスタートすると、最大で28日間だけですが手取りの約10割の給付金を受け取ることができます。現行制度の場合、パパの月収30万円、ママの月収26万円で、28日間産後パパ育休を取った場合の給付金は、パパは18.7万円、ママは16.2万円の合計34.9万円となります。
しかし、2025年4月以降は同じ条件の場合でも、パパは22.4万円、ママは19.4万円合計で41.8万円となり、支給額が6.9万円の増加となります。支出が重なる時期なので、支給額が増えるのは嬉しいですよね◎
(2)パパの家事スキルが上がる

妊娠中は、どうしても出産をゴールと考えてしまいがちですが、実際は赤ちゃんが生まれてから様々なことがスタートします。人によっては、1日8回以上の授乳やおむつ替え、寝かせつけ、沐浴など。さらに、家事や自分達の食事の準備もあります。また、産後のママの身体は、妊娠前と同じようには動かない場合がほとんどです。
「産後どうにかなるから1人で大丈夫!」と思っていても、実際はそう簡単にいかないのも現実。この大変な期間を夫婦で乗り越えることで、夫婦の絆はきっと強くなりますよ。育休に入ってからではなく、育休に入るまでに、家事を一通りできるスキルを得ておくことをおすすめします。
(3)育児を自分事として捉えることができる

赤ちゃんは、寝てミルクを飲んでいるだけではありません。パパ・ママは育児に慣れるまでは、抱っこするだけでも一苦労。授乳をしたり寝かせつけたり、おむつを替えたり。気付けばあっという間に1日が終わってしまいます。
パパが「育児を手伝うよ!」のスタンスでは、ママの育児の負担はあまり減りません。授乳以外のことは、全てパパも同様にできます。育休の期間に、ママがいなくても1人で赤ちゃんのお世話ができる状態になれば、ママが仕事復帰してからもお互いに支えあって生活できるでしょう。
いかがでしたか? 育休は、“休み”ではなく“育児のための時間”です。赤ちゃんが生まれてから「どうしよう!」「産後どうしたらいいの?」となるのではなく、前もって夫婦で話し合いをして育児や家事の分担、それぞれのスキルアップを図って育休に望めるとよいですね。
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文/梅田直子
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