KBS京都で放送中の『きょうとDays』。
今回は、2023年8月31日(木)に放送された『ふるさとDays』コーナーから、多様な人々の集う精華町のとあるトレーニング施設をご紹介します。
トレーニング・医療・福祉が連携したトレーニングジム
関西学術文化研究都市の中心『けいはんなプラザ』に一風変わったトレーニングジムがあります。
トレーニングジム『CONDITIONIG LAB』は障害のある人・ない人、また、子どもからお年寄りまでが一緒になって頑張るのがコンセプト。
スポーツトレーナー・医療・介護のプロが連携して「フィットネス・プラス・キュア」をめざしています。
代表を務めるのは佐々木阿悠佳さん。トレーナーとして活躍後、福祉の世界に転身し、独自の仕組みを切りひらいてきました。
たとえば、トレーニングスペースにある「レッドコード」。
ノルウェー生まれの器具で、体重の負担を軽減したトレーニングや、あえて不安定な状態を作っての効果的な訓練を可能にします。
利用者間の「ハッピーな化学反応」が持つ可能性
3年前に小児ガンを発症し、治療の影響で足などにまひがあるという酒井聖梨愛さん。今年1月に『CONDITIONIG LAB』のことを知り、週に3日のペースで大阪から通っています。
取材の日は、2週間ぶりの歩行トレーニング。
一人で立って歩く聖梨愛さんに、佐々木さんが「きれい、すごい」と明るい声をかけ続けます。
歩ききった聖梨愛さんへ、周囲の他の利用者から拍手が起こります。
一時は電動車いすで移動していた聖梨愛さんですが、最近では歩行器を使うまでになったそう。
「みんなが分け隔てなく垣根を超えて一緒にいることで、いい化学反応が起きる」と佐々木さん。
聖梨愛さんのお母さんは「(聖梨愛さんは)社交的になったし笑顔がとても増えた。動けることで気持ちが上がってきて、心の面も回復しているようです。」と話します。
そんな聖梨愛さんの姿に「化学反応」を起こし・起こされている利用者も。
幼稚園職員の羽原大八さんは、2014年にスポーツ中の事故で急性硬膜下血腫に。一命はとりとめましたが、右半身のマヒや脳機能障害が残りました。
筋肉が落ち一時は体重が50キロまで減ってしまったそうですが、『CONDITIONIG LAB』でリハビリを続けて、今では75キロに増えました。
佐々木さん自らが「まあまあキツイ」という腹筋ヒップアップのトレーニングに取り組む羽原さん。
姿勢保持に必須な筋肉が鍛えられるので、障害のあり・なしにかかわらず全員ができる範囲で行うようにしているのだそうです。
羽原さんは佐々木さんのことを「神様」と表現。
「 障害者と健常者が一緒にトレーニング出来る場所ってなかなかないんですよ。多様性ですね。」と語られます。
「あらゆる垣根を超えて”生きる力”を引き出す場」を創りたい
はじめはデイサービスとトレーニングジムが融合した事業をめざしていたという佐々木さん。
福祉に従事していた時にQOL(生活の質)を追求するも、(介護保険などの)制度の枠組みの中では実現が困難と感じていたのだそうです。
この経験から、「子どもからお年寄り、健常者、障害者を問わず地域の人がハッピーになっていく化学反応を作る」という形が生まれました。
”化学反応”をめざすラボにはカフェも併設。
南山城地域の食材を活かしたメニューの提供や産品の販売が行われ、利用者の交流の場にもなっています。
障害のある・なしや年齢を軽やかに飛び越えて、みんなの生きる力を引き出していく場をつくる。
佐々木さんが思い描く事業の将来像は、トレーニングの枠を超えて広がっています。
「おせっかいな法人を作り、おせっかいに支援をし、共に歩める仕組み作りを制度の枠を超えて地域でつくっていく。これが一つでも増えてくれたら、もっともっと(人と地域が)元気になって社会に出てくれる人が増えてくれると思うので。それが今の目標。」と笑顔で話す佐々木さん。
『CONDITIONIG LAB』に集まる人々はそれぞれが事情を持ちながらも、全員が笑顔でトレーニングに取り組む姿が印象的。
併設のカフェで毎週金曜に若手経営者が集まる交流会を開くなど、トレーニングの枠を超えてもっと活動していく場所にしたいという佐々木さんの展望に注目です。
文/さとみ縁
【画像・参考】きょうとDays(毎週月~金曜日17:35~18:00) – KBS京都
※この記事は、2023年8月31日(木)放送時点の情報です。詳しくは店舗へお問い合わせください。