KBS京都で放送中の『谷口流々』。
谷口キヨコが、京都を中心に活躍する人々の仕事現場に足を運び、十人十色の人生哲学を紐解いていきます。
2024年1月6日(土)の放送では、考古学者・鈴木久史さんに話を伺いました。
Profile:考古学者・鈴木久史さん
鈴木久史さんは京都市文化財保護課に所属。文化財保護技師として市内の遺跡の保護にあたっています。専門は京都市内にある埋蔵文化財の保護及び行政の指導を担当。京都中の土を調べ尽くし、瓦をこよなく愛する考古学者でもあります。
今回見学させていただいた『京都市考古資料館』にあるものは、土の中から出てきたものも多く、皆さんに見てもらえるようきれいにして展示しているのだそう。
例えば、『鴟尾(しび)』といわれる宮殿・仏殿などの棟(瓦屋根の頂上)の両端に取り付ける飾りも展示されています。
展示されているものは破片で、それを繋ぎ合わせかつてどのように使われていたのか、どういった意味があったのかを明らかにしていくのも仕事だそうです。
歴史に囲まれた少年時代
鈴木さんは滋賀県大津市の出身。子どもの頃、父親が京都市埋蔵文化財研究所に働いていて、歴史にすごく近い環境で育ったそうです。
特に考古学に興味があったわけではなかったそうですが、生活の中に当たり前のように歴史的なものが学べる環境があったのが大きく今に繋がります。
歴史の授業では「自分が知っている知識を先生が言っているようなイメージでした」と鈴木さん。
高校から大学に入るにあたり、将来自分が何をしたいのかという時、遺伝的なものが働いたのだとか。大学を選択するにあたって、同じような仕事をしたいと父親に相談したそうです。
父の恩師との出会い
父親から勧められた大学の先生が、父親の恩師でもあった森郁夫先生です。
大学3回生になり卒論を書く時のことです。鈴木さんは発掘することをしていましたが、発掘をしたら終わりというわけではなく、報告書にまとめる必要がありました。
人手不足と学生を育てなければならない業界の機運のようなものがあり、瓦の師匠でもある森先生から「修行に行ってきなさい」と言われ、そこで“瓦”の面白さに気づいたそうです。
森先生が授業で、「瓦はダイヤモンドだ。ダイヤモンドの原石だ。この原石を磨けばいろんなことがわかる」と教えてくれたことにより、鈴木さんはさらに瓦にどっぷり浸かっていきました。
瓦大好き考古学者
平安時代の中心である京都で働きたいと考え、27歳の時に京都市文化財保護課に就職した鈴木さん。
社会人になってからの研究の成果をまとめられるよう、業界では研究会といった形で自分の考えを発表する場が設けられているとのこと。ちなみに瓦の学会もあるそうです!
鈴木さんの最終目標は、師匠でもある森先生が『瓦』という解説書を執筆していて、これを超えるものを作っていきたいとのこと。瓦の素晴らしさをもっと多くの方にお伝えしたいそうです。
瓦は重いイメージがありますが阪神淡路大震災以降、軽量化を目指していて耐震や免震にシフトしているとのこと。住宅だけでなく、お寺を守っていく上でも瓦は重要なものです。
改良や試行錯誤されながら現代にあった瓦が作られており、鈴木さんは「瓦の良い面をもっと伝えていきたい」と話してくれました。
鈴木さんを表すことば
今回の“鈴木さんを表すことば”は、『シン瓦「 」』です。
「 」には、鈴木さんが最終目標にしている恩師を超える本の結論が入ることを期待しています!
これから瓦が時代に合わせてどのような進化をしていくのか気になりますね。
関連記事:これまでの「谷口流々」はこちら!
文/西門
【画像・参考】谷口流々(毎週土曜日9:30~10:00) – KBS京都
※この記事は、2024年1月6日(土)放送時点の情報です。最新の情報は各店舗・施設にお問い合わせください。