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京都市内でも目撃情報が!ツキノワグマと「ともにくらす」には?

美しい山々や川、北には海と多くの自然資源に恵まれた都市、京都。自然と歴史・文化が融合し、長きにわたって日本の中心地として栄えてきました。

連載『きょうとの自然とくらす』では、自然と調和し日々を歩む京都、京都の自然と共に生きていく知恵や工夫について発信していきます。

癒やしや喜びを与えてくれる自然は、時として被害を与える要因となることも。今回の『きょうとの自然とくらす』では、京都にも現れるツキノワグマについてご紹介します。

これまでの『きょうとの自然とくらす』はこちらをチェック!

京都にも現れるツキノワグマ

闊歩するツキノワグマ
画像:sw950502/PIXTA(ピクスタ)

京都府の北中部地域を中心にツキノワグマを目撃したり、足跡などの痕跡を発見したりといった出没情報は毎年多くあります。

京都府自治体情報化推進協議会による令和5年に入ってからの情報を確認すると、京丹後市、伊根町、宮津市、与謝野町、福知山市、舞鶴市、綾部市、京丹波町、南丹市、亀岡市、そして京都市内でも出没しています。

クマに注意の看板
画像:YATA/PIXTA(ピクスタ)

特に、9月~12月・秋期は冬眠期に向けてエサを多く採取する時期であり、クマの行動も活発になると考えられています。近年では毎年1,000件前後の目撃件数があるそうです。

その一方で、ツキノワグマは古くから京都府に生息してきましたが、今では京都府レッドデータブックの要注目種に指定されています。

交通網の発達などによって生息地域が分断化されたことや、自然林の伐採など様々な人間の活動が、民家周辺や畑にエサを求めて出没するようになった要因の一つとも言われています。

クマによるクマ剥ぎ被害
画像:TianRong/PIXTA(ピクスタ)

また、美山町、京北町、京都市などの一部の地域では、杉や檜の樹皮を剥いで木部部分をかじる“クマ剥ぎ被害”も報告されています。

食料であるドングリ類が不作のときには行動範囲を広げるため、人間との接触が増えることがあります。そのため、京都府ではブナ科種子(どんぐり)の豊凶をエリアごとに調査し、クマとの接触についてのひとつの予報とし、注意喚起を行っています。

そして、クマの特性として、基本的になわばりがなく、移動範囲が非常に大きいことにも注意が必要です。なわばり意識がないためにエサのある所に移動し、集中する傾向があります。

クマの出没や被害は、知識があれば防げるものも

クマの出没や被害は、知識があれば未然に防げるものもあります。ここでは、クマと遭遇しない、引き寄せないための知識をご紹介します。

(1)入山しようとする地域でクマの出没情報がないか事前に確認する。

府広域振興局や市町村、地元住民から情報を集めましょう。京都府内の情報は『京都府内のクマ出没情報マップ』にまとめられていて便利です!

(2)クマの痕跡があるところにはいかない。

クマのふん
画像:1207Blue/PIXTA(ピクスタ)

新しいクマの糞、足跡などを見つけたら慌てず注意しながら行動してください。林外の安全な場所が近くにある場合は、すぐに移動しましょう。

(3)自分の存在をクマに知らせる。

クマよけの鈴
画像:mits/PIXTA(ピクスタ)

クマは嗅覚、聴覚が優れています。たいてい人間の接近を知れば遠ざかるので、笛や鈴、ラジオを鳴らして歩きましょう。

(4)朝夕、霧や風の日、川付近では特に注意する。

朝夕はクマの活動が盛んになります。また、霧や風の出ているときや川の近くでは、クマの感覚能力が発揮できず、人の気配に気づきにくいことがあります。

(5)子グマを見つけたらすぐに立ち去る。

小熊
画像:sky7/PIXTA(ピクスタ)

子グマの近くには必ず親グマがいます。すぐにその場から立ち去りましょう。

(6)家周辺、キャンプ地などでは、ゴミや残飯の管理を徹底する。

キャンプ場で出たごみ
画像:yukiotoko/PIXTA(ピクスタ)

残飯の臭いにつられクマがやってくることがあります。ゴミや残飯は屋外に放置せず、ビニール袋に密閉して管理するようにしましょう。

(7)ハチの巣は取り除く。

クマはハチミツが大好きなので、ハチの巣がクマを呼び寄せる原因になってしまうことも。ハチの巣は取り除くようにしましょう。

ツキノワグマと共にくらしていくために、私たちができることは何でしょうか。一人ひとりがクマとの共生への意識と被害をふせぐ正しい知識をもつことが、共生への近道なのかもしれませんね。

文/きょうとくらす編集部

【画像・参考】 京都府 農林水産部農村振興課
PIXTA(ピクスタ):くまちゃん/sw950502/YATA/TianRong/1207Blue/mits/sky7/yukiotoko
※写真はイメージであり京都府内で撮影したものとは限りません。
※この記事は2023年8月に制作しています。最新の情報は各自治体HPなどもあわせてご確認ください。