菓子屋のなの文学和菓子アントニオとララ
グルメ

四季折々の繊細さを楽しむ。言葉や自然から生まれる「新しい和菓子」【京都市下京区】

京都には人におすすめしたくなるようなスイーツがいっばいありますよね♡

連載『きょうとのスイーツとくらす』では、きょうとくらす編集部が「ぜひ一度食べてみてほしい!」とみなさんにおすすめしたいスイーツをご紹介します!

今回は、“言葉”や“自然”から着想を得た繊細なお菓子を提供する『菓子屋 のな』をご紹介します。

ナチュラルな雰囲気とオープンキッチンがある店内

菓子屋のなの店舗外観
画像:さとみ縁

『菓子屋 のな』があるのは、京都市営地下鉄烏丸線『五条駅』から徒歩約10分の場所。五条通と堀川通の交差点から、一本東に入った醒ヶ井通を北に進んで一つ目の角にあります。

菓子屋のなの店内
画像:さとみ縁

明るい店内には、フレッシュな香りと生命力を感じさせる鮮やかな花やフルーツが。

菓子屋のなのショーケースとオープンキッチン
画像:さとみ縁

また、お菓子屋には珍しいオープンキッチンも目を引きます。壁を感じさせない造りが親しみやすさを感じさせてくれます。

商品は、上生菓子4種類と羊羹2種類、あんバターチャバタ1~2種類ほどが常時並びます。ショーケースに並んだ上生菓子はどれもおいしそうで、ついつい目移りしてしまいます。

菓子屋のなのショーケース
画像:さとみ縁

『菓子屋 のな』では、ジャンルや型にとらわれないお菓子を提供したいと、フルーツやハーブ、洋酒を使用した独創的な和菓子をメインに提供。

季節やこれまで店主自身が培ってきた経験からテーマを決め、あとは繊細な感覚をもとに、そのテーマをひたすら和菓子の色や形に落とし込んで『菓子屋 のな』のお菓子は生まれます。

店主の想いがつまった「のな」のお菓子

菓子屋のなの上生菓子薫る風
画像:さとみ縁

上生菓子の名は、店主が出会って嬉しかった言葉や感動した言葉からつけているのだそう。自身の心が動いた体験を共有し、お客さんにも一緒に楽しんでもらいたいという想いが込められています。

“和菓子といえば抹茶といただくもの”と思っている人も少なくありませんが、『菓子屋 のな』の和菓子はフルーツや洋酒を使うため、コーヒーや紅茶にもよく合うのだとか。普段でも、ちょっといいおやつとして気取らずいただけるのはうれしいです。

菓子屋のなの上生菓子木漏れ日
画像:さとみ縁

一般的に上生菓子といえば花鳥風月や古典からモチーフを選ぶもの。しかし、あえて日常生活にあってなじみやすいものを取り上げることで、気軽に手に取ってもらえるようにこだわっているのだそう。

上生菓子は、不定期で予約限定商品も販売しています。

お菓子で“物語”をじっくり味わって

(1)「文学和菓子 アントニオとララ」

菓子屋のなの文学和菓子アントニオとララ
画像:さとみ縁

『文学和菓子 アントニオとララ』(940円)は定番商品の一つ。モチーフは、アンデルセン作・森鴎外翻訳の『即興詩人』で、昔の日本語の美しさを和菓子として残したいという想いから生まれました。

持ち帰り用のパッケージには、あんこ玉と一緒にハーブやエディブルフラワーを詰めてもらえます。自宅で開けた瞬間ハーブの香りに包まれ、一瞬お店に戻ったかのような感覚に。

つるんとした見た目のあんこ玉は切るのがもったいない美しさです。

文学和菓子アントニオを半分に切ったところ
画像:さとみ縁

『アントニオ』の中身は焦がしキャラメルあんと1粒のラムレーズン。キャラメルの苦味がしっかり楽しめる濃厚さとさっぱりした甘さを味わえます。特に、洋酒がよく効いたほろ苦さとジューシーなレーズンの甘味がたまりません。

文学和菓子ララを半分に切ったところ
画像:さとみ縁

一方、『ララ』はマンゴートロピカルあんを使った爽やかなあんこ玉。

フルーティーな香りと目が覚めるような酸味があり、パッションフルーツのおいしさを感じることができます。また、自家製のキウイ羹入りで、やわらかいあんと軽やかな歯ごたえが楽しめます。

パッケージに入っていたハーブは、せっかくなのでハーブティーとしていただくことに。お湯を注いだ瞬間、強まるミントの香りが爽やかな気分にさせてくれます。『アントニオ』も『ララ』も、さっぱりしたハーブティーとよく合いました♡

(2)上生菓子「若緑」

菓子屋のなの上生菓子若緑
画像:さとみ縁

上生菓子は、『若緑』(470円)をチョイス。筆者が取材したのは4月の終わり、そろそろ初夏を迎える頃とあって、緑の美しさを表現した生菓子に惹かれました。

『若緑』は、つぶつぶ食感のよもぎ道明寺となめらかなあんこを組み合わせてあります。口の中に入れるとよもぎの香りがより感じられ、品のある春の香りに癒されます。

きな粉あんのほっこりする甘さとのバランスも絶妙で、トッピングのくるみと一緒に味わうと香ばしさも感じられました。さらに食べ進めると中からクリームチーズが登場し、一気に味が濃厚になります。

和菓子ではありますが、ケーキをいただいているような感覚にもなりました。日本茶はもちろん、少し濃い目のコーヒーや紅茶と一緒にいただいてもいいかもしれません。

(3)「台湾パインあんチャバタ」

菓子屋のなの台湾パインあんチャバタ
画像:さとみ縁

最後にいただいたのは、季節限定の『台湾パインあんチャバタ』(580円)。なんとパインのカットが4つも入っています!

お店を開くにあたり生菓子以外の商品も置きたいと考えていたという店主。店舗の設計会社の社長さんの「あんパンが食べたい」という一言から生まれたのが、あんこをサンドしたチャバタなのだそうです。

小豆は生菓子と同じものを使い、よりなめらかな口当たりになるよう炊き上げています。小豆の甘味が感じられるこしあんで、ジューシーなパインとの相性はぴったり!

また、ほんのり塩味のチャバタの生地は噛めば噛むほどおいしいです。パイナップルとアクセントのクリームチーズによって、食べる場所ごとに味わいが変わるので夢中で食べきってしまいました!

『菓子屋 のな』のお菓子は、気軽に手に取れてじっくり味わえるこだわりのものばかり。ぜひ一つひとつのお菓子と込められた“物語”をお好みのコーヒーやお茶と一緒に楽しんでみてくださいね!

【店舗詳細】
菓子屋 のな
住所:京都府京都市下京区醒ヶ井通万寿寺角 篠屋町75
営業時間:12:00~18:00(売り切れ次第閉店)
定休日:日・月曜日
※商品は季節や仕入れによって異なります。

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取材・文/さとみ縁

【画像】さとみ縁
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