KBS京都で放送中の『京都浪漫~悠久の物語~』。
2023年10月8日(日)に放送された『京都を駈けた神馬や名馬たち~上賀茂神社・藤森神社・京都競馬場~』から、“上賀茂神社”についてご紹介します。
馬とゆかりの深い「上賀茂神社」
京都市北区にある『賀茂別雷神社』、通称『上賀茂神社』は馬とゆかりの深い神社です。
上賀茂神社までは、京都駅から市バスの4系統に乗り、『上賀茂神社前』で下車、歩いてすぐ。もしくは、市バスの9系統に乗り、『上賀茂御薗橋』で下車、徒歩およそ5分です。
広大な敷地の中に『神馬舎』がたたずんでおり、七代目神馬・神山号の姿を見ることができます。
毎年1月7日に行われる白馬奏覧神事では、神馬を神様の御前まで連れていきます。“新年に白馬(青馬)を見ると一年の邪気が祓われる”という中国の故事にちなんでいるのだそうです。
神山号が上賀茂神社に出社するのは、日曜・祝日と大きなお祭りのある日。普段は神山の西側、上賀茂神山1丁目にある京都産業大学の総合グラウンドの馬術部の厩舎にいます。
京都産業大学の創設者、荒木俊馬総長の長男でもある荒木雄豪初代監督は、1967年にベルギーで行われた国際馬術競技会で優勝するなど世界で活躍。
その荒木監督率いる馬術部は、創部5年目の1969年、全日本学生馬術大会の団体競技で優勝しました。以来、数々の栄光を積み重ねています。
神山号が上賀茂神社に出社する一日を紹介
神山号は、かつてJRAのレースで2勝を挙げた、マンインザムーン。母は桜花賞馬・ダンスインザムードという良血馬です。神山号が上賀茂神社に出社する一日を特別に取材させてもらいました。
朝の運動を終えると、出社のための毛づくろいを行います。実は、上賀茂神社では神馬が一度は途絶えていたのですが、昭和40年代に神馬を復活させようという気運が高まり、JRAから引退した競走馬を奉納してもらうことになったのだそうです。
車で上賀茂神社に移動し、境内の神馬舎まで。
二の鳥居の前で一礼も忘れません。
神馬の出社日は参拝者がにんじんをあげることもできます。
馬に関わる神事「賀茂競馬」・「笠懸神事」
上賀茂神社には、次のような神話が伝わっています。神代の時代、1本の丹塗矢が空から降ってき、賀茂玉依比売命(かもたまよりひめのみこと)がその矢を不思議に思い持ち帰ります。
その矢を、床に祀ってお休みになられたところ、矢に籠っていた不思議な力でご懐妊。立派な御子をお産みになられたのだそうです。
しかし、その御子が元服を迎えたとき、御子は「わが父は天津神なり」と言って盃を天に向かって投げ、雷鳴とともに天に昇ってしまわれたのです。
残された賀茂玉依比売命が、再び御子に会いたいと願っていたある夜、夢枕に御子が現れ「私に会いたいのならば、馬に鈴をかけて走らせ、葵の蔓を造り飾るように」と告げました。
それに従って神を迎える祭りを行ったところ、御子は立派な成人の姿となり、神山に降臨されたのです。この御子神こそが上賀茂神社の御祭神、賀茂別雷神です。
神託に従い、馬に鈴をかけて走らせ神を迎えたことから、上賀茂神社は日本の乗馬発祥の地とされています。
そんな上賀茂神社で毎年5月5日に催されるのが、2頭の馬が駈け比べをする『賀茂競馬(かもくらべうま)』。
また、毎年10月の第3日曜日には日本書紀にも登場する日本古来の弓馬術・笠懸を奉納する『笠懸神事』も行われてきました。
全速力で駈ける馬上から弓を放つその瞬間は、迫力と緊張感に満ち、多くの観客を魅了します。
神馬・神山号をはじめ、馬との縁の深い上賀茂神社。京都と馬との関わりに思いを馳せながら、ぜひお参りしてみてくださいね。
文/きょうとくらす編集部
【画像・参考】京都浪漫~悠久の物語~(第1・2週 日曜日 21:00~21:55/再放送 第3・4週 日曜日 21:00~21:55) – KBS京都
※この記事は2023年10月8日(日)放送時点の情報です。