KBS京都で放送中の『京都浪漫~悠久の物語~』。
今回は、2023年5月14日(日)に放送された伏見稲荷大社をご紹介します。伏見稲荷大社の神事や豊臣秀吉からの手紙、参拝の真骨頂・お山めぐりまで全2回に分けてお伝えします。
【関連記事】~第2話~お参りの真骨頂「お山めぐり」
伏見稲荷大社とは
京都の人にとってお稲荷さんといえば伏見稲荷大社。全国に三万社あると言われる稲荷神社の総本宮です。711年稲荷山の三ヶ峰に神を祀ったのが伏見稲荷大社の創建と伝わります。五穀豊穣、商売繫昌、家内安全などのご利益で知られる神様です。
伏見稲荷大社まではJR稲荷駅の改札を出てすぐ、京阪電車の伏見稲荷駅からは徒歩約5分です。
本殿は稲荷大神が鎮まる神聖な場所で、毎月1日に月次祭(つきなみさい)が行なわれています。
ほかにも伏見稲荷大社では、神事や行事が多く行われております。華道家元・池坊による『献花祭』、あらゆる産業の守護神である稲荷大神に感謝を捧げる『産業祭』、稲荷大神に立派な稲の成長を祈念する『水口播種祭(みなくちはしゅさい)』などがあります。
「稲荷祭」で感じられる東寺との深い繋がり
伏見稲荷大社で最も重要な祭事として『稲荷祭 神幸祭』が行われます。年に一度、稲荷大神が京都駅の南西にある御旅所にお出ましになりご神徳をいただくお祭りです。
今年は5基の神輿が3km離れた御旅所に向かいました。5月3日の還幸祭で伏見稲荷大社に神輿が戻る途中、東寺により僧侶たちが般若心経を唱える『東寺の神供』が行われます。
827年に淳和天皇が体調を崩し原因を占ったところ、東寺の五重塔の用材として稲荷山の黄を伐採したことが分かりました。それに対して朝廷から稲荷大神に初めて『従五位下』という神階が授けられました。
これがきっかけとなり、平安時代から1200年経つ今も、東寺と伏見稲荷大社は祭りの中で関係を続けています。
伏見稲荷大社 境内を巡る
伏見稲荷大社は、2014年から6年連続で“外国人に人気の日本の観光スポット”第1位にも輝いています。
参道を楼門に向かう途中に詣でたいのが『熊野社』。平安時代、熊野詣に行く前にまず伏見稲荷大社の境内の杉の枝を身に着け道中の安全を祈ったそうです。杉は伏見稲荷大社のご神木です。
伏見稲荷大社の楼門は豊臣秀吉の寄進です。秀吉の母・なかは幼い秀吉を連れ、地元尾張の稲荷神社に参拝し息子の立身出世を祈願したそうです。秀吉も母の思いを受け継ぎ稲荷信仰が篤く、隠居場所とした伏見城にも稲荷神社を建てました。
伏見稲荷大社には秀吉が1588年に書いた手紙が残っていました。母・なかが病気にかかった際に平癒を祈願して記したのが『命乞いの願文』です。大規模なご祈祷が行われ、病気は快復。そのお礼として建てられたのが楼門です。
楼門の前には一対の狐の像があります。稲荷大神の使いです。向かって右側の狐像は稲荷大社の神秘的なご神徳を象徴する宝珠という球を、左側の狐像は稲を収める蔵の鍵を咥えています。境内ではほかにも稲穂や巻物を加えた狐像を目にすることができます。
楼門の左右には阿吽を表す2体の随神が境内を守っています。向かって右側が『阿形の左大臣』、左側が『吽形の右大臣』です。
楼門をくぐると外拝殿があります。春・秋の献花祭などが行われます。釣り灯篭は明治の終わりに寄進されたもので、図柄はかに、てんびん、さそりなどの黄道十二宮のデザインです。
本殿に参拝した後は奥宮へ、ご本殿と同じ稲荷大神が祀られており、ほかの境内社とは別格です。奥宮の左には境内で唯一、狐をお祀りした『白狐社』があります。
そして千本鳥居へと続いていきます。大きな鳥居が続く『命婦参道(みょうぶさんどう)』を抜け……、
鳥居が二股に分かれると千本鳥居です。実際には稲荷山全体におよそ1万基の鳥居があります。鳥居はご利益を授かった方々がお礼として奉納されたものです。
千本鳥居は御神木である杉から作られており、社殿と同じく『稲荷塗』といわれる朱色に彩色されています。この色は豊穣を表す色とされています。
稲荷山には神々が宿るとする伏見稲荷大社ではおよそ4kmの山道を歩き点在する社やお塚を巡る『お山めぐり』が平安時代から参拝の真骨頂とされてきました。
千本鳥居が建つ辺りはお山への入口にあたります。
千本鳥居を抜けると『奥社奉拝所』に出ます。
ここにあるのが『おもかる石』という一対の石です。願い事を祈念した後、石を上げてみて思ったより石が軽ければ願い事が叶うと言われています。
『奥社奉拝所』は狐の絵馬も有名ですので、ぜひ奉納してみてください。
『奥社奉拝所』から10mほどのところにはパワースポット『根上がりの松』が見られます。音から、株や証券の値上がりの時期を待つということで祈願されてきました。
そして、山頂方面へと進む『お山めぐり』に入っていきます。
続いては、“~第2話~お参りの真骨頂「お山めぐり」”についてご紹介します。
文/きょうとくらす編集部
【画像・参考】京都浪漫~悠久の物語~(第1・2週 日曜日 21:00~21:55/再放送 第3・4週 日曜日 21:00~21:55) – KBS京都
※この記事は、2023年5月14日(日)放送時点の情報です。