KBS京都で放送中の『京都浪漫~悠久の物語~』。
今回は、2023年5月14日(日)に放送された伏見稲荷大社をご紹介します。伏見稲荷大社の神事や豊臣秀吉からの手紙、参拝の真骨頂・お山めぐりまで全2回に分けてお伝えします。
【関連記事】~第1話~東寺との関係と境内散策
厳かな空間を歩く「お山めぐり」
伏見稲荷大社のお参りの真骨頂『お山めぐり』は2時間ほどかけて稲荷山を巡ります。『枕草子』にも「うらやましげなるもの」として描かれています。
『奥社奉拝所』を過ぎ、稲荷山の山頂へと連なる鳥居を歩んでいきます。進んでいくと『お塚』が現れます。大小さまざまな石は、聖域に自分だけの神様をお祀りしたいと奉納したものです。石には稲荷大神に別の名前を個別につけ、個人の守護神として名を刻んでいます。その数は山全体で1万基とも言われています。
池に突き出た石積みにロウソクの炎が揺らめく『熊鷹社』があります。ロウソクは向かいの茶店で買うことができ、火打ち石で切り火をして清めてもらえます。ロウソクには商売繁昌や勝負事に強くなるご利益があるとされています。
『熊鷹社』の後ろの新池はパワースポットとして知られる、別名『谺ヶ池(こだまがいけ)』です。尋ね人がいる時に、池に向かって手を叩くとこだまが返ってきて、返ってきた方角に手がかりがあると言われているそうです。
さらに登ると、衣食住という人々の暮らしを守る三徳大神が祀られた『三徳社』に着きます。
稲荷山中腹の四ツ辻と呼ばれる場所まで登ると、京都市街の南側を一望できます。
この四ツ辻にあるのは1864年創業の老舗『にしむら亭』。眺望も良く休憩にもおすすめです。西村家の初代・市助が幕末の動乱期に参拝者の便宜を図るために開いたお店だそうです。
人気のメニューはきつねうどんといなり寿司のセット。疲れた身体にお出汁が染みます。甘く炊かれたお揚げのいなり寿司も絶品です。
この先、山頂の一ノ峰まで登りますが、四ツ辻から2つのルートに分岐します。今回は向かって左のルートを進んでいきます。
『大杉社』には全国から大工や材木商が参拝に訪れます。神様が邪気を払ったと言い伝えのあるご神木の杉をお祀りしています。
『眼力社』はお参りすると目の病気がよくなると言われ、さらに先見の明を授かり商売の目先が利くようになると言われています。
『御膳谷奉拝所』は、毎年1月5日に『大山祭 山上の儀』が行われる神聖な場所です。数多くのお塚が並びます。
『薬力社』はその名の通り、薬が良く利くなど無病息災、健康長寿のご利益があると言われます。
すぐ近くの『おせき社』は喉の病気、喘息やせきを治してくださると言われます。郵便箱が取り付けられており、参拝できない人たちからの祈願やお礼のはがきが届くそうです。
『長者社』は金属加工業者の参拝が多いお塚。神様が宿ったとされる劔石があり、刀工・三条小鍛冶宗近が一条天皇に捧げた宝刀『小狐丸』を鍛えたという伝承があるためです。
『長者社』は『御劔社』とも呼ばれています。
『長者社』を過ぎ石段を登ると一ノ峰・稲荷山233m、山頂に到着します。山頂には『上社』があり末広大神が崇められています。
少し下り、二ノ峰には青木大神と崇められる『中社』が、
三ノ峰には『下社』があり白菊大神と呼ばれ信仰されています。
さらに下るとお山を一周し終え、四ツ辻に戻ってきます。
平安時代から長きにわたり信仰され続けた『お山めぐり』。境内で見える景色と、『お山めぐり』で見えるお塚のある厳かな風景と、伏見稲荷大社は違った顔を見せます。
鳥居の数から感じ取れる人々の祈りや感謝を思いながら、ぜひ散策してみてください。
文/きょうとくらす編集部
【画像・参考】京都浪漫~悠久の物語~(第1・2週 日曜日 21:00~21:55/再放送 第3・4週 日曜日 21:00~21:55) – KBS京都
※この記事は、2023年5月14日(日)放送時点の情報です。