KBS京都で放送中の『京都浪漫~悠久の物語~』。
2023年8月13日(日)に放送された『六地蔵めぐりと地蔵盆〜大善寺・上善寺・壬生寺・あだし野念佛寺〜』から、“六地蔵めぐり”についてご紹介します。
“六地蔵めぐり”発祥の地・大善寺の「伏見六地蔵」
![大善寺の門](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/09/rokujizo-meguri_01.jpg)
京都に “六地蔵”という地名があるのをご存知でしょうか? その由来となったお寺が京都市伏見区にある大善寺(だいせんじ)です。
![大善寺までのアクセス](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/09/rokujizo-meguri_2.jpg)
大善寺までは京阪宇治線『六地蔵駅』から徒歩およそ6分、JR奈良線『六地蔵駅』からは徒歩およそ9分、京阪バス 『東町』のバス停からは歩いてすぐです。
![小野篁(おののたかむら)の木像](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/09/rokujizo-meguri_3.jpg)
大善寺の地蔵堂に安置されているのが、嵯峨天皇に仕えた官僚で歌人としても知られる小野篁(おののたかむら)の木像。
48歳のときに熱の病に罹った小野篁は、その病が原因で地獄へ落ちて行ったとされています。地獄で苦しむ亡者たちを眺めて「私もそういう世界へと落ちてしまったのか」と思った篁のもとに、僧侶の姿をした方が現れました。
![地蔵菩薩が篁に告げた言葉](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/09/rokujizo-meguri_5.jpg)
その方が地蔵菩薩であり、「汝、娑婆世界にかえらば、一切の人々に地獄の苦痛の恐ろしさを知らしめて、我に帰依せしめよ」と篁に告げます。
![六地蔵の名の由来](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/09/rokujizo-meguri_6.jpg)
生き返った篁は、1本の桜の木から6体の地蔵菩薩像を刻んで大善寺に納めたと伝わり、それがこの辺りの地名“六地蔵”の由来とされています。
![伏見六地蔵](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/09/rokujizo-meguri_7.jpg)
小野篁が六体の地蔵菩薩像を彫ったのは、仁寿2年(852年)のこと。それからおよそ300年後、六地蔵尊を篤く信仰した後白河天皇の命を受けた平清盛によって6か所に分けて安置されたと伝わります。
![六地蔵めぐりの地図](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/09/rokujizo-meguri_8.jpg)
6か所に分けた理由は、疫病が流行っていた京都を守護するために、大善寺にあった6体のお地蔵様を京都に入る6つの街道の入り口へと移したからです。
それが“六口(ろくくち)”と呼ばれる場所。奈良街道・西国街道・丹波街道・周山街道・鞍馬街道・東海道の6つの街道の京の都への出入り口にあたります。
そこからその6体のお地蔵さまを巡拝する六地蔵めぐりとなっていきました。
![「根本 六地蔵尊」の石碑](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/09/rokujizo-meguri_9.jpg)
大善寺の正門横の石碑に“根本 六地蔵尊”とあるのは、ここが “六地蔵めぐり”発祥の地だからです。
![伏見六地蔵](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/09/rokujizo-meguri_10.jpg)
地蔵堂には小野篁が彫った六地蔵のうち、最初に彫ったとされる地蔵菩薩立像が安置されています。
『伏見六地蔵』とも呼ばれる地蔵菩薩立像は、高さおよそ1m61cm。平安時代の作と見られ、右手に錫杖、左手に宝珠を持っています。
一木造で白塗り、装飾も何度も塗り直されているため鮮やかです。
![伏見六地蔵と小野篁木像](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/09/rokujizo-meguri_11.jpg)
左手の厨子には、平安時代の作とされる小野篁像も安置。“六地蔵めぐり”当日はお堂の戸板が外されるので、どちらの像にも直接参拝することができます。
![大善寺の白のお幡](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/09/rokujizo-meguri_12.jpg)
“六地蔵めぐり”では6か所のお地蔵さまで6つのお幡(お札)を集め、家の玄関に吊るしてお守りにします。お幡の色はお寺によって決まっていて、大善寺は白色です。
西国街道の出入り口に建つ浄禅寺の「鳥羽地蔵」
![浄禅寺の門](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/09/rokujizo-meguri_13.jpg)
西国街道の出入り口である鳥羽に建つのが浄禅寺。
