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カスタムビルドの自転車でみつける京都の楽しみ【京都市左京区】

乗る人の希望に合わせて自転車のパーツの製造からカスタムして組み立てる自転車店『VIGORE(ビゴーレ)』。2024年で創業95年を迎えました。『VIGORE』企画担当の片岡有紀さんは、4年前から両親が受け継いできた家業に携わっています。

京都で自転車とともに育った有紀さんに、京都暮らしの楽しみ方を聞いてみました。

補助輪なし 30分で乗れるようになった

画像:きょうとくらす編集部

有紀さんが初めて乗った自転車は、マウンテンバイクのペダルやクランクを外して‟スタライダー風”にした足こぎ自転車でした。バランス感覚が良かったのでしょう!30分くらい足こぎ自転車にまたがって走り回った後に、外していたパーツを組みつけて通常のマウンテンバイクの形になるとすぐに使いこなしていたそうです。

画像:VIGORE

子どもの頃の有紀さんが好きだったことは、お父さんの自転車に連なって街を探検すること。京都の街は、碁盤の目のように広がっています。いつも通っている道を一筋変えてみるだけで、別世界に入ったような景色に遭遇します。自分の体力に合わせて、ダイナミックに移動ができることが、自転車の面白いところかもしれませんね。

家を継ぐ気はなかった ロボットメーカーに就職

画像:きょうとくらす編集部

『親から「家を継いでほしい」と言われたことは無かった』と有紀さん。大学を出た後は、産業用のロボットメーカーに勤めます。仕事の内容は、貿易事務などの仕事。「お客様と創り上げる実感を得たい」と思った有紀さんは、営業部へ異動しました。しかし、1年と少し経った頃、コロナが広がり始めたのでした。

有紀さんが家業を意識するようになったのは、コロナで自分の将来を考える時間が増えたことも一つの理由でした。一人っ子の自分が継がないと「ビゴーレはなくなり、小さい頃から通ってくれているお客さんが過ごしていた場所がなくなり、メンテナンスをする場所もなくなってしまう」と考えたからです。

画像:きょうとくらす編集部

VIGOREのめざす自転車

画像:きょうとくらす編集部
画像:きょうとくらす編集部

徐々に家業の将来を考える中で思い至ったのは、「伝統とは何だろう」というテーマでした。これまで伝統工芸や伝統産業に関わってきた人たちが、どんな精神性をもって、何のために働いて、どのように時代に合わせて変化してきたのだろうか?

それらに『VIGORE』の創業や先代が目指してきた自転車づくりを重ね合わせてを振り返ることにしました。

(写真は螺鈿や蒔絵を施した自転車)

画像:きょうとくらす編集部

家に残された創業当時の写真や、お客さんから聴いたVIGOREの自転車旅の話、父で代表の聖登さんと言葉を紡いでいった有紀さん。

VOGOREが創るのは単なる移動手段や荷物の運搬だけではない‟愉しみのための自転車”

2023年に改めて掲げたビジョンは『ビゴーレとの出会いで、人の行動変革を起こし、人生をより豊かにする』VIGOREと有紀さんの自転車に対する想いが言葉になりました。

画像:VIGORE

ファッション×ライフスタイル 

画像:きょうとくらす編集部

『VIGORE』の自転車は、走ることと街の風景に溶け込むこと、そして乗る人の使い方に合わせた自転車を作っています。

画像:きょうとくらす編集部

写真・上の自転車は『70next』

70年代から受け継いだ技術とデザインを再現し、クラシカルながらも最先端の素材と技術で組み立てられたフォルムが美しい1台です。自転車の繋ぎ目(ラグ)の溶接の仕上がり、シャーシや表面に浮き出たカーブまで、機能性と造形美が兼ね備わっています。

特に2010年代は、女性ファッション雑誌でロードレーサーやマウンテンバイクのようなスポーティーな自転車に注目が集まったことから、女性のお客様の来店が多かったそうです。

『VIGORE』では、自転車に乗るために専用の靴や、スーツを着なくても、普段着のままでペダルを踏める自転車を提案しています。オシャレを楽しむように、‟自転車”を選ぶことができれば、毎日が少しワクワクしそうです。

画像:きょうとくらす編集部

自分に合った一台を

画像:きょうとくらす編集部

ロードレーサー系・マウンテンバイク系自転車初心者のよくあるお悩みとして
・乗り方がわからない(座り方、ブレーキの使い方)
・自転車選び方が分からない
という方が多いのではないでしょうか?

『VIGORE』では初心者や、自分にぴったりの自転車を探している方に試乗会を開催しています。お試しできるのは3種「クロモリレーサー」「山と旅の自転車プラス」「70next」。

初心者でも握りやすいハンドルの角度や、どんな場所を走りたいかに合わせたタイヤの太さなど、乗る人の目的や体格に合わせて自転車をおすすめしてくれます。もちろん、全部乗ってみるのもありです!

画像:きょうとくらす編集部

自転車好きな人の京都の楽しみ

画像:きょうとくらす編集部

有紀さんが自転車で走る時に好きな道は‟土の道”。晴れた日の地面のゴツゴツや、雨の後のグニャグニャの道の感触が自転車を通じて体に伝わってくるのが楽しいのだそうです。

鴨川沿いを走れば四季を通じて草花が景色に彩を与え、少し疲れたらベンチで買ったばかりのパンを食べながらコーヒーを飲むなんてこともできます。

京都は、アスファルトの道もあれば、土の道、山の道もあります。京都暮らしの楽しみを自転車とともに見つけていくのはいかがでしょうか。

【詳細情報】
VIGORE(ビゴーレ)
住所:京都府京都市左京区岩倉南四ノ坪町55
電話番号:075-791-6158
営業時間:平日 13:00~18:30、土日祝 11:00~18:30
定休日:火曜日 年末年始 お盆

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取材・文/きょうとくらす編集部 

【画像】VIGORE/きょうとくらす編集部
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