KBS京都で放送中の『京都浪漫~悠久の物語~』。
今回は、2023年11月12日(日)に放送された『建仁寺と塔頭寺院の紅葉と名宝』から『建仁寺』の元内閣総理大臣が描いた襖絵をご紹介します。
建仁寺の襖絵に描かれた“八景”とは
京都市東山区にある建仁寺。建仁寺の見どころの一つが、多くの芸術家が奉納した作品です。
建仁寺の本坊に昭和15年(1940年)に控えの間として建てられた『大書院』。
床の間には、第79代内閣総理大臣も務めた細川護熙さんが描いた『達磨図』が掛けられています。
さらに、細川さんは建仁寺を開いた栄西禅師の生誕880年を記念して、それまで白地だった大書院の襖12枚に表裏24面の襖絵を描いて奉納しました。
襖絵の題材として選ばれたのは、中国の山水画の伝統的な画題『瀟湘八景図(しょうしょうはっけいず)』です。“八景”とは……、
山里が霞に煙って見える風景の『山市晴嵐(さんしせいらん)』。
夕暮れどきに帆かけ船が戻ってくる様子を描いた『遠浦帰帆(えんぽきはん)』。
うら寂しい漁村の夕景を描いた『漁村夕照(ぎょそんせきしょう)』。
宵闇迫る頃、遠くの山寺から鐘が響き渡る情景を描いた『烟寺晩鐘(えんじばんしょう)』。
しとしとと降る夜の雨の情景を描いた『瀟湘夜雨(しょうしょうやう)』。
湖上に浮かぶ秋の月を描いた『洞庭秋月(どうていしゅうげつ)』。
干潟に雁が舞い降りるところを描いた『平沙落雁(へいさらくがん)』。
日暮れの山の上に雪が降り積もるさまを描いた『江天暮雪(こうてんぼせつ)』の8つです。
繊細なタッチの水墨画の制作期間はおよそ1年。令和3年(2021年)から大書院の空間に侘びと寂びの趣を添えています。
今もなお多くの芸術家が作品を奉納し続けている建仁寺の本坊は、美術館とも言えるでしょう。ぜひ足を運んでみてください。
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文/西門
【画像・参考】京都浪漫~悠久の物語~(第1・2週 日曜日 21:00~21:55/再放送 第3・4週 日曜日 21:00~21:55) – KBS京都
※この記事は2023年11月12日(日)放送時点の情報です。