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園長直伝“京都市動物園を100倍楽しむコツ”雨の動物園はいかが?【きょうとくらすコラム】

1903年(明治36年)、日本で2番目に誕生した京都市動物園。120年を超える歴史を経て、SDGsや動物福祉に取り組み、進化を続けています。

和田園長が魅力いっぱいの動物園の楽しみ方を毎月一回、コラムでお届けします。園内にいる動物の旬な話題から、野生動物の生態まで・・・さらに動物たちを通して私たちの生き方や子育てなどのヒントになる話も紹介します!

画像:京都市動物園

アジサイが見頃

梅雨の季節となりました。屋外施設である動物園は、雨予報が発表されると、実際には降らなくても、お出かけ先の候補から外れてしまう傾向にあると感じているのですが、皆さまはいかがでしょうか!?

画像:京都市動物園

そんな梅雨時期の動物園ですが、梅雨には植物の生長を促す効果があり、園内の緑もいきいきと感じられます。特にこの時期は紫陽花が見頃で、本園では3種の紫陽花(アジサイ、ガクアジサイ、カシワバアジサイ)が楽しめます。

画像:京都市動物園

園路も以前は土道で、雨が降るとぬかるんでいましたが、現在はインターロッキングブロックで整備しており、とても歩きやすくなっています。ただ、経年とともに表面に凹凸が生じ、水たまりができる場所があるので、ご留意ください。しかし、子どもは吸い寄せられるように水たまりに向かって進み、楽しそうにバシャバシャと歩いている姿をよく目にします。

動物たちの雨の日常

画像:京都市動物園

アジアゾウも同じように、雨が降り始めると吸い寄せられるようにプールに入り、バシャバシャと遊ぶことがあります。大人になりプールにはあまり入らなくなっていても、雨の日には楽しそうに泥浴び等をしています。

画像:京都市動物園
画像:京都市動物園

ゾウ舎の隣に位置するバク舎でも、アメリカバクが何とも嬉しそうに見えます。野生下では水辺や湿地に生息しており、天敵であるジャガーやピューマなどに襲われた際には水中に逃げ、排泄も水場で行うなど、水が欠かせない動物の一種です。そのため、飼育員が掃除をするために使用するホースの水音にも反応します。

画像:京都市動物園

 雨に打たれるのが好きなのが、アミメキリンのミライです。雨を降ると、定位置につき、少し首を前に出し、まるで滝に打たれて修行しているような姿が見られます。これは、アミメキリンの特徴というよりもミライの好みだと考えています。風邪をひいてほしくない飼育員にとってはあまり嬉しくない好みですね。

画像:京都市動物園

また、オウムの一種のキバタンも端に寄って雨を浴びたそうにしていました。

画像:京都市動物園

動物園たちの雨宿り

逆に濡れるのを嫌っているのは、ゴリラやヤギ、クジャクなどです。  特にゴリラのモモタロウは汚れるのが嫌いで、麻袋をかぶったり、雨のかからない場所を占有したりします。

画像:京都市動物園

息子のゲンタロウも雨の降る中、手で頭を覆い、二足で濡れない場所へと急ぎます。

画像:京都市動物園

ヤギも濡れないところで雨が止むのを縦列で待っています。

画像:京都市動物園

なお、改修前はベンチを置いていたので、足元も濡らしたくないヤギたちは、ベンチの上で横並びで雨宿りをしていました。

画像:京都市動物園

クジャクも先日の雨の日に観察したら、しっかり雨宿りできる場所にいました。水浴び派のオウムと違い、体をきれいにするのが砂浴び派だからかもしれません。

画像:京都市動物園

童謡『あめふり』

話は変わりますが、童謡『あめふり』の中にヘビが登場するのですが、ご存じでしたか?とは言っても、目だけで、♪蛇の目で おむかえ うれしいな と歌われています。

「蛇の目」とは、同心円を基調とした模様のことで、それが描かれた和傘が「蛇の目傘」と呼ばれています。ところで、皆さんはヘビの目と聞いて、どちらの形を思い起こしましたか?

京都の森展示室にいるシマヘビやアオダイショウの目は「蛇の目」模様と同じです。

画像:京都市動物園

そして、熱帯動物館でもヘビの目を観察してみてください、まるくない瞳孔を持つものがいますが、このタイプは夜行性のヘビです。

画像:京都市動物園

ちなみに、梅雨には肌の乾燥を防ぐ効果もあるのですが、ヘビにとっても脱皮の際には高い湿度が重要になっています。乾燥しているとうまく脱皮できなくなるからです。

画像:京都市動物園

さて、雨の動物園に興味が湧いてきましたか?

動物たちの雨に対する反応をご自身の目で観察するために、そして、きっと新たなシーンの目撃者となるために‟雨の動物園”をお出かけのラインナップに加えてみてはいかがでしょうか?

【7月のイベント】

〇動物園DEサイエンストーク「空気中のDNAをつかまえる!」
【実施日時】2024年7月7日(日)13:30~14:30
【講演者】 藤森 崇(龍谷大学)
【募集期間】2024年7月5日(金)まで
【定員】30名(申込先着順)

空気中には、様々な生き物に由来する目に見えないDNAの断片がただよっています。空気を吸ったり、植物の葉を洗い流したりして、DNAをうまくつかまえて生物の種類を識別する分析をすれば、直接観察しなくてもどんな生き物がいるか分かります。

○世界〇〇の日~チンパンジー~ 
【実施日時】2024年7月13日(土)9:15~12:00
「世界チンパンジーの日」にちなみ、チンパンジーの昼ご飯を作り、それをチンパンジーたちがどのように食べるのか観察します。

〇ごはんですよ~
動物たちがごはんを食べる様子を観察できるように、ごはんの時間を設定しました♪
飼育員のお話を聞きながら、動物たちのごはんを覗いてみませんか?
毎週土曜日 (6月~8月)
11:30 野鳥舎(京都の森)
13:10 フンボルトペンギン(おとぎの国)
13:30 フタユビナマケモノ(熱帯動物館orクジャク舎)

京都市動物園ホームページ

和田晴太郎 京都市動物園 園長

1967年岐阜市生まれ。獣医師、学芸員。北里大学獣医畜産学部獣医学科卒業。青年海外協力隊を経て、1996年から京都市動物園に勤務。臨床獣医師として12年従事した後、安全管理、研究教育の初代係長として活動を推進。2017年から種の保存展示課長として、動物園運営に携わる。2020年から副園長として従事した後、2024年4月から園長に就任。

文/和田晴太郎

【画像】京都市動物園