KBS京都で放送中の『きょうとDays』。
今回は、2023年6月15日(木)に放送された『ふるさと Days』コーナーから、宇治田原町で話題の新進気鋭のアーティストをご紹介します。
自然豊かなまちに突如現れるNBA選手のアート
緑茶発祥の地として知られる宇治田原町。茶畑が広がる自然豊かなこのまちで、突然まちを彩るアートが姿を現します。
宇治田原町出身の新井辰弥さんはおじいさんの影響で幼いころから絵をかくのが大好きでした。
そして、高校から本格的に習い始め、京都精華大学を卒業後、現在は鉄工所で勤務しながら、デッサン、アクリル画、グラフィティなど様々な作品を制作しています。
新井さんの自宅の外壁には、NBA(アメリカプロバスケットボール)のロサンゼルス・レイカーズで活躍したコービーブライアン選手が描かれています。NBAを代表するスーパースターですが2020年1月、ヘリコプターの墜落事故で命を落とします。
「ほんま好きやったんで、プレーとかメンタルの面もずっと真似して。コービーのことをこんな風に感じているというのを描きたくて。」と新井さんは話します。
スプレーを使って、鮮やかに描かれたコービー選手。この絵はSNSで拡散されロサンゼルスでもひろがり、コービー選手の奥様からコメントも届いたそうです。
宇治田原町に広がっていく新井さんの絵
そして、この絵は新井さんの作品が宇治田原のまちを彩っていく大きなきっかけにもなりました。地元のラーメン店『新立麺館』にも新井さんの力強いインパクト抜群の絵が描かれています。
『マッシュルームコーヒースタンド』にはちびっこからもかわいいと評判のイラストが。
さらに町内で次々と絵を描いてほしいという声があがり、宇治田原の四季と自然を描いた『魚定本店』のシャッターアートも反響を呼んでいます。
新井さんの感性に影響を与えたもの
そんな新井さんにはお気に入りの場所があります。貝や葉っぱの化石がとれるこちらの場所は数千年前の地層が隆起して、幼い頃は断層がよく見えたそうです。10年前に亡くなったお父さんとの思い出の場所でもあります。
「小さい頃にお父さんと来て、虫取りや化石、数千万年前の地層を見てと楽しんだ場所です。マクロな視点からの物事の見方というのは化石などから感じ取ってできているのかなと思います。」と新井さんは話します。
父さんから教わった宇宙や化石といったスケールの大きな視点と、ふるさとの自然は、新井さんの感性に大きな影響を与えています。
『くつわ池自然公園』の一角にある壁には、宇宙物理学者のスティーブン・ホーキングやアインシュタインなど新井さんが尊敬する偉人たちが並びます。
「森の風が吹いて葉っぱが舞い揺れた時とかに、大きい意識の源みたいなものを感じたんです。だから憧れの人を自然の中で描きたかったんです。そして、描いているとその人に会えるんです。その人のことを一番知れる方法というか。」と新井さんは話します。
今年4月には、アメリカで絵を描きたいという夢も叶えることができました。アポなしで訪れたロサンゼルスの飲食店で壁画を描くことになったそうです。新井さんは、もっともっと世界中のいろんなところに自分の絵を残したいそうです。
世界を見たからこそ分かった宇治田原町の良さ
宇治田原から世界へと創作活動の輪を広げる新井さんですがその軸足は生まれ育った地にあります。
「地球のいろんなところを旅するようになって、世界を見たときに自分の地元の良さ、宇治田原の良さがより理解でき、大好きになりました。自分を育ててもらった町で、自分がいろいろ感じてきた町で絵が描けて、その場所に絵があるというのは嬉しいです。もっと感じたことを感じたままに書けるようになりたいです。」と新井さんは話します。
新井さんの絵に対する信念や思いを知り、もっと新井さんの絵をたくさん見たくなりますね。力強い迫力ある絵や可愛らしい絵など、これからがとっても楽しみです!
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文/きょうとくらす編集部
【画像・参考】きょうとDays(毎週月~金曜日17:35~18:00) – KBS京都
※この記事は、2023年6月15日(木)放送時点の情報です。詳しくは店舗へお問い合わせください。