KBS京都で放送中の『谷口流々』。
谷口キヨコが、京都を中心に活躍する人々の仕事現場に足を運び、十人十色の人生哲学を紐解いていきます。
2023年4月8日(土)の放送では、ステンドグラス作家・西冨なつきさんに話を伺いました。
Profile:ステンドグラス作家・西冨なつきさん
ステンドグラス作家・西冨なつきさんは、京都を拠点に、ステンドグラスの技法を用いて平面から立体作品まで幅広く制作。花器やオブジェ、アクセサリーなどの日常を彩るアイテムの提案を行っています。
2021年にはアトリエショップ『Scape ガラスと植物』をオープンしました。
ガラスと植物があるお店「Scape ガラスと植物」
アトリエショップ『Scape ガラスと植物』にあるのは全て、ステンドグラスの技法で製作した西冨さんの作品です。
こちらは実在する蝶をモチーフにステンドグラスの技法で作った蝶を標本のようにした作品です。人工的に作ったことによって、蝶の綺麗な部分がより一層表現されています。
また、こちらは『ガラスと着生植物』というシリーズです。この植物は空中で生活をし根が成長に伴い木の皮に入りこんでいきます。
空中から水分を吸収し栄養を生成し生活している姿に、西冨さんは生命力を感じ、ワイルドでかっこいいなと思ったそうです。それぞれの植物の造形に合わせてフレームが考えられています。
運営から作り手に
西冨さんは芸大でプロダクトデザインを学び、卒業後は母校のアンテナショップで作り手のサポートをするなど、展覧会の企画運営やショップ運営をしていました。この時は自身で作品作りをすることはなかったそうです。
その後、ちょうど30歳の時にアンテナショップが閉店。その時初めて、自分でも作ってみたいと制作意欲が沸いたことで、趣味のような形から始め、長くできるような制作活動を探しました。
そんな中、「ガラスの質感が好きで平面にも立体にもできるという点が、自分にしっくりときて、ステンドグラスでいろいろ作れそうだなと手応えを感じました。」と西冨さん。30歳を過ぎてからステンドグラスデビューを果たします。
西冨さん曰く最初はぼんやりと始めたそうですが、作ったものができたら見てもらいたくなり、ほしいと言ってもらったら買ってもらいたくなりと、徐々に本格的になってきました。
その時、ギャラリーショップを運営していた友人夫婦から個展をしてみたらと声をかけてもらい、それがこのアトリエショップの場所だったそうです。
初の個展には『ガラスと蝶の表本』を中心に展示。来場した方が次の個展の場所を紹介してくれるなど、この初個展が大きなきっかけとなって、西冨さんはステンドグラスを自分の仕事にする決意をしました。
コロナ禍の挑戦
コロナ禍に入り予定していた展示会も中止になったり、作品を置いてもらっていたお店も休業状態になったりと、色んなものが止まってしまった時期だったと西冨さんは話します。
オンラインショップに移って、とにかく何か作業をしたいと思ったそうです。
そんな時、ギャラリーを運営していた友人夫婦から、ギャラリーを物件に出す話を聞きました。この場所を借りて何かやってみてはと声をかけてもらい、身内の方からも背中を押され、友人夫婦の提案を受けることに。
そして、2021年にアート&ギャラリーをオープン。リピーターの方も増えてきて、購入したものを飾っている写真見せてもらったりと、少しずつ穏やかな繋がりができ始めました。
植物という有機的な存在と対照的に無機質なガラスの対比によって、それぞれが魅力的に見えるという考えから、着生植物とステンドグラスの唯一無二の作品が出来上がりました。
西冨さんを表すことば
今は新しくワークショップを始めようとしている西冨さん。
今回の“西冨さんを表すことば”は 『だんだんどんどん』。西冨さんのだんだんと、どんどん本気になってるところが、まるで植物が根張ってるように自然体でとっても素敵です。
谷口の気づき
ステンドグラスの照明器具もあります。着想から手に持っているような模型をいくつか製作し、上から吊るされているような作品に。一つ一つが丁寧に作り上げられてます。
ステンドグラスの技法を用いて植物や昆虫の魅力を最大限に表現する西冨さん。そのナチュラルで優しい人柄が伝わってきました。ぜひ一度アトリエショップ『Scape ガラスと植物』を訪れてみてくださいね。
文/きょうとくらす編集部
【画像・参考】谷口流々(毎週土曜日9:30~10:00) – KBS京都
※この記事は、2023年4月8日(土)放送時点の情報です。詳しくは店舗へお問い合わせください。