紫式部によって描かれた『源氏物語』は、時代を超え今もなお読み続けられている長編物語です。
全五十四帖の中で最後の十帖の主な舞台となった宇治市にある、『源氏物語』について学び・垣間見ることができる『宇治市源氏物語ミュージアム』(京都府宇治市)をご紹介します。
平安時代の華やかな世界を垣間見る「宇治市源氏物語ミュージアム」
『源氏物語』の世界観に浸ることができる『宇治市源氏物語ミュージアム』。
館内は有料・無料ゾーンの大きく2つのエリアに分かれており、映像やオリジナルアニメで分かりやすく解説していたり、復元模型やさまざまな資料が展示されたりしています。
平安京と光源氏がテーマの「平安の間」
最初に訪れる『平安の間』では、光源氏の物語の紹介と、平安時代の貴族たちの生活や文化に触れていきます。
桜の木の隣に展示されているものは、平安時代の貴族の乗り物『牛車』を実寸大に復元したもの。
当時は交通手段のひとつでもありましたが、位や立場によって乗車できる車種に規制があり、現代の自転車のようにさまざまな種類があったそうです。
こちらは『寝殿造』と呼ばれる貴族の邸宅の様式を再現したもの。
当時の装束などが展示されおり、遊びなども詳しく紹介されています。
女性の姿を見る男性に注目! これは『垣間見』と呼ばれるもの。
当時の女性は成人すると男性に顔を見せることがなかったそうですが、垣根などから女性の姿を見て恋心を抱いてしまう場合もあったのだそう。
『垣間見』は、室外からは見えますが室内からは見えないことが重要! そのため、絶妙な明かりがポイントなのだそう。
フロア奥にある『垣間見よう』では、当時の人々の気分が体感できますよ。ぜひ覗いてみて!
フロアの中央では『源氏物語』のあらすじを紹介した映像が流れており、六条院の復元模型の展示があります。
ここは主人公『光源氏』と女君たちが暮らしていた邸宅。四季に分かれており、エリアごとに季節の移り変わりを表現する造営にしていたそうです。
宇治十帖を幻想的に体感できる「宇治の間」
次は宇治十帖の舞台である『宇治の間』へ。フロアへ移動する際は、平安京から宇治へ移動する様子を、絵画・光・音で表現した架け橋を渡ります。
『源氏物語』最後の十帖の主な舞台となるのが宇治。そのため『宇治十帖』とも呼ばれているのだそう。
『宇治の間』では、光源氏の息子とされる薫、孫の匂宮、八の宮の娘である大君、中の君、浮舟を巡る恋物語を紹介しています。
約5分のシアター、音声、照明演出でフロア全体を使って幻想的な体験をしながら、物語を学ぶことができる仕組みになっています。
『平安の間』と『宇治の間』を続けて見ることで、『源氏物語』の魅力にぐっと引き込まれました!
さまざまな体験コーナーが楽しめる「物語の間」
『物語の間』では、『源氏物語』をもっと詳しく知ることができる資料の展示や体験コーナーが楽しめます。
『香りを比べよう』のコーナーでは『源氏香』の体験が可能。5つの香をかぎ分け、5本の縦線に横線を組み合わせて、『源氏香図』で表す組香のひとつ。
図は52種類もあり、それぞれ巻名が付いていることにも注目! また、館内のいたる場所にも『源氏香図』が隠されているので、ぜひ探してみてください。
実際に『源氏香』を体験して、自身が同じだと思う『源氏香図』のスタンプを押す欄がパンフレットにあるので、ぜひチャレンジしてみて!
無料ゾーンも充実! 楽しみながら「源氏物語」を知ろう
無料ゾーンにある図書室では『源氏物語』に関する書籍の閲覧が可能。漫画から専門書まであり、子どもから大人まで気軽に来館できます。
その奥には『源氏物語に親しむコーナー』があり、さまざまな仕組みが施された体験が楽しめます。
ルーレットを回して同じ絵を探す『源氏絵大集合!』。カルタのような感覚で遊びながら、物語に出てくる絵を知ることができます。
『六条院引き出し』では、六条院にまつわる人々などについて紹介しています。
こちらにはとある仕掛けがあり、イラストを引き上げると登場人物などについての解説が書かれているんです。より分かりやすく『源氏物語』を知るきっかけとなりそうですね。
『源氏物語』を読んだことがある方もそうでない方も、楽しみながら学ぶことができる『宇治市源氏物語ミュージアム』。ぜひ足を運んで、歴史をひも解いてみては!?
【店舗詳細】
宇治市源氏物語ミュージアム
住所:京都府宇治市宇治東内45-26
電話番号:0774-39-9300
営業時間:9:00〜17:00(入館は16:30まで)
定休日:月曜日(祝日の場合はその翌日)、年末年始
関連記事:1日中楽しめる! 老舗が手掛ける「お茶のテーマパーク」【宇治市】
写真・文/MAYU
【画像】MAYU
※この記事は取材時点の情報です。最新の情報は各店舗・施設にお問い合わせください。
※文中の価格はすべて税込みです。