蜂蜜酒醸造所も立ち上げ中！ 京都の「ハニーハンター」

KBS京都で放送中の『谷口流々』。
谷口キヨコが、京都を中心に活躍する人々の仕事現場に足を運び、十人十色の人生哲学を紐解いていきます。

2024年1月13日（土）の放送では、ハニーハンター・市川拓三郎さんに話を伺いました。

Profile：ハニーハンター・市川拓三郎さん

市川拓三郎さんは1930年創業の蜂蜜の専門店『金市商店』の3代目です。日本だけでなく世界の養蜂家を自ら訪ね、蜂蜜を仕入れて販売しています。

『金市商店』が手掛けるお店『ミールミィ 三条本店』の特徴は、とにかく蜂蜜の種類が多いこと！　常に100種類以上の蜂蜜を用意していて、蜂蜜の化粧品や蜂蜜の飴、蜂蜜のお酒なども扱っています。

お店にあるほとんどの蜂蜜が試食可能となっているので、購入する前に好みの味を見つけられるのは嬉しいポイント。店舗の奥には『ハニーカフェ』も常設していて、8種類の蜂蜜のかけ放題も楽しめる空間になっています。

数字より人を見る

市川さんは祖父が創業した蜂蜜屋に生まれました。すぐに実家を継ぐのではなく、外で経験を積んでからの方が良いと考えていたそうで、大学卒業後は食品輸入会社に就職し3年間勤務しました。

家業に戻ってきた時に父親が社長で、苦しい経験をしたこともあるのだとか。

製造と仕入れの担当をしていた市川さんは、効率化のため製造に関する記録や、数字で配合比を計算したりする作業をパソコンで行おうと父親に話をしました。ところが父親からは「数字を見てるけど人間を見ていない」と言われ、ショックを受けたことを今でも覚えているそうです。

市川さんはビジネスのお客さまへの訪問はスーツというイメージがあったそうで、それにより失敗をしてしまったことも…。最初の頃は、養蜂家の元へスーツを着て通っていたそうですが、養蜂家の方から「そんな格好で来て養蜂場で何ができるのか？」と言われてしまったそうです。

その経験もあり作業着を着て現場に行くように。その姿勢が認められてか、ミツバチの仕事を教えてもらったりして少しずつ信頼を得ることができ、徐々に蜂蜜の取り扱いに繋がったといいます。

シングルオリジンハニー

通常は仕入れた蜂蜜を混ぜて商品を作るため、産地や採れた日の情報は無くなってしまうのだとか。『シングルオリジンハニー』は、蜂蜜の産地や採れた時期をラベルに表記した独自商品になります。

『シングルオリジンハニー』を始めた理由は、ワインのヴィンテージのようなイメージで、蜂蜜も採れた産地や時期によって味に違いが出ることを知ってもらうためだそう。

『そば』のシングルオリジンハニーは、そばの花から採れた蜂蜜です。蕎麦の独特な感じがしっかり感じられる味で、ソフトクリームにかけたり、豆乳にかけても美味しいとのこと。

他にも数種類、シングルオリジンハニーを試食しましたが、産地や採れる植物によって本当に味わいは様々！　珍しい蜂蜜の種類にも注目が集まるよう、新しい蜂蜜の食べ方の提案もしていきたいと市川さんは話します。

市川さんは『ハニーハンター』として仕入れのためだけでなく、養蜂家の元を直接訪ね「今年は暑かった、雨が多かった」など、生産者でなければ気づかない現地の情報を“発信係”として伝える事も行っているそうです。

蜂蜜酒 ミード

『ミード』と呼ばれる蜂蜜に水と酵母を加えて発酵させた蜂蜜酒も取り扱っています。

当初は甘くないミードを輸入していたそうですが、蜂蜜のお酒なのに甘味を感じないと言われ反応は良くなかったそうです。

そのため、日本人の口に合うミードを作ろうと決心し、城陽酒造とオリジナルのミードを製造し始めます。

ミードの製造でこだわったポイントは、とにかく蜂蜜らしい味わいを残すこと。現在、国内で他のメーカーから発売されている商品よりも蜂蜜らしい味わいを感じられるが特徴です。

これから挑戦したいことを尋ねると「京都からミード文化を広げていきたい」と市川さんは話します。もっとミードのことを広めるために『京都蜂蜜酒醸造所』を2024年3月オープンを目指し立ち上げ、昨年12月からクラウドファウンディングも始めました。

市川さんを表すことば

今回の“市川さんを表すことば”は、『三条富小路のプー社長』です。

蜂蜜を愛しているからこそ、新しい商品作りにも繋がっているのですね！　これからミード文化が広がって、ミードで乾杯する日も近いのかもしれません。

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文／西門

【画像・参考】谷口流々（毎週土曜日9:30～10:00） – KBS京都
※この記事は、2024年1月13日（土）放送時点の情報です。最新の情報は各店舗・施設にお問い合わせください。