京都は街から山や川が近く、お散歩したり、山に登ってリフレッシュするのにぴったりな場所です。アウトドアで京都の自然を味わってみませんか?
きょうとくらすでは毎月一回、アウトドアの達人で花背山の家 顧問 安田公一が、アウトドア初心者から、もっともっと楽しみたい人に向けて、ちょっとしたコツや奥深い魅力をお伝えします。今回は初心者でも始めやすい京都の山歩きスポットをご紹介します。
キノコって何者?
キノコは食材として人気があるだけでなくて、小さくて可愛い森のマスコットのような存在です。
そんなキノコはマッシュルームプラネットと言われるように地球を操るほどのパワーを秘めていることが様々な研究者によって明らかになってきました。
キノコは身近にありながら、まだまだ解明されていない未知の生物なのです。天候も左右する不思議なパワーを持っており、キノコが雨を降らせているとも言われています。
10月に花背山の家の主催事業‘‘キノコを見つけよう‘‘を開催し、いつも人気の企画となっています。講師の先生を見つけるのが一苦労なのです。なぜなら、キノコの専門家が非常に少なく見つけるのが大変なのです。それほど難しく、奥深いのがキノコの生体です。 夏から秋にかけて「キノコ狩り」のシーズンですが、食用や毒キノコという話ではなく、奥深いキノコについて見ていきたいと思います。
さまざまなキノコたち
まず「キノコの本体はどこですか?」との質問にあなたは何と答えますか?
柄の部分、傘の部分という方がほとんどですが、これは実であって、キノコの本体は土や木の中に隠れている菌糸なのです。最大キノコの菌糸では9.65㎞という記録があります。この面積は京都市の上京区、中京区、下京区、東山区の各区より大きい面積です。世界で最大の生物はキノコと言っても過言ではありません。わかっているだけで2万種もあるキノコには様々な特殊能力を持ったものも数多くありますが、その中でいくつか紹介していきます。
森を守るキノコ
これは大きい木が光合成で得た栄養を隣りの小さい木に菌糸を通って運ぶ役割をしています。森を守るキノコとしてカイメンタケは有名です。キノコは生態系を支える「分解・共生」という2つの役割を持っているため、落ち葉や枯れ木を土に返す働きがあります。
環境を守るキノコ
カワラタケを代表するキノコは白色腐朽菌を含み、ダイオキシン、ポリエチレンを溶かす効果があるといわれています。環境にやさしい役割を担っています。
天気予測ができるキノコ
ツチグリは特殊能力を持ち、天気予測が出来ます。開くと雨、閉じると晴れを事前に予告するのだそうです。
道しるべ
ツキヨタケは真っ暗な中でも発光します。昔の人は、山の中でこれを道しるべとしたと言われています。
森の貴婦人
ウスキキヌガサダケは黄色や白色のドレスのようなレース状の菌網をまといます。絶滅危惧種です。
一夜だけ
ササクレヒトヨタケは別名「つくし茸」「こけし茸」と言います。日本名の「ヒトヨ」は「一夜」のことで、徐々に傘を開いて周辺から黒インクのように液化して溶け、一夜でなくなってしまう形態より「ヒトヨタケ」(一夜茸)の名が付いています。食用できますが、お酒と一緒に食べると毒キノコに変身します。
最強の猛毒
触るだけでも近くにいるだけでもただれる猛毒のカエンダケ。
中型から大型で、燃え盛る炎(火炎)のような形や色をしており、触れるのも危険な程、極めて猛烈な毒を持つ毒キノコです。ニュースなどでも取り上げられる触ってもダメなキノコは日本ではこれだけです。
以上のように様々なキノコが存在し、その特徴は多岐にわたります。
毒キノコを食べて毒になるというニュースをよく見ますが、考え方を変えれば、必死で毒を蓄積して種の保存を願っているのです。
安田 公一(やすだ こういち)花背山の家 顧問 通称:ハムさん
京都市立学校教員として勤務した後、平成7年~10年文部科学省よりシンガポール日本人学校に海外派遣主任教員として赴任。小学生からボーイスカウト活動を行い、海外初のボーイスカウト日本連盟隊を結成、初代国際隊長。帰国後、平成10年京都市教育委員会 花背山の家 指導主事、首席指導主事、課長、所長、2024年4月より顧問。佛教大学教育学部 特任教授として野外教育を広める。文科省 中教審 体験活動委員会委員。教育学修士(心理学)、バレーボール国際コーチ、京都府成年男子バレーボールチーム監督、趣味はバンド活動(ドラム)ライブで活動中。
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【画像】花背山の家