![鳥羽地蔵](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/09/rokujizo-meguri_14.jpg)
『鳥羽地蔵』とも呼ばれる地蔵菩薩立像は、高さおよそ2m。寄木造の像は白塗りで、装飾には極彩色の截金文様が施されています。
![浄禅寺の黄色のお幡](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/09/rokujizo-meguri_15.jpg)
こちらで授かることができるお幡の色は黄色です。
丹波街道の出入り口に建つ地蔵寺の「桂地蔵」
![地蔵寺の門](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/09/rokujizo-meguri_16.jpg)
丹波街道の出入り口である桂に建つのが地蔵寺。
![桂地蔵](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/09/rokujizo-meguri_17.jpg)
小野篁が桜の一木の最下部を刻んだものと伝わる地蔵菩薩立像、通称『桂地蔵』が本尊として安置されています。
高さはおよそ2m65cm。六地蔵の中でいちばん大きいことから、“大きい”=“お姉さん”といった意味で『姉井地蔵』とも呼ばれています。
![地蔵寺の緑のお幡](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/09/rokujizo-meguri_18.jpg)
こちらで授かることができるお幡の色は緑です。
周山街道の出入り口に建つ源光寺の「常盤地蔵」
![源光寺の門](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/09/rokujizo-meguri_19.jpg)
周山街道の出入り口であり常盤に建つのが源光寺。
![常盤地蔵](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/09/rokujizo-meguri_20.jpg)
『常盤地蔵』の通称がある地蔵菩薩立像を本尊としています。
高さおよそ1m40cmと六地蔵の中でいちばん小さいことから、別名は『乙子(おとこ)地蔵』。“乙子”とは“末っ子”という意味です。
![源光寺の紫のお幡](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/09/rokujizo-meguri_21.jpg)
こちらで授かることができるお幡の色は紫です。
鞍馬街道の出入り口に建つ上善寺の「鞍馬口地蔵」
![上善寺の門](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/09/rokujizo-meguri_22.jpg)
鞍馬街道の出入り口である鞍馬口に建つのが上善寺。
![鞍馬口地蔵](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/09/rokujizo-meguri_23.jpg)
江戸時代まで深泥池のほとりに祀られていたこちらの地蔵菩薩像。明治初期に上善寺へ移され、『鞍馬口地蔵』と呼ばれています。
別名は『姉子地蔵』です。
![上善寺の赤のお幡](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/09/rokujizo-meguri_24.jpg)
こちらで授かることができるお幡の色は赤です。
東海道の出入り口に建つ徳林庵の「山科地蔵」
![徳林庵の景観](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/09/rokujizo-meguri_25.jpg)
東海道の出入り口である山科に建つのが徳林庵。
![山科地蔵](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/09/rokujizo-meguri_26.jpg)
東海道の守り本尊として慕われてきた『山科地蔵』が祀られています。
![徳林庵の青のお幡](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/09/rokujizo-meguri_27.jpg)
こちらで授かることができるお幡の色は青です。
仏さまへの祈願で困難・疫病を乗り越える
![大善寺の住職・羽田龍也さん](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/09/rokujizo-meguri_28.jpg)
大善寺の住職・羽田龍也さんによると、コロナ禍になり六地蔵めぐりをして無病息災や厄病退散などを祈願する人が増えてきたと言います。
日本では昔から仏さまの力でさまざまな困難や疫病を乗り越えてきました。これを機に若い人にもこういった信仰が広がっていけばと、羽田さんは考えています。
“六地蔵めぐり”は毎年8月22日と23日の両日に行われます。総距離35kmにも及ぶ“六地蔵めぐり”ですが現代では公共交通機関などを利用してまわることも可能なので、ぜひ一度巡拝してみてくださいね!
文/中村ゆか
【画像・参考】京都浪漫~悠久の物語~(第1・2週 日曜日 21:00~21:55/再放送 第3・4週 日曜日 21:00~21:55) – KBS京都
※この記事は、2023年8月13日(日)放送時点の情報です。