京都は街から山や川が近く、お散歩したり、山に登ってリフレッシュするのにぴったりな場所です。アウトドアで京都の自然を味わってみませんか?
きょうとくらすでは毎月一回、アウトドアの達人で花背山の家 顧問 安田公一が、アウトドア初心者から、もっともっと楽しみたい人に向けて、ちょっとしたコツや奥深い魅力をお伝えします。今回は『ヤマビル』対策をご紹介します。
嚙まれると厄介なヒル
皆さんは『ヤマビル』をご存じですか?
最近、登山やハイキング、キャンプなどでヤマビルに血を吸われる被害が多発しています。ヤマビルは春から秋頃(4月~10月頃)にかけて活発に活動します。
ヤマビルは体長1~5センチメートルですが、ゴムのように伸縮自在の体です。頭部と尾部の吸盤を使い、しゃくとり虫のように移動して生き物によじ登り、吸血します。
ヤマビルは、日陰の湿った環境を好み、山林内の暗くて落ち葉が堆積している場所に生息しています。野生動物(シカやイノシシなど)が通る獣道にも生息しています。ヤマビルは、人の体温、吸気の中の二酸化炭素などを感じ取り、落葉の間から這い出して接近してきます。
体についたヤマビルは、吸血しやすいところを見つけると、歯を使い皮膚を傷つけ、1時間程度かけて約1mlを吸血します。吸血の際、痛みを感じさせないモルヒネのような物質と血液を固まらせないヒルジンという物質を出すため、吸血されていることに気付かないことが多く、血が止まりにくくなります。
その後、かゆみなどの症状を起こします。血を吸ったヤマビルは小指の第1関節ぐらいに膨れ上がる場合もあります。
私は毎年40回以上、京都の山を登っていますが、一度もヤマビルに噛まれたことがありません。 しかし、一緒に行った先生や子どもたちがヤマビル被害にあっているのを見ています。データを取ったわけではありませんが、感覚的には100人で登山すれば1人が噛まれる感じです。
私もいつ被害にあうか判りません!
ただ私なりにヤマビル対策をしています。それを参考にしてください。
ハムさん流 ヤマビル対策
ズボンの裾は靴下の中に入れる
ヤマビルのほとんどは足元から上がってきます。ですからズボンの裾と靴下との間の空間を作らない。またズボンの上からスパッツを着用したり、長靴を履いたりするのも効果的です。長靴は歩き難い為に登山用の中敷きを入れると楽です。
木の上の葉っぱから落ちてくる場合もあるので、上着もズボンに入れておく。タオルを首に巻いてシャツとの空間をなくす。ハイネックのシャツ着も良い。
出発前にヤマビル除けの薬品スプレーを靴にかける
虫よけスプレーの中にはディート(化学成分)が含まれていることが多いので乳幼児には使用を注意してください。10~30%の含有量があります。使用上の注意をしっかりと確認する
歩くときには湿った道は避ける
直射日光の当たらない場所、地面に堆積した枯葉や枯れ枝の下、石の下、地面が湿っている場所は要注意です!
休憩する時には足踏みを
特に湿った場所などで休憩をするときには、足踏みしたり、小さく移動をしたりしてヤマビルが目標にしているゴール地点(自分の脚)を移動させる
30分を目途に仲間どうして点検をしあう
目視できるので、足元を他人と確認し合う
もしもの時のために塩を持参する
塩に弱いので噛まれた時には無理やり引き離すのではなくて、塩をかけると離れて落ちる
対策さえすれば、怖がる必要はありません。楽しんでハイキングや登山、キャンプに出かけましょう!
安田 公一(やすだ こういち)花背山の家 顧問 通称:ハムさん
京都市立学校教員として勤務した後、平成7年~10年文部科学省よりシンガポール日本人学校に海外派遣主任教員として赴任。小学生からボーイスカウト活動を行い、海外初のボーイスカウト日本連盟隊を結成、初代国際隊長。帰国後、平成10年京都市教育委員会 花背山の家 指導主事、首席指導主事、課長、所長、2024年4月より顧問。佛教大学教育学部 特任教授として野外教育を広める。文科省 中教審 体験活動委員会委員。教育学修士(心理学)、バレーボール国際コーチ、京都府成年男子バレーボールチーム監督、趣味はバンド活動(ドラム)ライブで活動中。
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文/安田公一
【画像】花背山の家