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7月見頃!京都府立植物園 PLANTS WONDER WORLD【きょうとくらすコラム】

2024年で開園100周年を迎えた京都府立植物園。
日本で最初の公立の植物園として誕生して以来、府民に親しまれ、歴史を重ねてきました。四季折々の草花の栽培はもちろん、希少な植物の保全にも力を入れています。

このコラムでは、植物の専門家である戸部園長に季節ごとの見どころやユニークな植物の生態を教えてもらいます。物言わぬ植物から学ぶことはたくさん!緑に癒され、潤いある暮らしのヒントも見つけてくださいね。

画像:京都府立植物園

7月が見頃の植物たち

夏の青空が似合うスイレンとハス。
同じような生育環境に適応して似たような姿に進化することを生物学では収斂(しゅうれん)と言います。

スイレンとハスは水中という環境で生きていて、同じような大きな花をもつため一見するとよく似ていますが、実は収斂によって外見が似ているだけです。

よく見れば違いは明瞭、スイレンの花は水面近くにあり、ハスの花は水面から空中に突き出た1メートル以上にもなる長い花柄の上についています。また、スイレンの葉は水面に浮かび、ハスの葉は水面から空中に飛び出しています。

スイレンとハスは、分類学的にも全く違い、それぞれスイレン科とハス科に属しています。

画像:京都府立植物園
(スイレン)

スイレン科は60種以上からなり、それらの種が世界中に分布しています。全ての被子植物(花の咲く植物)約35万種のなかで最も原始的、つまり祖先に近い植物の系列に含まれ、その祖先は1億3千万年前に遡ります。いわば古い植物の生き残りです。

一方、ハス科は僅か2種からなり、それだけで広くアジアからオーストラリア北部にかけてと北米東部に分布しています。スイレン科に比べればごく最近、しかも恐竜が絶滅した後に生まれた新しい植物と考えられていましたが、最近ブラジルで発見された化石がスイレン科よりも古い時代からだったので、ほんとかな?と話題を呼んでいます。

画像:京都府立植物園
(スイレン)

スイレン科の花は、数十枚の花被片(萼片と花弁)から無数の雄しべ(多いものは700本以上)に連続して並び1個の大きな雌しべの先を覆っています。

この点は、ハスの花も良く似ています。違いは雌しべをつくる心皮の配列にあります。どちらも多い場合は30個ぐらいの心皮から雌しべをつくっていますが、スイレンでは心皮が1列の輪になって並び、ハスでは3~4列の輪になって並び、しかもハスでは雌しべの先端が扁平になり、その先に心皮の数に相当する柱頭が飛び出しています。

画像:京都府立植物園
(ハス)

スイレンもハスも雌しべが雄しべよりも先に成熟します。開花初日に雌しべが成熟し翌日以降に雄しべが成熟します。それによって、自家受粉を避け、他家受粉を促進するという仕組みです。

スイレンもハスも、それらの花は甲虫、ハチ、ハエなどの昆虫によって受粉されます。どちらも蜜腺をもちませんが、発熱植物といい花は発熱して匂いを出し、それによって昆虫を引き寄せるのです。

特に夜開花する夜行性のスイレンでは強い匂いを出して昆虫を呼んでいます。

画像:京都府立植物園
(ハス)

7月は、初夏から盛夏へ移り、さまざまな花が咲いています。ハス、スイレンの他に京都府立植物園では7月下旬頃からヒマワリが咲き始め、見頃を迎えます。

画像:京都府立植物園
(ヒマワリ)

戸部 博  京都府立植物園 園長

1948年青森生まれ。東北大学理学部卒業。千葉大学理学部助手、京都大学理学研究科教授など39年間大学につとめる。その後、日本植物分類学会長、日本植物学会会長などをつとめ、2018年4月1日より京都府立植物園の園長に就任。自らの主導により植物や植物多様性保全、京都府立植物園に関する研究を専門家によって一般の方に分かりやすく伝えるサイエンスレクチャーを2023年より植物園にて開始。

文/戸部 博

【画像】京都府立植物園