KBS京都で放送中の『京都浪漫~悠久の物語~』。
2023年8月13日(日)に放送された『六地蔵めぐりと地蔵盆〜大善寺・上善寺・壬生寺・あだし野念佛寺〜』から、“六地蔵めぐり”についてご紹介します。
8月22日・23日に行われる“六地蔵めぐり”とは
“六地蔵めぐり”発祥の地といわれる『大善寺(だいせんじ)』。大善寺には、嵯峨天皇に仕えた官僚で歌人としても知られる小野篁(おののたかむら)の木像が安置されています。熱の病に罹った篁は、その病が原因で地獄へ落ちたとされています。その際、篁のもとに地蔵菩薩が現れ、篁を生き返らせました。
生き返った篁は、1本の桜の木から6体の地蔵菩薩像を刻んで大善寺に納めたと伝わり、それが大善寺の辺りの地名“六地蔵”の由来とされています。
小野篁が地蔵菩薩像を彫ったおよそ300年後、地蔵菩薩像は平清盛によって6か所に分けて安置されたと伝わります。
6か所に分けた理由は、疫病が流行っていた京都を守護するために、京都に入る6つの街道の入り口へと移したからです。奈良街道・西国街道・丹波街道・周山街道・鞍馬街道・東海道の6つの街道の京の都への出入り口にあたります。
そこからその6体のお地蔵さまを巡拝する“六地蔵めぐり”となっていきました。六地蔵めぐりでは6か所のお地蔵さまで6つのお幡(お札)を集め、家の玄関に吊るしてお守りにします。お幡の色はお寺によって決まっています。
(1)奈良街道の出入り口に建つ大善寺の「伏見六地蔵」
大善寺の地蔵堂には小野篁が彫った六地蔵のうち、最初に彫ったとされる地蔵菩薩立像が安置されています。『伏見六地蔵』とも呼ばれ、高さおよそ1m61cm。平安時代の作と見られ、右手に錫杖、左手に宝珠を持っています。
大善寺で授かることができるお幡の色は白色です。
(2)西国街道の出入り口に建つ浄禅寺の「鳥羽地蔵」
西国街道の出入り口である鳥羽に建つのが浄禅寺。
『鳥羽地蔵』とも呼ばれる地蔵菩薩立像は、高さおよそ2m。寄木造の像は白塗りで、装飾には極彩色の截金文様が施されています。
こちらで授かることができるお幡の色は黄色です。
(3)丹波街道の出入り口に建つ地蔵寺の「桂地蔵」
丹波街道の出入り口である桂に建つのが地蔵寺。
小野篁が桜の一木の最下部を刻んだものと伝わる地蔵菩薩立像、通称『桂地蔵』が本尊として安置されています。
高さはおよそ2m65cm。六地蔵の中でいちばん大きいことから、“大きい”=“お姉さん”といった意味で『姉井地蔵』とも呼ばれています。
こちらで授かることができるお幡の色は緑です。
(4)周山街道の出入り口に建つ源光寺の「常盤地蔵」
周山街道の出入り口であり常盤に建つのが源光寺。
『常盤地蔵』の通称がある地蔵菩薩立像を本尊としています。
高さおよそ1m40cmと六地蔵の中でいちばん小さいことから、別名は『乙子(おとこ)地蔵』。“乙子”とは“末っ子”という意味です。
こちらで授かることができるお幡の色は紫です。
(5)鞍馬街道の出入り口に建つ上善寺の「鞍馬口地蔵」
鞍馬街道の出入り口である鞍馬口に建つのが上善寺。
江戸時代まで深泥池のほとりに祀られていたこちらの地蔵菩薩像。明治初期に上善寺へ移され、『鞍馬口地蔵』と呼ばれています。
別名は『姉子地蔵』です。
こちらで授かることができるお幡の色は赤です。
(6)東海道の出入り口に建つ徳林庵の「山科地蔵」
東海道の出入り口である山科に建つのが徳林庵。
東海道の守り本尊として慕われてきた『山科地蔵』が祀られています。
こちらで授かることができるお幡の色は青です。
仏さまへの祈願で困難・疫病を乗り越える
大善寺の住職・羽田龍也さんによると、コロナ禍になり六地蔵めぐりをして無病息災や厄病退散などを祈願する人が増えてきたと言います。
日本では昔から仏さまの力でさまざまな困難や疫病を乗り越えてきました。これを機に若い人にもこういった信仰が広がっていけばと、羽田さんは考えています。
“六地蔵めぐり”は毎年8月22日と23日の両日に行われます。総距離35kmにも及ぶ“六地蔵めぐり”ですが現代では公共交通機関などを利用してまわることも可能なので、ぜひ一度巡拝してみてくださいね!
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文/中村ゆか・きょうとくらす編集部
【画像・参考】京都浪漫~悠久の物語~(第1・2週 日曜日 21:00~21:55/再放送 第3・4週 日曜日 21:00~21:55) – KBS京都
※この記事は、2023年8月13日(日)放送時点の情報です。