KBS京都で放送中の『京都浪漫~悠久の物語~』。
2023年10月8日(日)に放送された『京都を駈けた神馬や名馬たち~上賀茂神社・藤森神社・京都競馬場~』から、“藤森神社”についてご紹介します。
藤森神社の「駈馬神事」
京都市伏見区にある藤森神社は、勝運、学問、そして馬の神様として信仰されてきた神社。
境内に湧き出ている名水も有名で、“二つとないおいしい水”であることから“不二(ふじ)の水”と呼ばれています。伏見の語源は“伏せる水”と書いて“ふしみず”。良質な伏流水が豊富な土地で、昔から酒造りが盛んなのもそのためです。
藤森神社まではJR奈良線『藤森』駅もしくは京阪『墨染』駅から、徒歩およそ5分。市バス『藤森神社前』のバス停からは歩いてすぐです。
藤森神社で、毎年5月1日から5日まで行われるのが『藤森祭』。実はこのお祭りが端午の節句、別名菖蒲の節句の発祥とも言われています。
毎年5月5日、境内の参道馬場で奉納されるのが『駈馬神事』。疾走する馬の上で様々な技を披露する迫力満点の神事として知られています。
かつて手綱潜りという技を得意とした藤森神社駈馬保存会の岡田俊秋さんは、「200mもない距離で急発進させ、馬上で技を披露し、急ブレーキをかけるというのは大変難しい」と話します。
保存会に伝わっている技は全部で7つ。手綱潜り・逆乗り・矢払い・横乗り・杉立ち・藤下がり・一字書き。それぞれの技に敵との攻防に見立てた意味があります。
一頭の名馬がきっかけとなり競馬関係者も参拝するように
駈馬神事で知られる藤森神社らしく、古い武具などがおよそ100点展示されている宝物殿には馬の博物館も併設。先代の宮司が収集したもののほか、参拝者の奉納もあり、飾り切れないほどの馬の置物が収納されています。
江戸時代の『藤森神社祭礼絵巻』にも、神社から北に2kmの伏見稲荷大社まで馬で向かう様子が描かれているなど、馬と縁が深い藤森神社。今では騎手や調教師など競馬関係者も参拝することで有名です。
そのきっかけとなったのがある一頭の名馬・タマモクロスでした。1987年に行われた『藤森特別』で優勝したタマモクロス。その後、馬主が藤森神社にお参りに来られたのだそう。
1988年には春と秋の『天皇賞』を連覇するなど最もグレイドの高いG1レースで3勝を挙げました。“怪物”と呼ばれたオグリキャップの15連勝を阻止するなど、ライバルホースとして人気を二分。
空前の競馬ブームを牽引した名馬として、タマモクロスの名は今も競馬ファンの記憶に刻まれています。
稀代の名馬と不思議な縁で繋がっている藤森神社、ぜひお参りください。
文/きょうとくらす編集部
【画像・参考】京都浪漫~悠久の物語~(第1・2週 日曜日 21:00~21:55/再放送 第3・4週 日曜日 21:00~21:55) – KBS京都
※この記事は2023年10月8日(日)放送時点の情報です。