明治36年に開園した『京都市動物園』。今年、120周年を迎えています。
KBS京都で放送中の『きょうとDays』では『京都市動物園』の歴史、今、そして未来を特集しています。
特集の第1回となる今回は、2023年6月21日(水)に放送された“開園当初から市民に支えられてきた動物園、そこから広がる輪”をご紹介します。
廃棄するオカラで動物園を支援する豆腐屋
![服部食品外観](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/07/75c98671a9e93e45ec0f2f44712695c5.jpg)
京都市左京区黒谷で創業100年を超える服部食品。“南禅寺御用達豆腐”の名を受け、創業当時より門前の湯豆腐店に卸してきました。
![服部食品の豆腐](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/07/4d0d6048139f39af79dc15b8924f591f.jpg)
国産の大豆とにがりにこだわった豆腐は、京都の料亭のみならず、ホテルやスーパーなどにも卸しています。
![服部食品がパン屋に配達](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/07/080017a4a999db86bd108910c148d14e.jpg)
できたての豆腐をトラックに積み込み、この日の朝まず配達したのは京都大学前にあるベーカリーショップ『チェルキオ』。京大生や地元民の胃袋をつかむこの店では、ほとんどのパンでつなぎに豆腐を使用しています。
![豆腐を使ったパン](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/07/ef3b1805be171cceddc6d8b6e8d9f498.jpg)
しっとり柔らかな生地が特徴で、『豆腐マフィン』や『豆腐ドーナツ』のように豆腐入りを全面に打ち出している商品も人気です。
![動物園にオカラを配達](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/07/7d9de997f707135ecda230a1dd738a90.jpg)
次に向かった配達先は、毎朝の配達ルートの一つに入っているという『京都市動物園』。
ここには豆腐ではなく、“オカラ”を届けています。服部食品が動物園にオカラを寄付するようになったのは2021年春から。京都市の財政難というニュースがきっかけでした。
![豆腐屋でできるオカラ](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/07/483282d3f052a55bb64aa34c2898a491.jpg)
豆腐を作る際に大量にできるオカラを廃棄せず、何とか利用できないかと常々考えていたこともあり、すぐに動物園に電話をかけたそうです。
「京都に住む我々にとって動物園は特別な思い入れがある。身近な存在で困っておられるなら助けになることができたらと提案した」と『服部食品』の西島さんは話します。
市民によって生まれ、今も支えられる「京都市動物園」
![120周年の旗](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/07/c5a72200d83aa4fa9225dfe9435a66e6.jpg)
1903年(明治36年)の4月、大正天皇のご成婚を記念して開園した『京都市動物園』。東京上野に次いで、日本で2番目に歴史のある動物園です。
『京都市動物園』の大きな特徴は“6,000千人の市民から寄せられた多額の寄付で建設費の半分近くをまかなったこと”。まさに市民の手によって誕生し、120年を迎えた今も多くの市民が支えています。
![動物園に寄付される野菜](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/07/ba4c248b80117c56dc00f6648cf19a07.jpg)
動物園の調理場には漬物組合や給食製造会社などから持ち込まれた食材がたくさん。外葉やヘタなどこれまで廃棄されていたものが動物たちのエサとして有効活用されています。
![京都市動物園カバのツグミ](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/07/c099c45e73273f37277bc8808fffa291.jpg)
カバのつぐみちゃんは毎日2kgのオカラを与えられ、食べています。35歳と高齢になり、「国産大豆100%で栄養価も高いオカラを食べて、元気に長生きしてほしい」とみんなが願っています。
![ケープハイラックスがオカラを食べる様子](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/07/be2589f24a25d5b151b1b34e63f573aa.jpg)
ケープハイラックスもオカラが大好物。警戒心が強いケープハイラックスですが、体重計に乗るトレーニングも大好きなオカラを使うとスムーズにでき、健康管理にも役立っているそうです。
![京都市動物園エサ代サポーター制度](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/07/4b8d1a77c63c47272618a22b7b3c4bbc.jpg)
京都市の財政難や飼料費の高騰により動物園では、2020年春から寄付を募るようになりました。食材だけでなく、支援したい動物を選ぶエサ代サポーター制度も好調だそうです。
![動物園の支援に使用しているAmazonのほしいものリスト](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/07/200267ce86107f39321131594d251205.jpg)
さらに、通販大手『Amazon』の『ほしい物リスト』も活用。限られた公費では購入するのが難しい動物の誕生日用の旬の果物や、動物福祉のための用品など年間およそ50~60点の商品が寄付されています。
![象の食事シーン](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/07/41af4d424ede953b8d2c3fe9e229eda7.jpg)
様々なスタイルの寄付によって、動物たちの食生活が豊かになるばかりか飼料費は1,000万円あまり縮減。寄付する側も廃棄物の削減につながり、三方良しと言えそうです。
動物園から広がる輪
![京都市立修学院小学校の花壇や畑の様子](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/07/30842b85d249f9685ec58cbd30529a51.jpg)
そして、寄付を受け取るだけでなく動物園から広がる輪もあります。
京都市立修学院小学校では、校内の花壇や畑は雑草が生い茂り、これまで植物がなかなか生育しませんでした。そこで、動物園と小学校近くに薬用植物園を所有する薬品大手『武田薬品工業』が土壌の改良に一役買っています。
![象のフンからできたたい肥](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/07/2f2e60c76cbf9d92b66ed7ac94cf9f63.jpg)
今回、活用するのがゾウとシマウマのフンから作ったたい肥。毎日50kgのエサを食べるゾウは40kgのフンをします。それを飼育員が集め、発酵させる装置でたい肥化したものです。
![苗を植える小学生](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/07/443a9edb5f3606f1679b9e9fa9a03f06.jpg)
みんなで雑草を抜き、たい肥を混ぜて柔らかい土になった花壇に小さな苗を植え付けていました。これまで植物が育たなかった土壌が生まれ変わっていく様子に目が輝やきます。
![京都市内の小学校でたい肥を使用し土壌をつくる様子](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/07/66821ceb75840841122fcafa34859a78.jpg)
学校で育てたオクラなどは動物園でエサとして使われる予定で、SDGsや生命の循環を体験する学びになっています。
様々な寄付を通じて支援され、120年を迎えた動物園。支援する側としても積極的に活動の輪を広げているそうです。SDGsや子どもの学びに繋がる素敵な取り組みに今後も期待が膨らみますね!
次回の“動物園120周年シリーズ”は、2023年8月16日(水)KBS京都『きょうとDays』にて放送されます。お楽しみに!
文/きょうとくらす編集部
【画像・参考】きょうとDays(毎週月~金曜日17:35~18:00) – KBS京都
※この記事は、2023年6月21日(水)放送時点の情報です。詳しくは店舗へお問い合わせください。