KBS京都で放送中の『京都浪漫~悠久の物語~』。
2023年7月2日(日)に放送された『愛宕ものがたり~愛宕神社と月輪寺~』を、全3回に分けてご紹介します。
愛宕ものがたり~愛宕神社と月輪寺~
険しい参道を下って月輪寺へ
愛宕神社に参拝した後、帰りは月輪寺参道で清滝まで戻ります。
『下り亀石』にお参りをし、有名な空也上人ゆかりのお寺『月輪寺』を目指します。愛宕神社の境内から月輪寺までは徒歩でおよそ40~50分です。
途中には愛宕山で一番の絶景も広がります。
月輪寺の境内に到着すると、かつて愛宕山に数多くあった寺院の姿が偲ばれます。
月輪寺は愛宕山を巡る五大寺の一つとして大宝4年(704年)に修験道の僧侶・泰澄によって創建されました。奈良時代の終わりには弘法大師・空海の師にあたる慶俊僧都によって中興され国家鎮護の霊場に。
地中から『人天満月輪』と刻まれた鏡が出てきたため、月輪寺という名になりました。塔頭や宿坊が並び建っていた境内も今は2つのお堂が残るのみです。
本尊の阿弥陀如来像は宝物館に収蔵されていて御前立が祀られています。
月輪寺と空也上人
月輪寺は若き日の空也上人が修業し、悟りを開いた地でもあります。空也上人は中興の祖である慶俊僧都を慕ってここ月輪寺に籠もったといわれ、境内にはかつて『空也院』というお堂があり空也上人像が祀られていました。
空也上人が修業した際、観音様のお告げにより龍神を救いお礼として龍神から授かったという伝説の水『龍奇水』。今も月輪寺の大事な飲料水です。
空也上人は修業のあと都に下りて、六波羅蜜寺を創建したと伝えられています。
宝物館には本尊の阿弥陀如来像を始め、重要文化財に指定されている仏像が並びます。
空也上人自作と伝わる空也上人立像や、
随筆家・白洲正子さんも見つめていたという千手観音立像も祀られています。
三祖師堂と不思議な「時雨の桜」
月輪寺には空也上人のほかにも有名な僧侶たちが訪れたと伝わっています。三祖師堂には、法然上人・親鸞聖人・九条兼実の3人が自らを刻んだという像が祀られています。
九条兼実は鎌倉時代に源頼朝と結び摂政・関白となった公卿です。晩年、出家し、月輪寺に隠棲したことから『月輪殿』と呼ばれました。
境内には3人とゆかりのある時雨桜があります。法然上人が讃岐に流される際、親鸞聖人と共に月輪殿を訪ね名残を惜しんで記念に植えたと伝わります。
時雨桜は葉から雫を落とす不思議な桜で、別れを悲しむ3人の涙が雫となり落ちるのだと言われています。時雨桜は江戸時代の都百景にも選ばれています。
境内のホンシャクナゲは樹齢およそ500年。京都市の天然記念物に登録されていて初夏の頃に美しい花を咲かせます。
今年復活する愛宕神社の千日詣。夜は照らされた表参道を登り降りすることができます。ぜひこの夏、空也上人ゆかりの月輪寺も共に巡り、自然を感じながら京都を代表する霊山を自分の足で訪れてみてはいかがでしょうか。
文/きょうとくらす編集部
【画像・参考】京都浪漫~悠久の物語~(第1・2週 日曜日 21:00~21:55/再放送 第3・4週 日曜日 21:00~21:55) – KBS京都
※この記事は、2023年7月2日(日)放送時点の情報です。