通常非公開「東福寺」の三門と本堂【京都市東山区】

KBS京都で放送中の『京都浪漫～悠久の物語～』。
今回は、2023年11月5日（日）に放送された『紅葉の名所東福寺と塔頭寺院～禅のこころと美～』から『東福寺』をご紹介します。

室町時代と昭和の建築が調和「東福寺」

京都東山南部に位置し、京都最大級の伽藍を誇る『臨済宗大本山・東福寺』。京都でも有数の紅葉の名所として知られています。

『東福寺』は、1236年から19年の歳月をかけて建てられたのだそう。奈良の『東大寺』と『興福寺』から一字ずつ取られ名づけられました。当時宋の国から修行を終えたばかりの円爾弁円（えんにべんえん）という僧侶が開山です。

建物は相次ぐ火災で焼失しますが、その都度再建されました。

その後『東福寺の伽藍面』と呼ばれる建造物群は、室町時代から残る伽藍と昭和の建築が見事に調和しています。

東福寺へは、JRまたは京阪電車『東福寺』駅下車、歩いておよそ10分。市バスなら『東福寺』下車、歩いておよそ4分です。

修行の場との境門「三門」

通常は非公開の国宝・三門。

現在は、創建から150年以上経った室町時代前期に、室町幕府第4代将軍・足利義持によって再建されました。

日本で最古、禅宗で最大級の三門になり、昭和27年に三門として初めて国宝に指定されています。

三門には、“無空”・“無相”・“無作”という3つの門が並んでいます。三門の外側は俗世界とされ、ひとたびくぐれば神聖な修行の場として区分けされていました。

門の四隅に建つ『太閤柱』と呼ばれる四角い柱は、完成時には無かったのですが、心配性な秀吉が命じて付けさせたそうです。

楼上からは、街が一望できます。

一方、内部は極楽の世界が広がります。

須弥壇中央に安置されているのは『宝冠釈迦如来坐像』。釈迦が悟りの境地へと達した35歳の姿を表します。

『宝釈迦如来坐像』の両側には『羅漢像』がズラリと並びます。仏教の教えを正しく広める16人です。

さらに天井や柱には、極彩色で浄土が描かれています。

こちらは『迦陵頻伽（かりょうびんが）』。上半身は人間で下半身が鳥になったとても美しい天上界に住む鳥とされています。

奥には『共命鳥（ぐみょうちょう）』という顔が2つある鳥が描かれています。

描いたのは、画僧『吉山明兆』とその一派。明兆は、自分の出世も断り続けて生涯絵を描き続けた僧。生涯『殿司』と呼ばれる仏殿の清掃・供物などを司る役僧でいました。地位や名誉よりも絵を描き続ける道を選び、前例がなかった“寺院専属の画家”になろうとしたのです。

日本画の名品が残る「本堂」

本堂は、明治14年の火災で消失し昭和9年に再建された入母屋造の建築。裳階（もこし）と呼ばれる庇(ひさし)が、建物をより大きく2階建てのように見せています。こちらも通常非公開の建造物です。

仏殿と法堂を兼ねる広々とした本堂の中。立ち並ぶ大きな柱は、再建にあたり台湾から軍艦で輸送されてきました。

天井には、京都画壇を代表する昭和の日本画家堂本印象作の『蒼龍図』が描かれています。

僧侶たちも総出で墨をする中、堂本印象は僅か17日間で大作を完成させました。

本堂の須弥壇に釈迦如来立像、

その両脇に阿難尊者と迦葉尊者が安置されています。

東福寺最大の年中行事、3月15日に行われる『涅槃会』では、本尊として『大涅槃図』が掛けられます。横6m、縦11mという、中世に描かれた涅槃図で最大規模を誇ります。

室町時代からの歴史ある仏教に浸れる『東福寺』。ぜひ足を運んでみてください。

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文／ｓｕｍｉｒｅ

【画像・参考】京都浪漫～悠久の物語～（第1･2週 日曜日 21:00～21:55／再放送 第3･4週 日曜日 21:00～21:55） – KBS京都
※この記事は2023年11月5日（日）放送時点の情報です。