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ねらい目の時間は? 園長直伝“京都市動物園を100倍楽しむコツ”【きょうとくらすコラム】

ことし開園120周年を迎えた京都市動物園。
日本で2番目に誕生した歴史ある京都市動物園は子供から大人まで楽しめる魅力がいっぱい。

ほのぼのとした動物の話題から、動物たちを通して私たちの生き方や子育てなどのヒントになる話も!? 坂本園長が動物園の楽しみ方を毎月1回、コラムでお届けします。

画像:京都市動物園

せっかく動物園に来たけれど、動物がお休みモードで動いておらず、残念だった……何とか動物が動いているところを見てみたい!そんな経験をされた方も多いのではないでしょうか。

そこで、今回は“動いている動物”をテーマにお届けしたいと思います。

動物が動く要因は様々ですが、どんな動物も食べ物を食べている時は確実に動いていますので、本園で食事の時間が決まっている動物を中心に紹介します。これを読んで動物園にお越しいただくと、動物の動いている姿がきっと見られるはずですよ。

動物たちの朝のルーティン!

画像:京都市動物園

まず、午前中はフンボルトペンギンとニシゴリラがおすすめ!

9時から9時30分頃、フンボルトペンギンに小アジを与えています。担当者がプールで泳いでいるペンギンに小アジを投げ与え、水中でキャッチして食べるのですが、必ずアジの頭の方から飲み込んでいるので、観察してみてくださいね。

魚のヒレや鱗は全て後ろ向きなので、頭の方からが飲み込みやすいからなんです。

画像:京都市動物園

9時40分から10時頃には、ニシゴリラがごはんを食べている様子を屋外のグラウンドで見ることができます。京都市動物園では、カシやネズミモチ、バショウ、クワなど季節の木の葉や牧草を中心に、白菜やキャベツ小松菜などの葉物野菜、ミニトマト、ピーマン、ブロッコリーなどの野菜も与えています。

画像:京都市動物園

ゴリラが好む食べ物と言えば、一番にバナナを連想される方が多いのではないでしょうか? 確かにバナナは大好きですし、野生では果実類も食べています。

しかし、国内で流通しているくだものは糖度が高く、歯のエナメル層が薄いゴリラにとって、虫歯の原因になりやすいので与えていません。果実類は誕生日などの特別なごほうびや薬を与えたい時、少量でとどめています。

午後のお食事タイム

午後の食事時間はお昼過ぎに集中しています。13時10分頃からはニシゴリラ、アジアゾウ、レッサーパンダなどなど……たくさんいますので、お気に入りの動物に的を絞るのか、全部回るのか……悩みどころです。

時間帯によって行動が変わる

画像:京都市動物園

あれ?また、ニシゴリラ?と思われた方。実は午前中とは違う姿が見られるんですよ!

野生のニシゴリラは果実を食べるために高い木に登ります。そこで、この時間帯は天井から牧草などを与えているので、木に見立てた柱を器用に登って、天井にぶら下がって草を食べている様子を見ることができます。

中でも、体重が約185キロもあるお父さんゴリラのモモタロウが天井にぶら下がって草を集めている姿は一見の価値ありです。

画像:京都市動物園

アジアゾウには干し草や生の牧草、笹、カシなどの木の葉、ゾウ専用の人工飼料、ニンジン、サツマイモ、リンゴ、おからなどを1日4回に分けて与えていて、この時間帯はグラウンドで主に干し草を食べます。

木の枝でも砕いて食べることができる強力なあごを持つゾウですが、大きな頭を食べ物に近づけるのではなく、器用に鼻を使って食べ物を口へと運びます。ちなみに、ゾウの鼻は上唇と鼻が一体となって長く伸びたもの。鼻を上げると、口が開きます。

画像:京都市動物園

レッサーパンダには主食の竹の葉とともに葉っぱを主食とするサル用の人工飼料、リンゴなどを与えています。

食べたものを消化する効率がとても悪く、たくさん食べて、たくさんの糞をするのが特徴です。 レッサーパンダは竹の枝やリンゴをとても器用につかむことができます。

画像:京都市動物園

5本の指は同じ向きですが、手首の種子骨(しゅしこつ)が突き出ていて指と種子骨ではさむと、しっかりつかむことができるのです。担当者によれば、それぞれ利き手があるとか。どちらの手で握っているか観察してみてくださいね。

画像:京都市動物園

15時頃にはカバが生の牧草や干し草、草を食べる動物用に作られた人工飼料、おからなどを食べているところが見られます。

画像:京都市動物園

カバと言えば、大きな口が特徴ですが、とても大きな口で少~しずつ食べる様子が愛らしいですよ!

15時30分頃にはニシゴリラが室内で食事をするところ、16時頃には、アカゲザルが室内で食事をするところ、16時30分頃にはレッサーパンダとフンボルトペンギンの食事をみることができます。

画像:京都市動物園

さあ、これで動物たちが食事をするおおよその時間帯がわかっていただけたでしょうか。

次回来園される際には、動物の食事の時間を参考にプランを立ててみてはいかがでしょうか。

画像:京都市動物園

また、毎週土曜日には、『ごはんですよ』というミニガイドを実施。動物がごはんを食べる様子を観察できるように、ごはんの時間を設定しました。

飼育担当者の話を聞きながら食事の様子を見ることができます。11月までは、11時30分からアジアゾウ、13時10分からチンパンジー、13時30分からキリンです。こちらも是非チェックしてくださいね。

※動物のごはんの時間や場所は体調や天候などで変わることがあります。

10月のイベント「秋の夜間開園~妖怪ナイト at the zoo 2023~」

画像:京都市動物園

京都市動物園と嵯峨美術大学・嵯峨美術短期大学が連携して、『秋の夜間開園~妖怪ナイト at the zoo 2023~』が開催されます。妖怪をテーマに、園内各所で妖怪に関する謎解きゲームやパネル展示等を行う毎年人気のイベントです。
 
夜間開園では、普段とは違った雰囲気の動物園が楽しめますよ!

【詳細情報】
開催期間:2023年10月7日(土)・8日(日)
各日とも開園時間を3時間延長し、20時まで開園(入園は19時30分まで)
※昼・夜の入れ替えはありません。

坂本英房(さかもと ひでふさ)京都市動物園 園長

獣医師で学芸員。1960年福岡生まれ。福岡市役所での勤務を経て1988年から京都市動物園に勤務。最初の6年間は動物飼育に、その後は獣医師として臨床に携わるとともに学芸員として教育普及活動にも従事。2020年から現職。

文/坂本英房 

【画像】京都市動物園