KBS京都で放送中の『京都浪漫~悠久の物語~』。
今回は、2023年11月12日(日)に放送された『建仁寺と塔頭寺院の紅葉と名宝』から『霊源院』をご紹介します。
建仁寺の塔頭寺院「霊源院」
京都最古の禅寺・建仁寺の塔頭寺院『霊源院』。通常は非公開ですが、修学旅行生や企業の研修など団体の坐禅体験を予約制で受け入れている、勉学と修練の場になります。
霊源院までは、京阪電車『祇園四条』駅から徒歩およそ12分、市バスの『清水道』のバス停からは徒歩およそ5分です。
霊源院はガクアジサイの変種、“甘茶”で有名です。
甘茶は仏教とも深い関わりのある植物。お釈迦様が生まれた時に甘露の雨が降り注いだという伝説があり、今も4月の釈迦の誕生を祝う行事では誕生仏に“甘茶をかける”という習わしが日本各地で受け継がれています。
毎年、甘茶の季節の5月半ばから7月の半ばにかけて特別拝観が行われる霊源院は“甘茶の寺”とも呼ばれてきました。
2020年に一新された霊源院の庭園・鶴鳴九皐(かくめいきゅうこう)の別名も“甘茶の庭”と呼ばれています。
作庭したのは、“昭和の小堀遠州”と称された中根金作さんを祖父に持つ造園家、中根行宏さんと中根直紀さんです。
中国のお茶の産地を表現したゾーンや、
日本を表現したゾーンと庭の表情が変わっていきます。
日本を表現した庭には鶴をイメージした石組や、
亀をイメージしたものも。
さらにその上には富士山も置かれています。
秋も深まると甘茶の庭も紅葉が彩りを添えますが、これを見ることができるのは坐禅体験の参加者など禅の修行に来た人だけ。通常非公開の霊源院の特別拝観が行われるのは甘茶の季節のみとなっています。
中国在住の新進気鋭アーティストが描く天井図
霊源院を訪れた人が、思わず息を呑むのが本堂の天井です。2021年に奉納された天井画『墨龍図』が睨みを利かせています。
描いたのは、中国・北京在住のビジュアルアーティスト・陳漫(チェンマン)さんです。写真家として有名な陳漫さんにとって、本格的な絵画作品はこれが初めて。
縦がおよそ3.8m、横がおよそ5.9m、畳12枚分の天井画は北京のアトリエで制作をスタートし、半年がかりで完成しました。
金の屏風に墨で描かれた“獅子”。猛々しさの中にどこかユーモアを感じるこの『唐獅子図屏風』も陳漫さんが奉納したものになります。
2023年の2月に霊源院を訪ねてきた陳漫さんが、2週間ほどの滞在期間中にフリーハンドで仕上げた作品です。
霊源院の住職・雲林院宗硯さんは、建仁寺の塔頭寺院、西来院の住職も兼任しています。実は、西来院の本堂の天井にも龍を描いて欲しいと陳漫さんに依頼済みなのだとか。どんな龍の絵になるのか今から楽しみですね!
庭園や絵画など、現代のアーティストが表現した世界観に触れてみてはいかがでしょうか。
※霊源院は通常非公開です。
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文/西門
【画像・参考】京都浪漫~悠久の物語~(第1・2週 日曜日 21:00~21:55/再放送 第3・4週 日曜日 21:00~21:55) – KBS京都
※この記事は2023年11月12日(日)放送時点の情報です。