KBS京都で放送中の『京都浪漫~悠久の物語~』。
今回は、2023年8月6日(日)に放送された『夏の清水寺界隈を巡る~清水寺・京都霊山護国神社・霊山歴史館・八坂庚申堂~』をご紹介。
名所・旧跡の多い観光地であり、古くから親しまれてきた京都東山を巡ります!
世界遺産「清水寺」
![『清水の舞台』](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/08/39f965b71c935a541f20855974a390f1.jpg)
連日多くの参拝者で賑わう『清水寺』。『清水の舞台』の景観美、そして御本尊の千手観音のご利益を求めて古くから多くの方が訪れてきました。
![清水寺周辺の地図](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/08/28b83b2a57fc4c1247d0a3715c8db6bd.jpg)
清水寺までのルートはいくつもあります。
一つ目は、京阪 『祇園四条』駅から四条通を東へ、八坂神社を抜け、ねねの道、二寧坂、産寧坂を通るルート。二つ目が東大路通を八坂通まで南下し、八坂塔の下を抜けるルート。そして最後が京阪『清水五条』駅から五条通を東へ、五条坂から茶わん坂を通るルートなどです。
いずれのルートものんびり歩いて30分前後です。
「清水寺」の七不思議
全国のお寺や神社には七不思議というものがありますが、清水寺にもたくさんの不思議があります。その数は全部でなんと20を超えるとも言われています。清水寺の七不思議を順に見ていきましょう。
(1)阿阿の狛犬
![清水寺『仁王門』](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/08/c10b45ede3ad11f36cafb8cb5335d37c.jpg)
参道を抜けると真っ先に目に入る 『仁王門』は清水寺の正門。鮮やかな丹塗りから「赤門」とも呼ばれています。応仁の乱で焼失しましたが1500年頃に再建。2003年には解体修理が行われ美しく塗り直されました。
![清水寺『仁王門』の狛犬](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/08/1f8cdf69283e451d50adbbff48262d99.jpg)
この門の前に立つ狛犬に最初の七不思議があります。一般的な狛犬は口を開けているものと閉じているものの阿吽の状態で祀られています。ところがこの清水寺はどちらも口を大きく開けています。
飛鳥時代に伝わったとされる狛犬(獅子)は元来2体とも口を開けた形で、平安時代に片方が口を閉じる日本独自の形態となったそうです。
(2)馬駐の鐶(かん)
![清水寺の馬駐](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/08/956a9a601f42d6788537328e75e2faf9.jpg)
『仁王門』の左手前の馬駐(うまとどめ)は、かつて貴族や武士が参拝する際に馬を繋いだ場所です。現在の建物は江戸時代初期の再建で、正面がおよそ10.5m、側面がおよそ5mと規模が大きく全国的に希少な遺構です。
![馬駐の2つだけ違う鉄製の鐶(かん)](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/08/0e672d081cc17ef3822078a65b8dc93c.jpg)
馬の手綱を繋ぐ鉄製の鐶(かん)は通常横向きに取り付けるのですが、なぜか2つだけ下向きに取り付けてあります。間違えて付けたものなのか、何か意味があるのか理由は今も分かっていません。
(3)虎の石灯籠
![清水寺の虎の石灯籠](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/08/75be8b6f5ffcf9be82ab81e84e1b3897.jpg)
仁王門の右側にある『虎の石灯籠』。1826年に奉納されたこの石灯籠には動物の描写に優れた江戸時代後期の絵師・岸駒(がんく)の虎の図が刻まれています。
![虎の石灯籠の「八方睨みの虎」](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/08/d1d0c3077cabf692247ea1a2f635c49f.jpg)
どの角度から見ても虎と目が合うことから“八方睨みの虎”と呼ばれ、虎が夜な夜な灯籠から抜け出し、池の水を飲みに行くという不思議な言い伝えも残っています。
(4)龍の鬼瓦
