カメを観察する研究員たち
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研究機関としても大活躍! 誕生120周年の「京都市動物園」

明治36年に開園した『京都市動物園』。今年、120周年を迎えています。
KBS京都で放送中の『きょうとDays』では『京都市動物園』の歴史、今、そして未来を特集しています。

特集の第3回となる今回は、2023年10月18日(水)に放送された“研究機関としての役割”をご紹介します。

誰もが好奇心をくすぐられる場所

動物園にできた行列
画像:KBS京都『きょうとDays』

閉園後の動物園の前に長い行列ができています。

この日、障がいのある子どもとその家族だけを無料で招待する『ドリームナイト・アット・ザ・ズー』が開催されました。

展示されているカバ
画像:KBS京都『きょうとDays』

様々な障がいのある子どもたちが、周囲に気兼ねすることなくのびのびと動物たちを鑑賞できるとあって、夜の動物園はたくさんの笑顔で溢れました。

来園した家族
画像:KBS京都『きょうとDays』

「動物園に来るにも苦労が多いので、こういう取り組みがすごくありがたい。周りの兄妹に我慢をさせてしまうことも多いので、こうして兄妹3人で来られるのは特別で、一年に一度の楽しみなイベントです」と、来園したご家族が話します。

キリンを眺める子どもたち
画像:KBS京都『きょうとDays』

別のご家族も「夜の雰囲気が楽しいし、ゆっくり見られますね」と笑顔です。子どもたちは大好きなキリンに夢中の様子。

動物園は楽しい憩いの場であると同時に、誰もが好奇心をくすぐられ、学びや刺激を得られる場所でもありますね。

ここでしか見られない展示も! 大学の研究者が常駐する動物園

画面の数字にタッチするチンパンジー
画像:KBS京都『きょうとDays』

京都市動物園でしか見られない展示があります。ゴリラやチンパンジーのお勉強です。

こちらは、最後まで数字を正しい順番に押せたら正解の装置です。

チンパンジーのニイニ
画像:KBS京都『きょうとDays』

6頭いるチンパンジーの中で最も成績がいいのは、京都市動物園生まれで現在10歳のニイニです。

なんと、1から15までの数字を順番に指すことができるというから驚きです!

田中正之さん
画像:KBS京都『きょうとDays』

京都市動物園にある生き物学び研究センターのセンター長・田中正之さんは、「これはチンパンジーの頭の良さを見ていただく展示ですが、チンパンジー自身にとっても、変化のない毎日の中で、ゲームの時間がちょっとした刺激になっているのでは」と話します。

「せいかい」と表示された画面とチンパンジー
画像:KBS京都『きょうとDays』

霊長類の知性を調べる比較認知科学研究。動物園ではこれを、霊長類の知性を実感してもらえる展示だけではなく、動物たちの知的好奇心を満たすことにも繋げています。

京都市動物園と京都大学の連携協定締結の様子
画像:KBS京都『きょうとDays』

京都動物園でこうした研究に取り組むことになったのは、15年前に京都大学と連携協定を結んだことを契機に、国内で初めて大学の研究者が動物園に常駐するようになったからです。

坂本英房園長
画像:KBS京都『きょうとDays』

園長の坂本英房さんは、「実は京都市動物園は公立の動物園で唯一、独自の研究部門を持っているのが大きな特徴の一つです」と話します。

その研究部門というのが、生き物学び研究センター。

生き物学び研究センターのスタッフたちが働く様子
画像:KBS京都『きょうとDays』

坂本さんが「こちらが生き物学び研究センターのスタッフがいるところです」と案内してくれたのは、飼育員や獣医師、事務職員などがいるワンフロアの一角でした。

2018年、文部科学省に研究機関として指定されて以降、科学研究費補助金を得て、それぞれが動物園ならではの研究に取り組んでいます。

坂本英房園長
画像:KBS京都『きょうとDays』

「動物園での研究というと、動物を実験動物のように使っていると思われる方もいるかもしれませんが、決してそうではありません。研究者たちは野生動物の保全や、動物福祉に役立てられるものをテーマにしています」と坂本さん。

動物の心が見える展示を目指して

東京大学大気海洋研究所にいた頃の工藤さん
画像:KBS京都『きょうとDays』

生き物学び研究センターのスタッフの一人・工藤宏美さん。以前は、東京大学の大気海洋研究所に所属し、ウミガメの研究をしていました。

ホウシャガメ
画像:KBS京都『きょうとDays』

休館日のある日、工藤さんは、動物園で飼育されているリクガメの仲間・ホウシャガメを対象に、新たな研究をスタートさせました。

ホウシャガメの展示室に草を入れる
画像:KBS京都『きょうとDays』

飼育員と一緒にカメの展示室に入ると、砂を掘り返して草を植えます。

草を食べるカメ
画像:KBS京都『きょうとDays』

隠れる場所を作ったり、草を引きちぎるという動作を引き出すために草を入れ、そのエンリッチメントの効果を検証するための、試験的な研究なのだといいます。

カメを観察する研究員たち
画像:KBS京都『きょうとDays』

カメの甲羅に心電図を記録する装置を取り付け、緊張やリラックスのタイミングを観察したり、ビデオ撮影し、個体ごとの行動分析を行います。

工藤宏美さん
画像:KBS京都『きょうとDays』

「予想していたとおりすぐに反応して、警戒心はそんなにないようだとわかりました」と工藤さん。

装置を取り付けられたカメ
画像:KBS京都『きょうとDays』

同じ個体を長期にわたり詳しく調査でき、研究成果を来園者に素早く普及できるのが、動物園ならではのメリットだと、教えてくれました。

工藤宏美さん
画像:KBS京都『きょうとDays』

今はリクガメを使った研究をしている工藤さん。

「ゆくゆくは動物の心を見えるようにして、彼らが今どんな気持ちなのか、退屈しているのか、緊張しているのか、そんなことがオリ越しでも見えるような展示に繋がる研究がしたいです」。

そんな素敵な夢を語ってくれました。

動物園ならではの研究が日夜行われている、京都市動物園。動物と人がどちらも幸せに生きるための研究がますます進むのが、待ち遠しいですね。

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文/ななえ

【画像・参考】きょうとDays(毎週月~金曜日17:35~18:00) – KBS京都
※この記事は、2023年10月18日(水)放送時点の情報です。詳しくは施設へお問い合わせください。