KBS京都で放送中の『京都浪漫~悠久の物語~』。
2023年7月2日(日)に放送された『愛宕ものがたり~愛宕神社と月輪寺~』を、全3回に分けてご紹介します。
愛宕ものがたり~愛宕神社と月輪寺~
「愛宕神社」への参道
京都市内の西北にそびえる愛宕山は古くから信仰されてきた神聖な山。都の平安を守る鎮護の山です。「伊勢へ七たび 熊野へ三たび 愛宕さんへは月参り」と言われるほど都人に親しまれていました。
険しい参道を登りきった先にあるのが『愛宕神社』。火伏・防火に霊験あらたかな神が祀られています。
京都市街から愛宕山への入り口となるのが嵯峨鳥居本です。愛宕山の門前町として栄えてきました。
昔ながらの町並みを進むと愛宕神社の一の鳥居があります。
鳥居の奥に建つのは創業400年の鮎料理で有名な茶屋『平野屋』。店の前には愛宕詣の安全を祈願する『上り亀石』が置かれています。「愛宕山へは亀のようにゆっくり着実に登りなさい」という意味だそうです。一の鳥居から愛宕山山頂まではおよそ5.5kmあります。
愛宕詣の参詣道は、清滝から登る“表参道”。月輪寺を経由する“月輪寺参道”。柚子で有名な水尾から表参道に合流する“水尾参道”。首なし地蔵へと抜ける“裏参道”などたくさんの参道があります。
今回は表参道を登り、愛宕神社を参拝し、月輪寺参道を下ります。
表参道で愛宕神社へ
表参道の登り口・清滝までは京都駅より京都バスでおよそ60分。バス停「清滝」で下車し徒歩すぐです。
山頂の愛宕神社へは2時間ほどの険しい山道。清滝にある愛宕神社の二の鳥居から、表参道を登り、帰りに月輪寺を経由するコースは5~6時間の道のりです。気象予報士で『京都観光おもてなしコンシェルジュ』も務めるツアーガイドの吉村晋弥さんと共に登ります。
「愛宕山は険しい山。自動販売機や水分補給できる所も乏しいため、しっかり飲料等も持参し、準備を整えてから、日が暮れぬよう午前中に登り始めていただきたい。」と吉村さんは話します。
登り始めてすぐ右手には、昭和初期のケーブルカーの跡が見えます。
表参道沿いには『丁石』と呼ばれる案内が1丁ごとに建てられています。1丁はおよそ109m。一の鳥居から50丁で山頂の愛宕神社です。等間隔に並ぶ丁石を眺めながら登るのも楽しみの一つです。
17丁目には『火燧(ひうち)権現』と呼ばれた社があり、山頂の愛宕社と同様に火の神が祀られていました。
25丁目には茶屋跡があります。かつて参道沿いには多くの茶屋が設けられており、所々にある平らな土地は“茶店兼宿泊所の跡”なのだそうです。
愛宕山の名物で『志んこ』という米粉を練って蒸したお菓子があります。かつては茶店で歌いながら客寄せをしたという話も伝わってます。
30丁目を過ぎると少し道が緩やかになり、眼下に街が見えます。二の鳥居からおよそ90分で『水尾別れの休憩所』に着きます。水尾は愛宕山の西側にある集落、亀岡市や南丹市方面からの参詣口の一つです。
さらに少し登るとハナ売場があります。かつて水尾の女性たちが「ハナ」と呼ばれる樒(しきみ)という植物を愛宕神社の神前にお供えしこの場所で販売していました。
樒をおくどさん(釜戸)の上に挿し、一日一枚ずつ火の中に樒をくべておくと火よけのご利益があると信じられていたそうです。
44丁目のガンバリ坂を過ぎると、白雲寺の京都側の惣門・黒門が見えてきます。かつては亀岡や南丹からの丹波口惣門もありました。
二の鳥居から2時間あまりかけ、ようやく50丁目の愛宕神社の石段下に到着です。
続いては、“愛宕ものがたり~第2話 愛宕神社参拝~”をご紹介します。
文/きょうとくらす編集部
【画像・参考】京都浪漫~悠久の物語~(第1・2週 日曜日 21:00~21:55/再放送 第3・4週 日曜日 21:00~21:55) – KBS京都
※この記事は、2023年7月2日(日)放送時点の情報です。