日本人には欠かせない“お茶”。お茶文化をより深く知ってもらうために、宇治市にある『福寿園 宇治茶工房』では様々な体験教室が提供されています。
今回体験したのは、『石臼で抹茶づくり』。子どもと体験するときのポイントや、挽き立てならでのお茶の美味しさをレポートします。
生活に寄り添いお茶の文化を広げた「福寿園」
「美味しいペットボトルの緑茶」と聞き、筆者が一番最初に思いつくのは『伊右衛門(いえもん)』。『伊右衛門』は、『サントリー』と『福寿園』の共同開発により生まれた本格緑茶です。
そんな、たくさんの人に耳馴染みがある『伊右衛門』を生み出した『福寿園』は、1790年創業。230年を超える時間、お茶づくりに寄り添ってきました。
歴史ある『福寿園』の宇治茶工房では、お茶にもっと親しむため、さまざまな体験が用意されています。
子どもに人気の『抹茶づくり&濃茶アフォガート』(1,980円)や、夏休みの自由研究としても人気の『ほうじ茶づくり』(2,200円)など。中には、職人さんに来ていただき行う『手もみ茶づくり』(22,000円/1組・1~5名)もあります。どの体験にするか、迷っちゃいますね。
子どもと挑戦! 香り立つ「石臼で抹茶づくり」を体験
今回は人気の『石臼で抹茶づくり』(1,650円)を体験してみました。10分程度石臼を回すことで、『碾茶(てんちゃ)』を挽き『抹茶』を作ります。
石臼は重さがあるため、小学校4年生以下の子どもの場合は、大人とペアで体験することができます。大人1名・子ども1名の計2名で体験する場合、1,650円(税込)に付き添い料550円(お菓子付き)で一緒に楽しむことができますよ。
『碾茶』は、抹茶の原料となるお茶で、揉んでおらず、旨味と少しの苦味があるお茶です。まずは、『碾茶』を石臼の中央に入れていきます。
石臼の中央には穴が開いており、穴に入った碾茶が少しずつ挽かれていく仕組み。そのため、挽き進めていくと中央が窪むため、定期的に碾茶を中央に寄せていきます。
その後は、地道な作業。3秒に1周のペースで、碾茶を挽いていきます。それ以上早いペースで挽くと、抹茶の粒子が粗くなってしまいます。石臼を回していると、重たいものが擦れ合う“ズーー”という音が響きます。
臼は、軽いものではなく重さのある“石”を使うことで、粒子が細かくなります。
今回は手作業により石臼で挽いていますが、工場ではもっと大きく重量のある臼を使い、1秒に1周のペースで挽いているそう。それでも出来る抹茶は1時間で約20gなのだとか。「抹茶を飲むときは、もっとありがたみを感じよう」と思いました。
『碾茶』は濃い緑色ですが、挽かれて出てくる『抹茶』は美しい緑色をしています。その秘密は、石臼にあり! 石臼には溝があり、『碾茶』が溝を通り挽かれることで、一粒一粒の表面積が大きくなり、色が明るく見えるのです。
今回体験で使用している碾茶は、『福寿園 宇治茶工房』で販売されている『抹茶 宇治の朝』(20g 3,240円)と同じもの。ランクの高い抹茶は、色が鮮やかで、明るい色をしているのが特徴です。
最初はノリノリで石臼を回していた子どもも「疲れた……お茶って大変」と、途中で休憩。日常的に飲んでいるお茶の大切さを感じていました。
碾茶を挽いたあとは、挽かれた抹茶を集めてふるいにかけ、粒の大きさをそろえて完成です。
「ほうじ茶羊羹」のお菓子付き♡ 自分で挽いたお茶をいただく
抹茶を作ったあとは、挽き立ての抹茶を点てて飲んでみましょう♡ 茶筅(ちゃせん)や茶杓(ちゃしゃく)を借りて、準備万端です。
抹茶にお湯を加えたら、茶筅を英語の“I”の字を描くように、前後に動かします。このとき、泡を点てるように意識してみて。泡が抹茶を包み込み、抹茶特有の苦味が抑えられ、飲みやすくなるそうです。子どもが飲むときは、特におすすめの点て方ですね。
「疲れた」と石臼で抹茶を挽くことを譲った子どもも、お茶を点てる頃にはニコニコ。お茶を点てる作業は、子どもも大人も楽しく進められます。お茶を点てたあとは、茶筅で「の」の字を書き、茶碗の中心からすっと立ち上げて終わりとなります。
お茶請けは、ほうじ茶の羊羹。甘さ控えめです。抹茶を飲むと……挽き立ての爽やかな香りが広がり、お茶請け・抹茶の良さを高め合う、まろやかで深い味わいです。
『石臼で抹茶づくり』の作業自体は、石臼を回し、碾茶を挽くだけ。しかし、その労力と地道さを体験したあとは、お茶そのものに対し「ありがたいなぁ」という気持ちが浮かぶようになりました。毎日のようにいただくお茶だからこそ、子どもにも体験してほしいと思います。気になる方は、ぜひ訪れて体験してみてくださいね。
【詳細情報】
福寿園 宇治茶工房
住所:京都府宇治市宇治山田10
電話番号:050-3152-2930
営業時間:10:00~17:00
定休日:不定休
石臼で抹茶づくり
開催時間:10:00~(最終受付 15:30)
所要時間:約40分
料金:1,650円
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文/ikeari
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