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山歩(さんぽ)しよう!初心者でもできる山登り!ハムさんの“アウトドアを楽しもう!”【きょうとくらすコラム】

京都は街から山や川が近く、お散歩したり、山に登ってリフレッシュするのにぴったりな場所です。アウトドアで京都の自然を味わってみませんか?

きょうとくらすでは毎月一回、アウトドアの達人で花背山の家 顧問 安田公一が、アウトドア初心者から、もっともっと楽しみたい人に向けて、ちょっとしたコツや奥深い魅力をお伝えします。今回は初心者でも始めやすい京都の山歩きスポットをご紹介します。

山歩を楽しもう

山登りや登山とはあえて言わずに低山を登るので、‟山歩(さんぽ)”と呼びます。

山歩を始めたての方には入門編として『御室八十八ヶ所』『双ヶ丘』『天王山』『船岡山』『吉田山』などのコースから始めてみてはいかがでしょうか?
さらに慣れてきた方には、『大文字』『比叡山』『愛宕山』も山歩すると次第に登山を楽しむことができると思います。

オススメの山歩コース

<御室八十八ヶ所>
世界遺産・仁和寺の裏山である成就山(じょうじゅやま)は標高236mの低山です。ここは巡礼コースで『一日お遍路』で四国八十八ヶ所を巡るのと同じ御利益があると言われています。

なぜ、そのご利益があるかというと、1827年(文政10年)に四国八十八ヶ所霊場から砂を持ち帰り成就山に埋め、その上にお堂を建てたからだと言われています。
また、小学生の遠足場所としても有名な所と言われており、初心者の方でも始めやすいと思います。
ですが、現在クマの目撃情報があり6月末から登山禁止となっています。

<双ヶ丘>
丘ですが、山歩初心者にはおすすめのコースです。京都市右京区御室に所在する古生層の孤立丘であり、国の名勝に指定されています。また、双ヶ丘古墳群とも呼ばれ、中世には天皇の遊猟地であり、高位貴族の山荘地でもありました。

徒然草の作者である兼好法師が晩年を過ごした地とされています。
双ヶ丘は南北に並ぶ3つの丘の総称であります。北から一の丘(116m)、二の丘(102m)、三の丘(78m)です。北麓には仁和寺があり、御室八十八ヶ所と一緒に行かれる方も多いです。三の丘の中腹には竪穴式古墳があり、水晶とりをするこども達でいっぱいだった記憶があります。

画像:花背山の家
画像:花背山の家

<天王山>
天下分け目の古戦場で有名な標高270mの低山です。1582年(天正10年)にこの地で羽柴(豊臣)秀吉が明智光秀を破り、全国制覇への第一歩を踏み出しました。そのことから重要な選挙や試合を『天王山の戦い』『天下分け目の天王山』と表現します。

京都府南部、乙訓郡大山崎町にあり、桂川・宇治川・木津川が合流して淀川となる分岐点が見えます。豊富な地下水に恵まれてサントリー山崎蒸留所もあります。登りながら秀吉の天下取りの物語を描いた陶板絵図を見る事ができます。その道を『秀吉の道』と名づけられています。

登り口は3か所あり、どの道から行くのか考えるのも楽しみのひとつです。

画像:花背山の家
画像:花背山の家

<船岡山>
船岡山は京都の自然200選にも指定されている、標高112mで面積2万5千坪の優美な小山です。東南に建勲神社、西北には京都で一番古いと言われている船岡公園があり、市街地でありながら緑豊かな自然があります。山は船状の小丘で西峰と南峰の2つに分かれていて、山全体なだらかな傾斜です。山頂は南峰で中央に三等三角点もあります。山麓と山頂との標高差は東南部45m、西北部で30mです。

古くは清少納言の枕草子に『丘は船岡』と詠まれたり、戦国時代の応仁の乱には西軍の陣地になったり、本能寺の変の後に信長公霊地として保護されました。

山は西峰と南峰の2つに分かれており、山全体はなだらかな傾斜のため、楽しんで登れる山です。
豊かな歴史文化に触れながら山歩をしてみませんか?

画像:花背山の家
画像:花背山の家
画像:花背山の家

<吉田山>
別名を神楽岡(かぐらおか)と呼ばれています。京都盆地の北東にあり、標高は105mで東山三十六峰の一つです。北側は今出川通りに面して、西側は吉田神社の境内、京都大学吉田キャンパスがあり、山頂には旧制第三高等学校(現京大)の寮歌の歌碑もあります。山頂は都市公園として整備され、大文字(如意ヶ嶽)が一望できます。さらに南には真如堂や金戒光明寺があります。
船岡山、吉田山、双ヶ丘を平安京『葛野三山』と名付けられ、大和三山と対比されていました。

古くは天照大神や賀茂の神々を神楽で奏した場所と言われています。桓武天皇が猟をしたことでも知られ、清和天皇、後白河法皇の歌にも詠まれています。天皇家の陵墓も多数あり、運輸業で財をなした谷川茂次郎は、吉田山北東部を購入し茂庵庭園を建設、谷川住宅も建設しました。南東部は旧東伏見宮別邸(吉田山荘)があります。

節分祭には多くの京都市民が吉田神社に参拝され、多くの露店がところ狭し立ち並びます。

画像:花背山の家

トラブルに遭わないためにも長袖、長ズボン、タオル、虫よけスプレー、鈴(クマよけ)、水、軍手、帽子を着用して、リュックサック(ナップサック)を背負い、両手をあけて山歩をしましょう。

安田 公一(やすだ こういち)花背山の家 顧問 通称:ハムさん

京都市立学校教員として勤務した後、平成7年~10年文部科学省よりシンガポール日本人学校に海外派遣主任教員として赴任。小学生からボーイスカウト活動を行い、海外初のボーイスカウト日本連盟隊を結成、初代国際隊長。帰国後、平成10年京都市教育委員会 花背山の家 指導主事、首席指導主事、課長、所長、2024年4月より顧問。佛教大学教育学部 特任教授として野外教育を広める。文科省 中教審 体験活動委員会委員。教育学修士(心理学)、バレーボール国際コーチ、京都府成年男子バレーボールチーム監督、趣味はバンド活動(ドラム)ライブで活動中。

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文/安田公一

【画像】花背山の家