![清水寺の三重塔](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/08/87da4d6fb35948835d0330dca97dd56b.jpg)
清水寺のシンボル的存在『三重塔』。高さはおよそ31mで三重塔としては国内最大級であり、京都の街の中心部からも見ることができます。平安時代の承和14年(847年)の創建と伝わり、昭和62年(1987年)には解体修理によって桃山様式の見事な装飾が復元され、創建当時の美しい姿を取り戻しています。
![清水寺の三重塔南東角の龍の鬼瓦](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/08/d4a8fc213e3c1f5449d15fef9a240f07.jpg)
よく塔の角には鬼瓦が備え付けられていますが、清水寺の三重塔の南東の角には龍が置いてあります。一説には、京都の北西が愛宕山の火伏神によって火災から守られていることに対し、南東方向にも水を司る水神の龍を配置して火除けとしようとしたと言われています。
(5)千体石仏群
![清水寺の千体石仏群](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/08/8fd2ec4115893a5f209e5438b58e67ad.jpg)
『随求堂』の手前、左手の石畳を下ると境内の西側に出ます。その一角には『千体石仏群』が広がります。
地蔵菩薩や観音菩薩など種類や年代はさまざま。なぜこんなに石仏が集まっているのか、七不思議の1つに数えられることもあります。
![清水寺の千体石仏群](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/08/8e10d0eb84a6da5ef51dc82f7ec68859.jpg)
この景色を生んだのは京都の人たちの篤い信仰心。これらの石仏は京都各地に祀られていましたが、明治時代初めの神仏分離令に端を発した廃仏毀釈運動で行き場を失い、市民たちによって清水寺に運び込まれたのです。
(6)弁慶の鉄下駄と錫杖(しゃくじょう)
![清水寺の轟門](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/08/ce6d65ee84a67cb71203dd12735f6f8f.jpg)
本堂へと向かう中門として位置づけられている『轟門』。江戸時代初期の寛永年間、本堂と共に再建された八脚門です。
![清水寺の弁慶の鉄下駄と錫杖(しゃくじょう)](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/08/5717d9ba8c6754efe170e95c1c36db11.jpg)
この門の奥には『弁慶の鉄下駄と錫杖(しゃくじょう)』と伝わってるものがあります。錫杖が2つあり、1つは約100kgほど、もう1つは20kgほど。これに触ったり持ち上げたりすると弁慶にあやかって健康で力持ちになれると言われています。
![清水寺の弁慶の鉄下駄](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/08/ce5f4d2db11599f03ac07d3fab3284f3.jpg)
また、鉄下駄も「履物にご縁があるように」と言われています。
(7)弁慶の爪痕
実は清水寺は武蔵坊弁慶ゆかりのお寺で、室町時代に成立したとされる 『義経記』の中に弁慶と牛若丸が清水の舞台で決闘をした場面が描かれるなど逸話も多く語り継がれてきました。
![清水寺の弁慶の爪痕](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/08/286abdb3fc5937847cbe74a1b7ad5f6f.jpg)
本堂の側面にある下長押には深い傷跡のような筋がついています。一説には『弁慶の爪痕』や『指跡』と言われていて、怪力の弁慶がこの跡を残したのだと言われています。
![清水寺の本堂を数取り棒を使って回る様子](https://kyotokurasu.jp/uploads/2023/08/6fa2bdc67597487516e8eb6e6f839dc1.jpg)
ほとんどが参拝者の口伝えで広まった民間伝承と考えられている清水寺の七不思議。20以上の不思議があるのは清水寺が長きにわたって愛され続けた証しなのでしょうね。
文/きょうとくらす編集部
【画像・参考】京都浪漫~悠久の物語~(第1・2週 日曜日 21:00~21:55/再放送 第3・4週 日曜日 21:00~21:55) – KBS京都
※この記事は、2023年8月6日(日)放送時点の情報です。