最近は出産に立ち会うパートナーも増えており、出産に前向きな意欲の高い男性も多く見受けられます。しかし、「実際に立ち合いの時は何をしたらいいの?」と思っている方も多いはず。
そこで今回は、京都で現役助産師として分娩介助をしている筆者が、“出産に立ち会うパートナーがやるべきこと・やってほしいこと”を解説します。人によって状況は異なるので全ての方に当てはまるわけではありませんが、知っておくと安心なのでぜひチェックしてくださいね。
入院前の連絡は産婦さん本人で
10分に1回など、お腹の張りが規則的にくるようになったら出産が近づいている合図です。初産婦さんの場合、ここから分娩までに平均で10数時間かかるといわれています。(2回目以降のお産は10時間以内のことが多いです。)
また、破水した場合は陣痛がきていなくても入院になる可能性が高いです。規則的なお腹の張りが始まって2〜3時間、陣痛の間隔がさらに短く強くなってきたら、または、破水をしたら産院に連絡しましょう。
このとき、産婦さん本人が産院に電話するようにしてくださいね。パートナーの方が電話してくれるパターンも多いのですが、本人の状況を本人の声で確認できると産院も状況を判断しやすくなります。
入院
入院時は可能であればパートナーの方も付き添うと産婦さんは安心です。産院に向かう際、車の運転は産婦さん以外の方がするようにしましょう。タクシーを使う場合は、タクシーの手配をして、荷物を持ってあげてください。
また、全てのタクシーがお産に対応しているとは限らないので、お産入院に対応してくれるタクシー会社を前もって探しておくようにしましょう。
陣痛の最中
産院についてから出産するまでには何時間もかかることが多いです。その間に出産に立ち会うパートナーは、産婦さんが少しでも楽に出産を迎えられるようにサポートしてあげてください。おすすめのサポート方法を解説します。
陣痛間隔を計る
陣痛がどのくらいの間隔できているか、陣痛アプリを使って自分で計っている産婦さんをよく見かけます。しかし、陣痛の最中にスマホを触ると、陣痛に集中しにくくなる可能性があります。そのため、陣痛の間隔はパートナーが計って、産婦さんが陣痛に集中できる環境を作ってあげましょう。
食事・水分摂取のサポート
出産には体力が必要です。特に陣痛が強くなると、飲んだり食べたりすることが億劫になります。そんなときは、産婦さんの無理のない範囲で、食べやすいものや飲みやすいものをすすめてあげてください。飲み物をあげる際は、ペットボトルにストローを指して飲ませてあげるといいですよ。また、食べるのがしんどそうであれば、陣痛がおさまっているときに、口に食事を運んであげてください。
汗を拭く、うちわで風を送る
出産時は、汗をたくさんかきます。とても暑くなるので、汗を拭いてあげたり、うちわで風を送ってあげましょう。「汗拭こうか?」「うちわであおごうか?」など確認してからにしてあげてくださいね。
腰をさする、おしりを押す
陣痛が始まると、お腹や腰が痛くなります。そんなとき、痛いところをさすってもらうと楽になることがあります。さする時は手のひらである程度圧をかけて、腰をゆっくり上下や左右にさするのがおすすめです。
陣痛が強くなると痛みの位置が下がってきて、おしりの辺りが痛くなります。いきみたい感じが出てきたら、おしりの辺りを握りこぶしで押してあげるといいですよ。強さの調節は、産婦さんに確認してあげてくださいね。
吐く呼吸を促す
陣痛の最中は、できる限り体の力を抜いてリラックスすることがおすすめです。しかし、緊張してなかなか力を抜けない方が多いです。陣痛がきてぐっと力が入ってしまう産婦さんに、「息を吐いて!ふーって優しく息を吐くよ」と、伝えてあげて一緒に呼吸をしてあげてください。力が抜けるだけで、陣痛の痛みが楽になることもありますよ。
一緒に歩く
陣痛の間隔に余裕があるときや陣痛が遠のいてしまったときは、陣痛を強めるために体を動かすことをすすめられる場合があります。その際は、パートナーは一緒に歩いたりスクワットをしたり、腰を回したり、「これならできる?」と無理しないように確認しながらサポートしてあげましょう。
出産時
分娩室に入り、「もう生まれるよ!」となったときは、汗を拭いて水分を飲ませてあげて、さすってほしいところがあればさすってあげましょう。そして、前向きな言葉をかけてあげてください。写真や動画を撮るときは産院のスタッフに確認してからにしましょう。そして、赤ちゃんが生まれたら、産んでくれた産婦さんに感謝を伝えてあげてくださいね。
立ち会い出産をする際の夫のNGな行動
実際に立ち会いの最中、これはやめておいた方がいいのでは……と思うのは、パートナーの陣痛がきているのに何もしないことです。何も話さず携帯を見ていたり、寝てしまっていたり。出産は我が子が生まれる大切な瞬間なので、パートナーの方は自分のことを優先せずに産婦さんを最優先にして動くことを心がけてくださいね。
いかがでしたか? 人によってやってほしいことや感じることはさまざまですが、立ち合いをする時は、産婦さんが少しでも出産に集中できるようにサポートしてあげてくださいね。
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文/梅田直子
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