コラム

秋の星座を見よう!~ハムさんの“アウトドアを楽しもう!”【きょうとくらすコラム】

京都は街から山や川が近く、お散歩したり、山に登ってリフレッシュするのにぴったりな場所です。アウトドアで京都の自然を味わってみませんか?

きょうとくらすでは毎月一回、アウトドアの達人で花背山の家 顧問 安田公一が、アウトドア初心者から、もっともっと楽しみたい人に向けて、ちょっとしたコツや奥深い魅力をお伝えします。今回は初心者でも始めやすい京都の山歩きスポットをご紹介します。

彗星のしくみ

夜空を見上げるには最適な季節になりました。今回は、夏に続き秋の星座について教えていきたいと思います。

まずは、この10月にブームになりました『紫金山・アトラス彗星』についてです。
この星の名前は、紫金山(しきんざん/ツーチンシャン)と読みます。
10月中旬の夕方の西の空に市街地で見れるのは25年ぶりでした。昨年、中国の紫金山天文台で発見されましたが証明されず、その1ヵ月後にATLAS(南アフリカにある望遠鏡)で発見・証明されました。そのため、両方の観測所の名前から「紫金山・アトラス彗星」と名付けられました。

彗星の本体は「核」と呼ばれています。核は「汚れた雪玉」と表現されていますが、だいたい直径1m~10mくらいの「雪玉」や「塵」のかたまりなのです。
彗星が太陽から遠い位置にある場合、核は低温のため凍っています。そのため、ただの点状にしか見えませんが太陽に近づいてくると太陽からの放射熱により徐々に核が表面に溶け出し蒸発を始めます。
蒸発を始めた水分や塵は核の周りに大気を覆い始めます。これが「コマ」となり、彗星の周りを球状に覆います。

画像:花背山の家

秋の星空

さて、秋の空を見てみましょう。秋の星座には1等星が1つしかなく、目立った星がありませんが
この方法ならすぐに見つかります。

  • 夏の大三角形を見つける

頭の上のベガ(1番明るい星)、その南側にアルタイル(2番目に明るい星)、ベガの少し東側にデネブ(3番目に明るい星)を見つけてみてください。この星は全て1等星の夏の星です。

画像:ACフォト
  • 方角を知り、北極星を見つける

北斗七星のひしゃくの縦の部分の5倍の長さの所に北極星があります。また、ベガは北東の少し低い位置にカシオペア座(MもしくはWの形)の対角線の南東に5倍の長さが北極星です。

画像:ACフォト
  • 南の空に土星とフォーマルハウト(魚の口の意味、日本名『あきぼし』)を見つける

今年の秋は上に土星(アルタイルと同じ明るさ)を見つけると、その下にフォーマルハウト(デネブと同じ明るさ)があります。

画像:花背山の家
  • 東の空に秋の四角形を見つける

これがペガスス座になります。2等星、3等星ですが、他に目立った星がないためよくわかります。
ペガススは羽の生えた馬です。これにまたがって勇者ペルセウス(星座)がやってきます。アンドロメダ王女(カシオペア妃の娘)の命を救うのです。秋の四角形のうち3つの星はペガススの体の部分です。ペガススはおへそにあたるところがアンドロメダの頭の星になります。上にアンドロメダ座、下にペガスス座が見えます。双眼鏡で覗くとアンドロメダ銀河やペルセウスの二重星団も見えます。

画像:ACフォト

星座のはじまり

星座といえば星座絵が有名ですが、実は星のつなぎ方(星座線)には決まりはありません。
夜空の星々を結んで、人や動物などの形に見立てたものが星座です。現在、私たちが使っている星座はヨーロッパから伝わったものですが、このおおもとは今から5000年前のメソポタミア地方(現イラク)から伝わったものです。この地方に住んでいた人々が神話や伝説の英雄、神様、生き物に見ていたことから始まりました。

先ほど紹介した北斗七星は中国由来ですが、星座でいうとおおぐま座ということになります。
現在の星座は国際天文学連合(IAU)が1922年に決めたIAU方式とよばる88の領域のことを指します。IAU方式では星のつなぎ方は定めておらず、そういう意味では自由に星をつないで楽しむのが良いかもしれません。
この時期は雨が多くなるので、水に関連した星座にしようと考え「みずがめ」、「くじら」、「うお」などを星座として登場させたとも言われています。

夏の夜空に比べると明るい星が少なく、秋の星座を見つけるのはちょっと難しいかもしれませんが、それだけに見つけたときの嬉しさは、ひときわ大きくなると思います。

安田 公一(やすだ こういち)花背山の家 顧問 通称:ハムさん

京都市立学校教員として勤務した後、平成7年~10年文部科学省よりシンガポール日本人学校に海外派遣主任教員として赴任。小学生からボーイスカウト活動を行い、海外初のボーイスカウト日本連盟隊を結成、初代国際隊長。帰国後、平成10年京都市教育委員会 花背山の家 指導主事、首席指導主事、課長、所長、2024年4月より顧問。佛教大学教育学部 特任教授として野外教育を広める。文科省 中教審 体験活動委員会委員。教育学修士(心理学)、バレーボール国際コーチ、京都府成年男子バレーボールチーム監督、趣味はバンド活動(ドラム)ライブで活動中。

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文/安田公一

【画像】花背山の家