KBS京都で放送中の『きょうとDays』。
今回は、2023年6月8日(木)に放送された『ふるさと Days』コーナーから、『柳谷観音楊谷寺』をご紹介します。
平安時代から信仰されてきた「柳谷観音 楊谷寺」
京都府長岡京市、京都盆地を三方から囲む山々の西側にあたる西山地域には多くの歴史ある寺社が立地しています。その一つが『柳谷観音 楊谷寺』です。
806年の開山とされ弘法大師・空海が度々修業したと伝わる歴史ある寺院です。
境内の湧き水・独鈷水(おこうずい)は、古来より眼病に効くとされ人々の厚い信仰を集めてきました。
楊谷寺は近年、境内におよそ27種5,000株ある“あじさいの寺”として知られています。参道や建物内の回廊で多種多様なあじさいが咲き誇り、参拝者を出迎えます。
そして、季節の花や紅葉で手水を飾る“花手水”発祥の寺としてSNSでも人気を集めています。
歴史的建造物であるがゆえ、老朽化が進行
古来よりの信仰とSNSでの人気を受け、平日から多くの参拝者が訪れるようになった楊谷寺ですが、近年老朽化が進み危機的な状況を迎えています。楊谷寺では境内10カ所以上の建築について本格的な改修を必要としています。
江戸時代の建物、阿弥陀堂は法要の場ですが、机を置いてワークショップやイベントに使用しています。
山門を入って右手奥に位置する阿弥陀堂は江戸時代後期1829年に建てられました。堂内にそびえる美しい厨子は、太閤・豊臣秀吉の側室、淀殿が寄進したものと伝わり、桃山時代の建築工芸技術を今に伝えています。
しかし、一見しただけでは分かりませんが、雨漏りしてしまい畳にカビが生え黒ずんでいるような部分もあります。他にも歴史ある建物であるがゆえに、修繕が必要な箇所が境内には多く散見されるそうです。
“蔵”と呼ばれ重要なものを保管しているこの場所は、土壁がどんと落ちてきてしまい緊急で修繕することになりました。多額の費用が必要となる改修ですが、社会の変化や高齢化により寄付の額も激減。資金の確保は容易ではありません。
楊谷寺は昨年から拝観料の徴収に踏み切りましたが、到底足りない状態です。
「皆さんにご負担をかけることは悩んだところではありますが、少しずつこのお寺を支えていってくださればと思っております。」と日下俊英住職は話します。
楊谷寺は今年、費用の支援を広く募集するクラウドファンディングを行いました。
数年前に限定で作られ大好評だった御朱印帳を復刻し、クラウドファンディングの返礼品とするなど改修資金の確保に励んでいます。
中には令和大改修と記され、金文字で御本尊の御朱印があったり、見開きで楊谷寺の特長である赤い提灯と紫陽花があしらわれた御朱印があります。
社会の変化に対応し変わらぬ信仰を後世に残していくため、寺の模索が続きます。
「一度お越しいただいて、楊谷寺の雰囲気を味わってほしいと思います。そして観音さんとのご縁をつないで、仏教の素晴らしさみたいなものを感じていただければなと思っています。」と日下住職は話します。
見るもの皆の心を豊かにしてくれる楊谷寺の“花手水”は、四季折々で違った姿を見せてくれます。楊谷寺で美しい花々を見ることや、そこでしか味わえない雰囲気を楽しむことが、後世にこの寺院を残すことに繋がります。ぜひ皆さんも足を運んでみてくださいね。
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文/きょうとくらす編集部
【画像・参考】きょうとDays(毎週月~金曜日17:35~18:00) – KBS京都
※この記事は、2023年6月8日(木)放送時点の情報です。詳しくは店舗へお問い合わせください。
※楊谷寺のクラウドファンディングは2023年6月23日に終了し、成立しました。