京都は街から山や川が近く、お散歩したり、山に登ってリフレッシュするのにぴったりな場所です。アウトドアで京都の自然を味わってみませんか?
きょうとくらすでは毎月一回、アウトドアの達人で花背山の家 顧問 安田公一が、アウトドア初心者から、もっともっと楽しみたい人に向けて、ちょっとしたコツや奥深い魅力をお伝えします。今回は初心者でも始めやすい京都の山歩きスポットをご紹介します。
光の見え方
光の速さは、とても速く1秒で地球を7周半すると言われています。
さらに、そのとても速い光が1年かけて進むことを一光年と言います。星までの距離は全て光の速さの
“光年”というもので数えます。1万光年は、光の速さで1万年かかるという事です。今、私達の目に見えている星のひかりは何万年もかけて届いているという事なのです。途方もない距離があるという事がわかります。「あの星はどれくらい速いのか?宇宙はどれくらい広いのか?」と考えながら夜空を眺めていると「どうしてこんなに小さいことで悩んでいたんだろう」と思うことがしばしばあります。星空(宇宙)は、とてつもなく広大なのです。
(写真下)花背山から見る星空
星の特徴
北の空の北極星は、中心にぐるぐると時計の針と反対周りをして星が回っているように見えます。つまり、北の空では四季を通じて星座の位置や向きは変わりますが、見える種類は変わりません。有名な星座は、北斗七星(おおぐま座)と、星をつなぐとアルファベットのWの文字に見えるカシオペア座です。
北斗七星は七つの星で有名ですが、本当は7つではありません。ひしゃくの柄の部分の端から2番目の星は二重星なのです。名前は『ミザール』と『アルコル』と言い、『アルコル』はアラビア語で“かすかなもの”という意味であり、かつてアラビアでは視力検査に用いられたほどの暗い星です。 また日本の有名なアニメでは『死兆星』としても有名です。地域によって‟寿命星”など呼ばれ、この星が見えなくなると寿命が近いという言い伝えがあります。
語り継がれる物語
カシオペア座は大きなWの形をしてイスに座る古代エチオピア王妃カシオペアの姿を表した星座です。北斗七星があるおおぐま座の反対側に位置していて、北極星を探す道しるべとしても利用されています。
ギリシャ神話の中では、カシオペアは古代エチオピア王のケフェウスの妻でアンドロメダ妃の母親です。ある時、カシオペア王妃が自分の娘であるアンドロメダ妃の美しさを自慢したため、海の神ポセイドンの怒りをかってしまいます。
怒ったポセイドンは、お化けクジラに古代エチオピア王国を襲わせました。市民は、ケフェウス王とカシオペア王妃にポセイドンの怒りを鎮めるように請願します。
ポセイドンは怒りを鎮めるためにアンドロメダ妃を生け贄に出すよう要求します。ケフェウス王とカシオペア王妃はそれに従い、アンドロメダ妃を生け贄として海の岩場に鎖で繋ぎ、自分の犯した罪を嘆き悲しみます。お化けクジラがアンドロメダ妃を襲おうとしたところに現れたのが、勇者ペルセウスでした。アンドロメダ妃の救出劇。
お化けクジラがアンドロメダに襲い掛かろうとした時、ペルセウスはメドゥサの首を使い、お化けクジラを石にして助けたのです。 その後、ペルセウスはアンドロメダ姫とめでたく結婚し、平穏に暮らしましたとさ。
(写真下 アンドロメダダ座大銀河)
南の空は夏に見える星座と冬に見える星座が違います。これは日本が北半球にあるために南の空は大きく時計の針と同じ方向(東から西)に動きます。
夏に見える星座で有名なのは、Sの形をしたさそり座です。さそり座の1等星アンタレス(赤く年老いた星)が有名でサソリの心臓とも言われています。アンタレスは月や惑星の通り道(黄道)の近くにあるので、火星と並ぶ時には、2つの星が互いの赤さを競い合っているように見えるため、「火星に対抗するもの」という意味を持つアンタレスの名前は、ここから付けられました。
ギリシャ神話では、サソリに殺された乱暴者の狩人オリオンはサソリを恐れ 「さそり座」が地平線から上がってくると「オリオン座」が沈み、「さそり座」が沈むと「オリオン座」が上がって来ると言われています。
北から南に流れる天の川の天頂付近には夏の大三角が見えます。夏の夜、南の地平線のあたりから上の方を見上げていくと、頭の上に、明るく輝く3つの星が見えます。この3つの星を結んでできる大きな三角形を「夏の大三角」といいます。
はくちょう座のデネブ、わし座のアルタイル、こと座のベガ、この3つの星は、どれも1等星です。一番輝いているのがベガで、二番の輝きはアルタイル、三番目がデネブです。同じ1等星でも明るさに違いがあります。
夏の大三角を見られる方位は、季節によっても、時間によっても少しずつ変わってきます。 21時頃であれば、7月なら東の空、8月9月ならほぼ真上か、南西よりの空になります。
小学校高学年で学ぶ、夏の大三角の覚え方も、語呂合わせで簡単に覚えられます。わし座、はくちょう座、こと座の星座は、「ワシはハクチョウのコ(ト)だ」だと覚えやすくなります。 星名は、「夏にアル(タイル)、三角デ(ネブ)ベ(ガ)そ」で、アルタイル、デネブ、ベガの一等星が一気に覚えられます。
3星のうちベガとアルタイルは、馴染み深い、七夕における「おりひめ(織姫)」と「ひこぼし(彦星)」で有名です。
天の川の西岸に住む機織りの名手・織姫と、東岸に住む働き者の牛使い・彦星が、織姫の父親である天帝のすすめで結婚しました。二人は仲睦まじくするばかりで遊んでばかりいたので全く仕事をしなくなりました。
これに怒った天帝が、天の川を隔ててふたりを離れ離れにしました。ところが、今度は悲しみに明け暮れるばかりで二人は全く働かなくなってしまったのです。そこで、仕事に励むことを条件に七夕の夜に限って再会することが許され、七夕になると天帝の命を受けたカササギの翼にのって天の川を渡り、年に一度、再会するようになりました。
星座には神秘的な歴史や成り立ちがあり、夏にしか見られない星座もあります。これまでの話を知りながら夏の夜空を見上げてみるのはいかがでしょうか。花背山の家では、写真のような美しい星空が見られますよ。
安田 公一(やすだ こういち)花背山の家 顧問 通称:ハムさん
京都市立学校教員として勤務した後、平成7年~10年文部科学省よりシンガポール日本人学校に海外派遣主任教員として赴任。小学生からボーイスカウト活動を行い、海外初のボーイスカウト日本連盟隊を結成、初代国際隊長。帰国後、平成10年京都市教育委員会 花背山の家 指導主事、首席指導主事、課長、所長、2024年4月より顧問。佛教大学教育学部 特任教授として野外教育を広める。文科省 中教審 体験活動委員会委員。教育学修士(心理学)、バレーボール国際コーチ、京都府成年男子バレーボールチーム監督、趣味はバンド活動(ドラム)ライブで活動中。
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文/安田公一
【画像】花背山の家