美しい山々や川、北には海と多くの自然資源に恵まれた都市、京都。自然と歴史・文化が融合し、長きにわたって日本の中心地として栄えてきました。
連載『きょうとの自然とくらす』では、自然と調和し日々を歩む京都、京都の自然と共に生きていく知恵や工夫について発信していきます。
癒やしや喜びを与えてくれる自然は、時として被害を与える要因となることも。今回の『きょうとの自然とくらす』では、鴨川の生態系を壊す恐れのあるヌートリアについてのお話です。
ヌートリアって知ってる?
ヌートリアという動物をご存知でしょうか? げっ歯目ヌートリア科で元々は南アメリカの生き物です。大人のヌートリアの大きさは頭胴長が50~70cm、しっぽが35~50cmと巨大! 夜行性ですが、水辺に巣穴を作り昼間に行動することもあります。
そんなヌートリアが近年、鴨川で目撃されるようになりました。鴨川の他にも、京都府の広域で生息が確認されています。
人間が毛皮を取るために日本に持ち込んだというヌートリアが京都の自然の中に生息し、その生態系を壊そうとしています。
生態系を壊すヌートリア
ヌートリアという生き物は大食漢! 淡水産二枚貝などを捕食し、イネなどの農作物を食べることも知られています。また、一見可愛らしいヌートリアにエサを与えてしまう方もいるそうです。
ヌートリアは天敵がおらず、年に2~3回、1回に2~6頭を出産し、爆発的に繁殖します。
外来生物法(特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律)による侵略的外来生物にも指定されています。一級河川・鴨川をはじめ、多くの河川の自然のバランスを簡単に壊す存在なのです。
絶対にエサはあげないで
エサを与えてしまうとヌートリアはその場所に棲みついてしまうのだそうです。そして、爆発的に数を増やしてしまい、ついには在来生物の生態系を大きく変えてしまうことに繋がります。
さらに恐ろしいことに、京都府内でもヌートリアに噛まれる事故が発生しています。噛まれた際のケガだけでなく、感染症の恐れもあるため、餌付け行為や近づくことは大変危険です。
また、ペットとして飼うことが禁止されているヌートリアにエサを与えることは法律に違反する可能性もあります。
ここ数年の京都府のヌートリアの捕獲数は年々減少しています。大々的にメディアに報じられることも少ないヌートリアですが、今後、京都の自然にとって大きな脅威とならないよう今からできることをしていきたいですね。
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文/きょうとくらす編集部
【画像・参考】 京都府 総合政策環境部自然環境保全課
PIXTA(ピクスタ):Ken/KyoLens/いってき/suzushiro
※写真はイメージであり京都府内で撮影したものとは限りません。
※この記事は2023年12月に制作しています。最新の情報は各自治体HPなどもあわせてご確認ください。